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第13機動部隊 プログレッサー  作者: 藤沢マサト
第四章 最終決戦へ
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第41話 熱く燃えよルーガン

 6月19日、ファルスト連合国軍の降伏直後のこと。

ジュピトリア共和国軍は帝国軍との決戦に向けて、万全な態勢が行われていた。以前の戦闘で現れたティタニアンやメフィサーに対し、いかに対抗すべきかについても考えられている。


「ロバート少佐、もうすぐですね……」


ヘレンは疲れからかぼんやりとした目で彼を見つめた。


「あぁ、もうすぐ最終決戦も近いな。俺達が戦う上で一番重要なのは、敵の急所や弱点を突けるかどうかだな。ヘレンも疲れただろう。早く休んだ方が良いぞ」

「はい……。お気遣い頂きありがとうございます」


ヘレンは眠そうな顔でそのまま自室に戻っていった。


「フランク、カイル、お前たちは大丈夫か?」

「まだいけると思います。ご心配なく」

「俺も大丈夫です」


二人は平気そうな面持ちでデータ解析作業を行っていた。


「カイルは元気そうだが、フランクは顔色が悪いぞ」

「いえ……、そんな事……」


フランクは思わず倒れ込みそうになるが、カイルがすぐさま支えた。


「おい、お前もヘレンと同じじゃないか……。早く寝とけよ」

「はい」


カイルに肩を担がれた状態で、彼はそのまま自室へと戻っていった。

そして、ロバートはカイルと二人きりとなる。


「カイル、お前は何ともないのか?」

「はい。俺は徹夜とかするのが昔から平気なタイプなんです」

「そうか。ならいいんだがな。気を付けろよ。疲れは急にやって来るからな」


ロバートは再びパソコンの画面に目線を移して作業を再開した。



 翌日、ドラギウス帝国軍は共和国軍第4前線基地をあっという間に殲滅し、彼らの目標は第3前線基地へとターゲットを移すこととなる。共和国軍はこれを危惧して、第1前線基地や第2前線基地の戦闘部隊とも連携し、全体で作戦会議が行われることとなる。数時間かかった末に、とうとう綿密に考えられた作戦は三日後に行われることになった。


「トーラス司令官、お疲れ様です」

「おぉ、ロバート……。ご苦労」


トーラスは柔和な面持ちでロバートを見つめる。


「それにしても、お前のかつての配属先がまた壊滅状態になるとはな……。本当に気の毒で何と言ったらいいのやら……」

「はい、自分もこの事態は重く受け止めています。既にあそこから離れているとはいえど、やはりあそこは第二の住居とも言うべき場所だったので……」

「そうか……。さぞ辛かっただろうに。もう再建するのは困難な状況下にあるようだからな」


先程とは一転して、トーラスは顔をしかめる。

この状況下では、彼はロバートに同情する事しか出来なかった。

それでも、彼は彼なりに出来る事を探す。


「何か力になれる事があれば言ってくれ。必ず助けるからな」

「ありがとうございます。トーラス司令官」


ロバートは敬礼し、その後二人は互いの持ち場へと戻っていった。



 一方、帝国軍のレイダー隊は防衛戦線を敷いていた。莫大な防衛網で完璧と言えるほどの戦力を整えていたのだ。基本的なAIによる防衛システムはもちろんの事、巡洋艦などが周囲のパトロールを行っている。これにはバルマーンも納得であった。彼には共和国軍に絶対に負けないという自信があるのだ。


「バルマーン長官、随分とご機嫌が良さそうで……」

「そりゃあ、あれだけの戦力を用意できたからな。共和国軍の連中が苦しむ様子が容易に想像できる……」

「とはいえど、敵も戦力を増強しているという情報が入っているので、油断したら……」

「負けるとでも?」

「は、はい……」


バルマーンはその時、獰猛な目つきをしていた。

その目つきが過大な自信を物語っている。


「まぁ、必ずしも勝てるという保証は無いがな……」

「自分自身でも自覚はあるのですね?」

「勿論だ。今まで共和国軍にどれだけ痛手を負わされてきたことか……。それも私の指揮能力不足故だ」


バルマーンは拳を力強く握った。


「そんなことはありません。もし、本当に指揮能力不足であるのなら、我が国は完全敗北しているはずです」

「ほう、そう言ってくれるとは嬉しいじゃないか。ひとまず、今後は防衛戦を成功させるしかあるまい」

「はい、そうですね」


その後、彼は手元にあったコーヒーを一口飲んだ。

バルマーンの野望が果たされることはあるのだろうか。



 それから三日後、共和国軍の作戦はとうとう実行された。強靭的と言える一大戦力を携えて、彼らは帝国軍の各基地へと奇襲を仕掛ける。プログレッサー隊はストライカー隊との共同戦線を張ることとなった。


「ルーガン、今回もよろしく頼むぞ」

“はい、ロバート少佐”


彼らはまず、空中から爆撃部隊と共に地上を攻撃し、敵部隊にある程度のダメージを負わせた。


「何て奴らだ……。クッソォ、こうなったら大型粒子砲を用意しろ!」

“了解!”


帝国軍は共和国軍に対し集中砲火を浴びせるが、ロバート達はその攻撃を軽やかに回避して見せた。


「俺達はこんな攻撃じゃ屈しないぜ!」


カイルは勇猛果敢な精神を胸に、ビームクローで破壊した。

さらに彼は、クローティスと共に大剣でトドメを刺す。


「何だと……。これでも駄目なのか!!」


敵兵士が叫ぶ中、彼の乗るグライズⅡは爆発四散した。こうして、共和国軍は優勢な状態を維持しつつどんどん駒を進めていった。


「ヘレン、フランク、今回使う大型粒子砲の用意は出来たな?」

“はい、少佐”

「ならいい。さぁ、撃つぞ!」

“了解”


三人は、圧倒的なまでの火力で敵部隊をねじ伏せる。この火力には流石の帝国軍も抗えず、撃墜されていくだけであった。しかしそれでも、残り少ない部隊は抗い続けるがいとも容易く撃墜されていく。


「よし、ここの敵部隊は殲滅したな……」

“少佐、別の基地に向かいますか?”

「勿論だ。ひとまず索敵はヘレンに任せた」

“分かりました。お任せを”

「フランクは後方支援射撃を頼む」

“はい、少佐”

「カイルは既に別のエリアでストライカー隊と戦っているようだ。そこへと合流しよう」

“了解!”


そして、三人は別の基地へと向かって行った。



 その後、カイルとストライカー隊はロバート達と合流し、敵部隊を遠距離から攻めていった。

しかし、彼らの雲行きは少しずつ怪しくなっていく。


“ヘレン、索敵頼む”

「これは……、まずいです! 以前出くわした可変翼機です」

“何だと!? なら、ますます油断できないな”


ロバートは思わず冷や汗を垂らす。しかし、そんな状況下でも彼はどうにか冷静になろうとした。


「フッ、来たかMk-Ⅱ! お前を今度こそ撃墜してやる!」


サロアは即座にミルドレッドとロレントを前衛に出るよう命令を出し、本格的に攻撃を開始。

プログレッサー隊とストライカー隊のほぼ互角の戦いが繰り広げられた。

その戦いの中で、流星群のように光線が飛び交う。


「私がこれで遠距離から狙撃します!」

“分かった、リオ。頼んだぞ”


リオは距離を置いたうえで大型粒子砲を使い、ミルドレッドを狙撃する。

しかし、この程度でミルドレッドは引き下がらなかった。彼には秘策があったのだ。


「ミルドレッド、例の奴を出せ」

“了解”


彼は両肩部のサーチビーム砲を使い、光線を放った。

前衛にいたクローティスは被弾してしまい、急遽撤退せざるを得なくなる。このままでは矢継ぎ早に撃墜されていくのではないかと考えたルーガンは自ら変形し急速に接近。ミルドレッドの攻撃を潜り抜けてビームキャノンを連射する。


「ぐふぅッ!! こなくそォ!!」


それでも光線を撃ち続けるミルドレッド。彼は鋭い目つきで間合いを取りながらルーガンの攻撃を回避するが、なかなかこの戦闘に決着はつかない。まさしく泥仕合であった。しかし、その中でサーチビーム砲のエネルギーが切れ、ミルドレッドはその武装を捨てて接近戦に持ち込もうとする。


「死ねェェッ!!」


ミルドレッドは決死の突撃を行う。しかし、ルーガンは軽やかにこの攻撃を避けて自分も接近戦を行うため、ビームソードを構える。そして、一瞬の隙を見てルーガンは素早く斬りかかる。


「喰らえェェッ!!」

「まだ負けるわけには……!」


その時、互いのビームソードは鍔迫り合いを起こす。お互いに一歩も譲らない状態であった。

さらにそこへとエリナがスナイパーライフルを取り出し、巨大な鉄屑の陰から光線を一発撃つ。


「しまったァッ!!」

「よし、これで終わりだァァッ!!」


エリナの攻撃により、さらに追い打ちをかけられたミルドレッドは、ルーガンの渾身の一撃により命を落とすこととなった。


「サロア大尉ィッ!」


彼は断末魔を上げて機体共々灰となった。

これを見たサロアとロレントは、共にビームソードを展開して彼に素早く斬りかかる。


「ロレント、いけるか?」

“はい、お任せを! 必ず倒して見せますよ”


ロレントは的確に動きを見極めて、ルーガンに斬りかかろうとするが、エリナとリオが彼の護衛を行うことで、攻撃を仕掛けるのが困難になる。


「私たちが守りますよ! 隊長は早くあの可変翼機に攻撃を仕掛けてください」

“分かった。ありがとう、リオ”


そして、ルーガンがサロアの乗るメフィサーに集中攻撃できるようになった。



 エリナは遠距離攻撃を、リオは接近攻撃をするという二段構えの攻撃でロレントを苦しめていく。


「鬱陶しい奴め! 殺してくれる!」


ロレントは咄嗟にハンドグレネードを投げて二人を攪乱する。

直撃は回避されたものの、彼女たちに隙ができ、攻撃のチャンスと言わんばかりにロレントは素早く斬りかかる。だが、その攻撃をリオはビームシールドで容易く防ぎ、さらにそこからエリナがスナイパーライフル機体頭部を撃ち抜いた。


「そんなッ!! メインカメラがやられた……」

“今よ、リオ!”

「分かったわ。喰らいなさい!」


リオはビームソードをコクピット部に突き刺し、ロレントを絶命させた。

彼は声も上げる事無く散っていく。


「リオ、さっきのは良かったわよ」

“ありがとう。じゃあ、後はあの可変翼機を……”

「そうね」


そして、二人はルーガンの方へと合流した。

これにより、サロアは圧倒的に不利になっていく。



 一方、ルーガンはサロアと交戦中であり、高速移動しながら激しい空中戦を繰り広げていた。


「やはり一筋縄ではいかないな……」


この膠着状態の中でも、どうにか冷静さを保つルーガン。

彼はどうにか攻撃を回避しつつ、斬り合いをこなす。


「うむ。ならば……!!」


サロアはビームソードの出力を全開にして、攻撃範囲において有利となる。


「これでどうだァァッ!!」


必死の斬撃により、ルーガンは機体左腕部に損傷を負う。それでも彼は負けじと剣を振るい、サロアとお互いの闘志を力に変えてぶつけ合う。


「まだ俺は負けるわけにはいかないんだ!! 喰らえェェッ!」

「何ォォッ!!」


その時、サロアは近づいて来たルーガンに向けてショルダーキャノンを撃った。

この攻撃でルーガンはさらに機体に損傷を負うも、彼は切り返す。


「これで相討ちになっても構わない! 今度こそォッ!!」


サロアに余裕が生まれた間を狙って、ルーガンはビームソードでメフィサーを一刀両断した。


「な、なんだと……、この俺がそんなァ!!」


とうとうサロアは仇を討つことも叶わぬまま命を散らした。

エースパイロットの命を懸けた戦いは終わった。


時を同じくして、ロバート達は第2前線基地も攻略していたものの、武装のエネルギーなどの都合から一時撤収することとなる。何とか共和国軍による一大作戦は成功を収めた。

この国家間戦争にもようやく終末の時が来るのではないかと、共和国軍の兵士達は思う。

果たして、彼らの思惑通りにいくのだろうか。

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