最終話 明日への道
7月4日、ドラギウス帝国は崩壊し、翌々月の2日に共和制となった。
その原因は、戦争に敗北してからアルバレス皇帝への不満を募らせた反戦派がクーデターを起こしたことにある。この一大クーデターにより、アルバレスの独裁政権は終わった。新たな大統領となったロギアンは、一転してジュピトリア共和国やファルスト連合国と和平条約を結ぶこととなる。この和平条約を結んだ目的は、互いに国同士の攻撃を今後一切行わないという宣言をすることであった。
こうして、長い木星国家間戦争にもピリオドが打たれたのだ。
プログレッサー隊の三人は最終決戦の後、一階級昇進となった。
「ロバート中佐……、フランクが死んでから暫く経ちましたね……」
「そうだな、カイル。フランクの家族は悲しんでいたな。何しろ二度と会えないんだ。かけがえのない人に……」
カイルは一筋の涙を流した。彼はフランクの家族の事を思うと居た堪れずにいたのだ。
「カイル少佐らしくないですよ。涙を流すなんて」
「たまには泣かせてくれ……。そういうお前だって泣いているじゃないか……」
ヘレンも自分が気付かぬ間に泣いていたのだ。彼女もこの事実をまだ受け入れられずにいた。
「二人共、どんなに泣いてもフランクは帰ってこないんだ。今の状況を受け入れるしかないんだ」
「そうですけど、それでも悔しいですよ。俺がやられてなきゃ、守れていたかもしれないし……」
「たらればの話はあまりしない方が良いぞ。今を、いや、今後の事を考えるんだ……」
「はい……、中佐」
彼らは悲しみに明け暮れながらも、ただ真っ直ぐに未来へのビジョンを見つめる事にした。
ようやく見えた平和への道。この道を彼らは歩む。
一方、この木星国家間戦争の終結は地球や火星でも報道され、話題となる。
そのネットニュース記事を見ていた亮は、その日玲と鎧の家に遊びに来ていた。
「玲、いよいよ木星の戦争も終わったんだってな」
「そうみたいだね」
「ママ、木星の戦争が終わったの?」
「そうよ。あそこに住んでる人たちも安心してるでしょうね」
「そうだね」
玲と鎧の間には子供もおり、名前は真という。
「おい、玲。そろそろご飯にしよう」
「分かったわ。すぐに用意するから。貴方も手伝って貰える?」
「勿論だとも。手伝うぞ」
この世界に平和は戻り、地球、火星、木星の三つの星で星間平和条約が結ばれ、また争いごとの無い美しい宇宙は戻った。もう二度と、忌まわしき戦争が起きぬことを人々は心より祈る。




