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第13機動部隊 プログレッサー  作者: 藤沢マサト
第四章 最終決戦へ
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第39話 マリーの復讐

 6月9日、ファルスト連合国は窮地に立たされていた。両軍の攻撃を受けて、甚大な被害が出ていたのだ。

これには流石のライエルも黙って見ていられるはずがなく、兵員の増強を行うことを決意した。こうして、今まで非戦闘員であった者も、とうとう戦争に駆り出されることとなる。

 


 その中で、マリーはリノの仇を取るべく必死に訓練を積んでいたものの、自分の限界に挑み過ぎたせいか、疲労が困憊しつつあった。


「さてと、そろそろ訓練を再開しようかしら……」

「マリー少尉、無理をなさらずに……」


キャロルはマリーに向けて手を差し伸べる。

ふらふらとした姿勢の状態で、マリーは彼女の手を握った。


「これ以上無理をしても疲れるだけですよ。早くベッドへ……」

「キャロル、悔しくないの? 貴方もリノがやられたことは何よりも悔しいはずよ」


思わず苛立ちそうになるマリー。彼女は静かに拳を強く握る。


「私だって悔しいですよ。でも、今は休むのも大事なんですよ」

「分かったわ。じゃあ5分くらい休んでおくわ」


彼女は疲れ気味な顔つきであった。



 一方、プログレッサー隊は他の部隊と共に総合戦闘演習に取り組んでいた。

そんな中ロバートは射撃演習を行っていた。


“今回ノ命中率、75%デス”

「こんなものか……」


ロバートは新たな機体を扱うようになってからというものの、自らのプレッシャーに耐えていた。

自分の実力と機体の性能が見合っているのか。そんな事ばかり考えるようになりつつある。


「どうしたんですか。そんな顔色を悪くして」

「いや……。それがな……」


そして彼は、フランクに胸の内を明かした。


「なるほど……。そういうことだったんですね。自分はこういった経験が無いですし、何とも言えませんが、考え過ぎではないかと思います」

「そうか?」

「そうですよ。今まで少佐は、いかなる状況でも戦い抜いて来たじゃないですか。それに、少佐は我々よりも多くの経験をして来たはずです。それが自分自身の強さの証……。上手くは言えませんが、もっと自信を強く持ってください」

「フランク……」


ロバートは、ゆっくりと頷く。


「そうだよな……。まさか、部下に励まされるとはな……。ありがとう」

「いえ、自分はそんな大した事は言っていませんよ。ただ、当たり前の事を言ったまでです。きっと、少佐は自分一人でいろいろと抱え込み過ぎていただけなんだと思います」

「そうか……。じゃあ、これからは些細な事でも相談に乗ってくれるか?」

「勿論ですよ」


ロバートとフランクは互いに微笑む。


「ロバート少佐、次は自分の番なんで……」

「分かった、行って来い」


改めてお互いの絆を深め合った二人。その後も彼らは演習に励んだ。



 それから二日後の事。マリー率いるスプリンター隊は共和国軍第3前線基地へと進軍を開始。

凄まじい勢いで彼女たちは目的地へ向かうが、その前に自動防衛システムが起動し、AI戦闘部隊が出向く。


「来たわ……。新型機のようだけど油断は禁物よ」

“はい、分かっています……”


キャロルは緊迫感漂う空気の中、心を震えさせる。


「今よ! 一斉掃射開始!」

“了解!!”


無数のビームの嵐がAI部隊を襲う。共和国軍もその中で反抗するものの、次々に撃墜されていく。


“大型粒子砲、展開シマス”

「まずいわ! キャロル、ライナ、撃つ前に破壊するわよ」

“はい! お任せを”


意気揚々とビームライフルを連射するライナ。さらにショルダーバルカンも併用し、大型粒子砲を次々に破壊していく。また、それに負けじとマリーとキャロルも応戦し、やがてあっという間に防衛システムは完全に殲滅された。この状況を見たトーラスは、直ちに第3前線基地配属の部隊に出撃命令を出す。


「よし、皆行くぞ!」

“了解!”


アタッカー隊を筆頭とする戦闘部隊によって構成され、彼らは即座にそれぞれの持ち場に就いた。


「ロバート少佐、俺達はどうします?」

“今回は空中から迎え撃つ。カイルは俺と最前線で戦う。ヘレンは遠方で索敵を、フランクは後方支援を頼むぞ”

「了解!」


彼らは空中戦を繰り広げる中、アタッカー隊は地上でおびただしい数の機動部隊を相手に戦っていた。


「アモン大佐、ここは我々が……」

“いや、俺が先頭で行こう。前進しながら銃撃を行う! 敵が近づいてきたら直ちに接近戦が出来るようにしろ。いいな?”

「了解です」


エストルはその瞬間に覚悟を決めた。


「よし、進めェッ!!」


彼らはV陣形で銃撃戦を開始し、凄まじい火力に物を言わせて敵軍を撃墜していく。しかし、戦況は急変した。なんと、スプリンター隊を筆頭とする主力部隊が接近してきたのである。彼女たちは次々に共和国軍の兵士達を手にかけていく。


「大佐、後方に下がってください! やられてしまいます……、ウワァァッ!!」

“マギー!! おのれェ……”


ジェノスはマリーに目掛けて突撃した。しかし、彼女はその攻撃をすぐさま避ける。


「しまった! 背後を取られた!」

「トドメよ!」

「グハァッ!!」


マリーのビームソードでジェノスの機体は貫かれ、彼は戦死した。

これを見たアモンは、危機を悟りプログレッサー隊と通信を行い合流するように指示を出した。


「ロバート、済まない……」

“いいんです。でも、何故我々を呼んだんです?”

「それが、マギーとジェノスがやられてしまってだな……。このままでは全滅も逃れられない状況になったんだ」

“そうだったんですね。分かりました。協力しましょう”

「ありがとう。頼んだぞ」


ロバート達は連合国軍地上部隊に集中砲火を浴びせた。しかしながら、戦況はなかなか好転しなかった。それもそのはず、連合国軍が有利になっている根本的な要因であるスプリンター隊を撃墜できていないからである。彼女らは一撃離脱戦法を取っており、簡単には倒せないのだ。


“少佐……、ガザードもいるようです”


ヘレンが索敵をした瞬間、彼女は体が凍り付くような寒気がした。


「そうか……。教えてくれてありがとう、ヘレン。なら油断は出来ないな」

“どうしますか?”

「ひとまず今は近射程範囲内の敵部隊を撃墜するぞ」

“了解です”


目を鋭くしながら敵機に狙いを定めるロバート。

彼は耳を澄ましてレーダーの反応音に耳を傾けた。


「そこかッ!!」


ロバートはビームキャノンを連射し、敵機をいとも容易く撃墜していった。



 一方、カイルはエストルやラディムと共に前方でアモンの護衛を行っていた。

ひたすら剣を振り回し、近づいてくる敵戦闘部隊を撃墜していく。しかし、そこへとマリー達が襲い掛かる。


「あれを狙うわ……。キャロル、ライナ、一気に近づいて殲滅するわよ」

“了解!”


そして、彼女たちは素早く三方向から一斉掃射を開始した。


「まずい……。どうやら罠にかかったかもしれん……」

“そんなァ! なら仕方ない……”


ラディムはやむなく残弾が少ないビームライフルで攻撃を始めた。


「アモン大佐、ここ自分が奴らを……」

“やってくれるか? エストル”

「カイルも手伝ってくれるか?」

“俺もですか!? 責任重大だな……”


カイルは焦燥に駆られながらも、ビームブレードを改めてしっかりと構え、スプリンター隊の方へと駆けて行った。


「アモン大佐の邪魔はさせないぜ! 喰らえェッ!!」

「いきなり接近戦に持ち込むだなんて……、大胆ね……」


ライナはビームライフルで反撃を行うが、カイルはビームブレードでその光線を弾き返した。

さらにカイルは急接近を試みる。


「このォォッ!!」

「させるものですか!」


彼女はここから切り返そうとし、両腕のビームソードで素早く切り返す。


「これでもまだ逃げないつもり?」

「くッ……、まだまだァ!!」


カイルは機体のスラスターを全開にして、間合いを取りつつ俊敏な動きでライナを徐々に苦しめていく。

その中で、彼女はショルダーバルカンを使い上手く牽制しようとする。


「クソォッ!! しぶといな……」

“大尉、ここは自分がアシストします!”

「フランク! 気を付けろよ……」


フランクが合流し、戦況は大きく変わり始めた。


「何よッ…… 遠距離から攻めてくる敵がいるだなんて……」

「よし、そこか!?」


遠距離、近距離双方からの攻撃を喰らいながらも耐えるライナ。しかし、彼女は諦めなかった。


「すばしっこい奴ね……。でも負けたりなんか!!」

“コンディションイエロー。撤収シテ下サイ”

「私がこの程度でッ!!」


それでもカイルとフランクの猛攻は止まず、機体はコンディションレッドの状態に移行。

ここでライナは大きな賭けに出た。


「このまま、あのビームブレードを持ったヤツを撃墜すれば……。命を懸けてでも倒すわ!」


そして、ライナはカイル目掛けて突撃を仕掛けた。


「何だ!? 敵機急接近!?」

「落ちなさい!!」


カイルは慌てて大剣で攻撃を防ぐが、どちらも出力は互角で、拮抗し合っていた。

これを見たフランクは直ちに援護射撃を行う。


「何よ!? 邪魔をするだなんて……、キャアアァァッ!!」

「今です、カイル大尉!!」

「よし、喰らえェェェッ!!」

「キャアァァッ!!」


一瞬でライナの敵機を斬り裂いたカイル。ライナの機体は爆発四散した。


「ライナ! よくもライナをやってくれたわね……」

“私も許すわけにはいきません……”


マリーとキャロルは今までになく怒りに燃えていた。

しかし、そこへとフランクとヘレンが光線を浴びせる。


「こんな所で私が負けてたまるものですか……」


キャロルはビームライフルを乱射するも、二対一では苦戦する一方であった。さらにそこへとロバートも合流し、共和国軍の火力はより確固たるものとなる。


「何としても仇を討つわ……。リノ、ライナ……」


マリーとキャロルは少しずつ接近しながらビームライフルを撃つものの、ロバート達は怯むことなく攻撃を続ける。そして、ヘレンとフランクは遠距離からキャロルに攻撃を仕掛ける。


「落ちなさい!!」

“今だ! ヘレン!”

「了解!」


何度も攻撃を喰らった末に、キャロルは最終手段に出た。


「あそこから撃っているようね……。なら倒すしかないわ」


ヘレンとフランクの元へと急接近するキャロル、彼女はビームソードで素早く斬りかかる。


「接近戦だと!? ならこっちも……」


フランクはビームソードを土壇場で取り出して鍔迫り合い、お互いに拮抗し合う。

ここでキャロルは、何度も剣を打ち返していき、力で押し返そうとする。


「くっ……、このままではやられる……」

「ここで倒さなければ……、私は!!」


そして、彼女は怒りを力に変えて一旦距離を置き、フェイントをかけた。


「なんだ?」

「これで終わりよ……」

「させるものですか!」


その時、ヘレンが撃った光線がキャロルの機体胸部を貫通。

機体は爆発四散し、彼女は機体と運命を共にした。


「キャロル!! 何て奴らなの……」


そして、マリーはヘレンに向けて速射を行う。しかし、あっさりとかわされた上に、ヘレンの必死の攻撃によって機体肩部に損傷を負う。


「まずいわ……」


さらにそこにロバートがマリーに対し攻撃を仕掛けていく。二刀流で立ち向かうロバートに呼応するかのように、彼女も対抗する。


「私がこんな所で!! これでも喰らいなさい!」


怒りに身を任せて、彼女はロバートに素早く斬りかかっていく。彼女の動きに磨きがかかっていたせいか、流石のロバートも限界を感じた。ここで彼は長期戦に持ち込まれるのを嫌がってか、とある手段に出た。


「よし……、こうなったら……」


ロバートは隙を突いてマリーの機体に蹴りを入れ、さらに追い打ちをかけるかのように斬撃を喰らわせる。これにより彼女の機体右腕部は切断され、戦闘が困難になる。だが、彼女はまだ諦めてはいなかった。仲間の仇を討つことを。


「こんな所で……、死んでいられるものですか!!」


彼女は間合いを取ってビームライフルを連射するが、ロバートは即座に敵の動きを分析し、もう一度斬撃を喰らわせた。


「喰らえェェェッ!!」

「しまった! こんな事になるなんて……」


その斬撃は、彼女の機体を真っ二つに斬り裂く。マリーはその瞬間、かつての思い出が走馬灯のように駆け巡った。


「皆……。またいつか、会えるわよね……」


その直後、彼女の機体は爆散し、彼女の仇討ちはとうとう出来ないままに終わる。



 その後、連合国軍との戦闘は終わった。しかし、今回の戦闘では共和国軍側も被害も大きかったために修理工事には戦闘要員まで駆り出されることとなる。ロバート達は戦争終結に向け、汗水流して作業に取り組んでいた。



 一方で、連合国軍はついに最終手段に出る事となった。ライエルとオルテスは、共和国軍に全戦力を動員した上での史上最大の作戦を行うことにした。その全貌が明らかになる日は近い。

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