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第13機動部隊 プログレッサー  作者: 藤沢マサト
第四章 最終決戦へ
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第43話 帝国軍壊滅作戦(後編)

 6月30日、ついにジュピトリア共和国軍は第二次総攻撃作戦の会議を行うこととなり、ロバート達は前回の反省点を生かし、本作戦で補給部隊の配備を提案。その結果弾薬やエネルギーを補給できる大型輸送船も用意することとなった。この作戦に向け、ロバートは今まで以上に気を引き締めていく。


「ロバート少佐、ついにこの時が来ましたね……。前回は中途半端な結果になってしまったので、今度こそ帝国軍を……」

「そうだな、フランク。今回は今までにないチャンスだからな。作戦は明後日だ。何としても帝国軍の本拠地を攻略しよう」

「はい」


フランクは軽く頷く。

彼の心は、いつになく熱く燃えていた。


「ヘレン、敵軍のデータ解析をしたそうだが……」

「はい、その結果が只今出たところです。帝国軍は挟撃を行いやすいという傾向にあることが分かりました。これを考えると、挟撃される前にこの状況を打開できるようなフォーメーションで戦う事を強いられますね」

「なるほど。だとすれば大人数での作戦になりそうだな。こちらも分散して戦う方がやりやすいだろう。わざわざありがとう、ヘレン」

「いえ、これぐらいの事は当たり前です」


ロバートはコンピュータのビジョンを見て興味深そうにしていた。


「カイル、メタルユニットのメンテナンスは終わったのか?」

「もちろん! 何しろバンさんやジャネット達も手伝ってくれたのでね。意外と早く終わりましたよ」

「そうか。それなら安心だな。いつもお疲れ様」

「お気遣い頂きありがとうございます」


カイルは優しく笑って見せる。


「これで戦争終結への道を切り開く事が出来れば……」

「少佐、必ず戦争を終わらせましょう。これ以上死者を出さないためにも」


フランクは熱い視線でロバートの事をしっかりと見つめた。


「私たちが少しでも力になれれば、きっと……」


ヘレンもまた、仲間達と目線を合わせる。


「きっとじゃない、必ずやってみせようぜ!」


カイルは自信満々で拳をしっかりと握って見せた。


「カイルの言う通りだ。有言実行! 必ずこの戦争を終わらせよう」

「了解!!」


そして、四人はより固い絆で結ばれた。

勇気と友情に満ちた絆の糸。この糸は決して切る事は出来ない。



 一方、ドラギウス帝国軍は戦闘態勢の立て直しを行っていたものの、なかなか上手く進まなかった。立て直しの作業の長期化によって、兵士達が疲弊し始めていたのだ。これにバルマーンが見かねたのか、士気向上のためにチームワーク強化週間を開始。これにより再び帝国軍の兵士達は一つになろうとしていた。その中でも、特にクラッシャー隊の三人は仲間の仇を討つため、必死になって訓練に取り組んでいた。


「エルドラド少佐、いつにも増して戦略演習に力を入れてますね……」

「当たり前ですよ、以前の共和国の猛攻で何も変わらない訳が無いじゃないですか」


メルダは呆れた顔で溜息を溢した。


「それはそうと、セルバード大尉も昔より逞しくなったんじゃなくって?」

「そうか? そう言われるとそんな気もするが」

「フフッ、その気になるのが大事ですのよ」


セルバードは思わず口元が綻ぶ。


「これからいかなる敵が攻めて来ようが、何としても少佐以上に強くならなくてはな……。ギガンデスが通用しない今、我々の備わった力だけで勝つしかあるまい」

「そうですね。逆転できればなお良いのですがね」


二人が話す中、エルドラドは戦略演習を終えてミーティングルームに戻って来た。


「お前達、そろそろ次の訓練に行かないとまずいぞ。共和国軍に打ち勝つためにも訓練を重ねなくてはな」

「はい、エルドラド少佐」

「セルバード、メルダ、お前達にはヴィラーガのように命を散らして欲しくは無いんだ……。だからこそ、我々の力でドラギウス帝国を一大国家に築き上げ、ジュピトリアやファルストを征服する……。こうなれば最早火星や地球も……。だが、そう上手くいくかどうかは我々の実力にかかっているわけだ」

「ええ、仰る通りです」


セルバードはゆっくりと頷く。


「さぁ、早く訓練に向かえ」

「了解!」


こうして、その後も帝国軍全体での訓練は続いたのだった。

彼らの思惑通りに事は運べるのか。それは神のみぞ知る。



 そして、二日後のこと。ついに木星国家間戦争史上最大の戦いが幕を開けようとしていた。

ジュピトリア共和国軍は既に戦闘態勢に入り、機動部隊だけでなく大艦隊などの戦力も引っ提げて帝国軍の前線基地へと進軍を開始。


「主砲、撃てェッ!!」


先んじて攻撃を仕掛けたのは共和国軍の大型戦艦であった。

さらに、輸送艦からはAI部隊が出撃し、集中砲火を浴びせていく。

また、爆撃部隊は圧倒的なまでの火力で敵軍をねじ伏せる。最早共和国軍には敵なしである。


「よし、本拠地までこのまま進軍を続けるぞ。機動部隊は先行して空戦部隊の殲滅を頼むぞ」

“了解!”


こうして、ロバート達は帝国軍基地の本部へと進軍を開始した。


「ロバート少佐、いよいよここまで来ましたね。作戦実行の時では?」


フランクは周りの状況を窺った。


“あぁ、そうだな。俺達の本領発揮の時だな。アモン大佐は既に交戦中だとのことだ。俺達も負けてはいられないな”

「突然ながら失礼します!」

“どうした? ヘレン” 

「遠方より敵部隊が接近中です!」

“そうか。なら早く突撃するか”

「了解! 俺達の出番が来たって訳ですね」


カイルは、意気揚々とビームブレードを構えて敵部隊に突撃していった。


「来たな共和国軍! 死ねェェッ!!」

「させるかよ!」


大剣を素早く振りかざし、敵機を斬り裂いたカイル。

彼は心の中の闘志を燃やす。


「そんなァ!!」


敵機は爆発四散し、破片は黒煙を挙げながら地上に落ちて行った。


「俺も負けていられないな……。このッ!」

「何だとッ!? この距離からだなんて、ウワァァッ!」


その中でロバートは、両腕のスマートブラスターを使い遠距離から敵部隊を次々に仕留めていった。


「それにしても、帝国軍はいつにも増して多いが……。フランク、ヘレン、そっちの方はどうだ?」

“こちらは既にストライカー隊と合流しています。ですのでご安心を……”

「そうか。ならいいんだが」


ロバートは少し安心するも、彼の心の中の霧は晴れず、そのままカイルと共に彼らの元へと向かう。


「ルーガン隊長! このままだと……」

“分かった、リオ。早く撤収した方が良いぞ。気を付けろよ”

「了解です」


リオが撤収するタイミングでロバートとカイルが駆け付けたことにより、戦力の弱体化は免れた。

だが、それでも帝国軍基地本部ともなると攻撃は激しく、彼らですら手を焼くほどである。

この光線が嵐のように飛び交う中、ロバートは機体を戦闘機形態に変形させ、敵機の攻撃を凄まじいスピードで避けていき、そこからビームキャノンを両手に持って連射した。


「ここで落とす……!」

「そんな馬鹿な!!」


敵機は次々に撃墜されていき、次第に帝国軍の兵士達は挫けそうになるも、まだ彼らには切り札があった。


「エルドラド少佐、早くロードブレイダーMk-Ⅱを片付けなくては……」

「そうだな……。では、仕留めるか」


エルドラドは機体両肩部に備わった大型粒子砲で攻撃を仕掛けていく。


「何だ? まさかティタニアンか?」

“ロバート・ライアン! 貴様の命もここまでだ!”

「エルドラド! お前が乗っているのか?」

“そうだとも。貴様らの命、貰った!”


エルドラドはロバートに向けてビームを放つがあっさりとビームシールドで防がれてしまう。

しかし、彼はこの程度で諦めたりはしなかった。


「おのれェ……。よくもヴィラーガをォ!! 殺してくれる!」


怒りに燃えるエルドラド。彼の並々ならぬ復讐心が自分自身の闘志の源へと変わる。


“エルドラドめ……。今度こそ倒す!”

「やれるものならやってみろ! 俺はどこから来ようが構わんぞ」

“何ィッ!!”


ロバートはビームキャノンを撃つが、エルドラドはビットシールドでその攻撃をいとも容易く防いだ。


「くッ……、やはりあのシールドの基部を破壊しないといけないのか……」

“来い、ロバート! 貴様を……、いや、貴様たちを殺してやる”

「させるものか!」



 一方でカイル達はセルバードやメルダを筆頭とする敵機群と交戦状態にあった。

カイルはビームクローを使いセルバードに切迫するが、なかなか倒せずにいたのだ。


「クソォ! どうすればコイツを倒せるんだ……」

“カイル大尉、私が援護射撃します!”

「いけるのか? フランク」

“もちろんですとも”

“カイル大尉、自分たちもお供させてください”

「分かった、ルーガン」


画面に映ったのは、ルーガンであった。彼らは必死になってセルバードを追い詰めていく。


「クソォ! やはり戦いは数が物を言うのか……、ウワァッ!!」

“右腕部損傷、コンディションイエロー”

「まだ戦える……。エルドラド少佐のためにも……」

「よし、トドメだ!」


セルバードが立ち竦んでいた矢先に、カイルは大剣で彼に斬りかかった。

その攻撃により、セルバードの機体は一刀両断。


「しょ、少佐ァ、エルドラド少佐ァ!!」


セルバードは最後までエルドラドへの忠誠心を忘れる事無く命を散らした。


「セルバード大尉! そんな……」


メルダは涙を流した。だが、泣く暇など無く、彼女は敵への怒りを燃やしながら光線を乱れ撃つ。


「大尉をよくもやってくれたわね! このォ!!」

「何だ! 急に……」


カイルは間一髪のところで攻撃を防ぐが、メルダは隙を与えずに彼に対しビームソードで斬りかかる。


「やられてたまるかよォ!! フランク、今だ!」

“了解!”


フランクの放った光線によって、メルダの機体右腕部は焼失した。

だが、彼女はそれでも攻撃の手を止めず、フランクと格闘戦にもつれ込む。


「まだ私が……、こんな所でェェッ!!」


フランクは必死に対抗し、隙を突いて蹴りを入れた。

この攻撃でメルダは無防備な状態となる。


「今だ、ヘレン!!」

“了解!”


メルダの機体はヘレンの放った光線によって破壊され、彼女は命の花を散らした。


「よし……、どうにか倒せたな……。早くロバート少佐の元へ向かうぞ!」

“分かりました”


彼らはすぐ近くで戦っていたロバートに加勢することとなる。



 時を同じくして、ロバートとエルドラドは今なお激しい戦いを繰り広げていた。


「エルドラド、お前の好きには絶対にさせないぞ!」

“何を言う! 俺の仲間を殺しておいて……。許さん!”


その中で、カイル達が合流し戦いは終局を迎えるかと思われた。


「少佐、ここは我々が援護します!」

“ありがとう、皆! よし、このままあいつを倒すぞ!”

「了解!」


そして、エルドラドは彼らに対し容赦することなく攻撃を仕掛けていく。


「落ちろ! 貴様らなど敵ではない!」

「何ッ!? ウワァッ!!」

“カイル大尉!”


カイルはそのまま撤収を余儀なくされた。


「ここは自分にお任せを! ルーガン隊長!」

“分かった、クローティス”

“私もお供させてください”

「エリナ、ありがとう」


ストライカー隊の三人は遠距離から攻撃を仕掛けていく。


「フン、笑わせるな……。落ちろォッ!!」


エルドラドは凄まじい速さで光線を連射し、三人をあっという間に撤収に追い込んだ。

この様子を見たフランクとヘレンは、ロバートの指示に従い、ビットシールドを破壊することを優先する。しかし、ビットシールドの基部は小さく、破壊することが困難であった。

そこで彼らは、より正確に射撃を行うため、精神を研ぎ澄ます。


「ビットシールドは全部で四つか……。一つ目は……、ここか!」


ロバートはビームキャノンでビットシールドの基部を一つ破壊した。


「くッ……、なかなかやるな。だがそれは所詮まぐれだ……」


エルドラドは残ったビットシールドを展開しつつ、ビームライフルとビームキャノンで光線を放っていく。この攻撃には流石のロバート達も手も足も出ず、このまま全滅するかと思われた。だが、彼らは諦めようとする素振りすら見せず、攻撃を続行。


「まずはロバートの取り巻きを殺すとするか……。死ねッ!!」

「何ィっ!! ウワァァッ!!」


フランクの機体は炎を上げて墜落した。


“そんな! お前ェッ……”


フランクを殺されたことに怒るロバート。彼はその怒りをエルドラドにぶつける。


「フランク中尉が……、死んだ……?」


ヘレンは突然のこの状況に耐えられず、泣きそうになるがその仇を討つため、何とかしてエルドラドを撃墜しようと試みた。彼女はその悲しみを乗り越えて戦う。


「ヘレン、いけるか……」

“は、はい……。行けます!”


ヘレンは早速スナイパーライフルで、二つ目のビットシールドの基部を破壊して見せた。

だが、それでもエルドラドは無防備になることは無く、ロバート達の攻撃を受け付けない。


「残りの二つも破壊するぞ!」

“了解!”


二人は感覚が冴えてきたのか、そのまま三つ目、四つ目のシールドを容易く破壊した。

これには流石のエルドラドも危機感を覚え、ついにロバートと格闘戦を行う。


“ロバート! ここまで苦しめるとはな。殺してやろう!”

「何だと!? だが、俺は負けたりしない! お前たちに俺達の国を蹂躙させられてたまるか! 行くぞ、ヘレン!」

“はい、ロバート少佐!”


ヘレンは後方からスナイパーライフルで狙撃し、右肩部の大型粒子砲を破壊した。


「何だと!?」


エルドラドはなし崩し的に自分が不利になっていることに驚くが、それでも挫けずに攻撃を続けた。


「貴様ぁ! 殺してくれる!」

「キャアァァァッ!!」


ヘレンは機体に大きな損傷を負ったため、戦闘不能に追い込まれた。

そして、とうとう戦いは本格的に一騎打ちとなる。


「エルドラド、お前の事は許さない……。フランクの仇だ!!」


ロバートは素早くビームソードで斬りかかるが、エルドラドはすぐさまその攻撃を回避する。


“詰めが甘いな、ロバート。この程度で俺を殺せるとでも?”

「何をッ!!」


しかし、エルドラドはすぐに切り返して、ロバートの機体右腕部をビームブレードで切断した。


「しまった!」

“トドメを刺してやる!”

「ジュピトリアは俺達が守る! 必ず……。喰らえェェッ!!」

“何ィッ!!”


エルドラドは機体左腕部を切断され、これにより互いに満身創痍となる。

そして、ロバートは自分の命を懸けた最後の攻撃を仕掛けた。


「これで……、決める!!」

“何だとォ! グワァァァッ!!”


ティタニアンは爆発四散し、エルドラドと運命を共にした。こうして、ドラギウス帝国軍は事実上降伏状態となり、とうとうジュピトリア共和国軍の勝利と言う形でこの木星国家間戦争は終結した。



 数日後、ロバート達はフランクの死を悼んだ。

戦いは終わったものの、共和国軍が失ったものも大きかった。

だが、こうして平穏な日々は再び戻ろうとしていたのだ。

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