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第13機動部隊 プログレッサー  作者: 藤沢マサト
第三章 迫る危機
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第27話 発動! ギガンデス

 1月31日、ドラギウス帝国軍はクラッシャー隊を筆頭とする機動部隊をジュピトリア共和国軍の宙域に出撃させた。彼らの目的は、共和国軍の人工衛星の破壊であり、彼らはあっさりとその作戦を成功させて見せる。彼らの攻撃を受けて、共和国軍や連合国軍は各々の宙域に厳戒態勢を敷いた。

しかし、この人工衛星破壊作戦は帝国軍にとって計画の氷山の一角に過ぎなかったのだ。

彼らはまだ、その事を知る由もない。



 翌日、共和国軍は総合戦闘演習を終えてひとまず一段落着いた状態にある。

しかしながら昨日の事もあり、兵士たちの間では人工衛星破壊について様々な論争が行われていた。

何か裏があるに違いないなどと、そこかしこでそのような話がされていたのだ。


「ロバート少佐、昨日の件なんですけど……」


ヘレンも他の兵士のように例の事件について気にかけていた。


「あぁ、あの事件だな。やはり帝国軍はここから猛反撃を行うだろうな……」

「少佐もそうお思いで」

「そうさ。でも、どう対処すべきか……。それが問題だな」


ロバートは眉をひそめて考え込む。


「確かにそうですね。ロジオン長官は対策をしているようですが、それでも不安なものは不安ですよね」

「まぁな。今後俺達も巻き込まれるかもしれないし」


二人が話していると、カイルとフランクが近づいてきた。


「少佐、聞きました? 例の話なんですが」

「あぁ、知ってるよ。俺達ももしかしたら衛星護衛部隊になるかもな」

「そうなったら忙しくなりそうで嫌ですね……」


フランクは少し俯きながら話す。


「その時は仕方ないんじゃないか?」


カイルは気楽そうに高を括る。



 その一方、帝国軍ではギガンデスのシミュレーションが行われていた。

その内容は、最新鋭の人工知能を用いたシステムによって仮想実験であった。


「ギガンデスを一つ使用すると半径50キロメートル圏内の区域は壊滅状態に陥ることが証明されました。バルマーン長官、いかがでしょうか」

「うむ、完璧だな。これを量産すれば最早我が国に敵は無い……。これは面白いな」


バルマーンは余裕の笑みを浮かべる。

彼の思惑がこのシミュレーション通りになるのか。それはまだ分からない。



 時を同じくして、クラッシャー隊は既に次の作戦会議を終えて二日後の作戦当日に向け、準備を行っていた。この作戦において、ついにギガンデスが導入されるという事もあり、エルドラド達の心は高揚しきっている。だが、いくらギガンデスがあるとはいえど、自分たちが時間稼ぎに失敗したら作戦は水泡に帰す。それを覚悟した上で彼らは準備を進めていく。


「エルドラド中佐、自分は準備の方がもう終わりました」

「おぉ、早いなセルバード」

「今回は腕によりをかけてるようだな、セルバード。よっぽど自信があるみたいで何よりだ」


どこか皮肉交じりな発言をするヴィラーガ。


「うるさい、ヴィラーガ! 俺はこの作戦を何としてもやり遂げたいんだ」

「そうか。お前はせいぜい少佐の尻拭いだな」

「何をッ!」


セルバードはさらに腹を立てて、ヴィラーガに対し鋭い目つきで睨む。

さらにそこへとメルダが混ざる。


「全く、セルバード大尉……。相変わらず短気ですこと……」

「メルダまで何を言う! 黙ってろ」

「そういう所ですよ……、大尉」


メルダは薄っすらと笑う。


「これ以上セルバードの逆鱗に触れるようなことを言うのはよせ」

「あら、元はと言えばこんな事に腹を立てるようなセルバード大尉が悪いんですよ」

「だが、今は喧嘩をしている場合ではない。準備をする時間だ。さぁ、戻れ」

「はい……」


ヴィラーガとメルダは持ち場に戻った。


「セルバード、もう少し忍耐の心を着けるといいぞ。熱くなりすぎるなよ」

「分かりました。ですが挑発してきた方も悪いのでは?」

「確かに今回はセルバード達にも負があると思うが、すぐ怒るような癖は直せよ」

「了解です」


セルバードは若干不服そうではあったがとりあえずやり残したことは無いか、念のために確認をしておく。



 その日の夜、セルバードはヴィラーガとメルダに対し、腹を立てたことについて謝罪した。


「先程は済まなかった。許してくれ」

「気にしてはいないさ、セルバード」


澄まし顔でヴィラーガは彼の顔を見る。


「まぁ、いつもの事ですし。いいですよ」

「二人共、本当に済まない……」


セルバードは申し訳なさそうな顔であり、責任感を感じている。


「くよくよしてる時間は無いぞ、セルバード。とりあえず今後はこういった揉め事は控えよう。それと、俺も挑発したりして済まなかった」

「ヴィラーガ。お前が謝ることは無い」

「とにかく、私たちの間で喧嘩をするのはなるべくやめましょう」

「うむ、そうだな」


何とか三人は和解し、今後も全員で協力し合うことにした。



 それから二日後の事、まだ共和国軍が就寝時間の中で帝国軍が奇襲を開始した。

突然の出来事により、共和国軍は驚く暇もなくすぐさま戦闘態勢を整えることになった。


「ロバート少佐、新しい装備の準備を昨日の内に整えておいて正解でしたね」

「そうだな。これは不幸中の幸いだったな。とりあえず今回は、アタッカー隊と協力して地上と空中の二段構えで攻撃を行う。俺達は空中から先制を仕掛ける……。分かっているな?」

「もちろんですとも!」


カイルは意気揚々と返事をする。


「この作戦では大型粒子砲を使い、敵を一気に殲滅させる……。その後は分散と合流を繰り返しながら攻撃を仕掛ける。そうと決まったら行くぞ!」

「了解!」


こうして、プログレッサー隊は漆黒の宇宙へと飛び立った。

そこで彼らを待っていたのは、凄まじい数の敵である。

さらに数分後には連合国軍の部隊も進軍し、三つ巴の戦いになることを強いられた。



その中で、ロバート達は他の部隊と共に早速空中から両軍に攻撃を仕掛け、どうにか対処していた。

しかしながら、この戦いでは敵の数も多く、簡単には殲滅するにも上手く出来ない状態にある。


「クソォ、何でこうも鬱陶しいんだ!」


カイルは苛立ちを覚えながらも大型粒子砲を撃ち続けた。

凄まじい火力で敵を寄せ付けない状態にはあるものの、あまりの数に困惑する。


“カイル、落ち着くんだ。ここは的確に狙い撃つことを重視しろ。なるべくエネルギーの無駄遣いはよせよ”

「はい……。でも、敵はあらゆる所からやってくるんですよ!?」

“それでも落ち着くんだ……。焦っていてはいけないぞ”

「分かりました……、少佐。そこまで言うなら……」


カイルは一呼吸おいてから再び粒子砲の引き金を引いた。


「何だッ!? ウワアァァァッ!!」


敵機は放たれた光にかき消され、焼失する。

カイルは次第に効率よく敵を倒していくようになる。

だが、その矢先に大型粒子砲のエネルギーが切れ、捨てざるを得なくなった。


「エネルギーが切れた……。こんな時に……」

「落ちろォォォォッ!!」


何と、突如としてエルドラドが接近し、カイルの隙を狙って斬りかかって来たのだ。

カイルはすぐさま防御するも、エルドラドの攻撃の勢いに耐え切れず、低空域へと落ちて行く。


「まずい……。今のはエルドラドの機体だ……」

“カイル、大丈夫か? エルドラドは俺が片付ける”

「了解!」


ロバートはエルドラドと対決することとなった。そして、彼の援護としてアモン達が待機。


「ロバート! 俺達は地上部隊を殲滅したから、すぐに対空攻撃を仕掛ける!」

“アモン大佐、ありがとうございます”

「よっしゃあ、集中砲火だ!」


帝国軍と連合国軍の機動部隊は、圧倒的火力に怯みそうになる。


「そろそろじゃないか? アレが使われるのは……」

“そうですね。そろそろ私たちも引きましょうか……”


メルダはニヤリと笑みを浮かべる。さらに、エルドラドはロバートを軽くあしらうかのようにビームキャノンで攻撃後、戦闘機形態に変形し、部下共々去っていった。

この行動を見て、ロバートは不可解に感じた。


「逃げた? まともに戦わずに逃げただと……? 何か裏があるのか?」

“ロバート少佐、どうされました?”


ヘレンは画面越しに映るロバートの顔つきを見て疑問に思った。


「いや、エルドラド達が急に踵を返したもんでな……。不自然で気が気でない……」

“確かに……。帝国軍が急に撤収を始めるなんてどういった目的なんでしょうね……”


ヘレンの顔はやや青ざめているように見える。


「そこまで詳しいことは分からない」


すると、フランクから通信が入った。


“ロバート少佐! 今帝国軍の新型爆撃機が突然現れました……。それもはるか上空に……”

「何だと!?」

“もしかしたら、未曽有の凄まじい爆撃のために帝国の機動部隊は退避したんじゃ……”

「そうだとしたらまずい……。皆! こればかりは仕方ない。この基地から逃げよう……。もうこの規模の機動部隊だけでどうすることも出来ない。時間が無いからな」

“でも、どうするんです?”

「他の部隊と連絡を取るのさ」


こうして、ロバートは他の部隊と共に第4前線基地を守るのを泣く泣く諦め、基地に残っている部隊や非戦闘員と連絡を取り、全員で退避せざるを得なくなった。彼らは大型輸送艦を使い、第3前線基地へと向かっていく。



 その時であった────────

ギガンデスが発動し、第4前線基地を焼き尽くしたのは。

凄まじい爆発音は、ロバート達がいた艦内でも聞こえるほどである。

また、逃げ遅れた連合国軍の機動部隊はこの爆発に巻き込まれ、実質ほぼ全滅した。



 この事を受け共和国軍長官ロジオンは、未曽有の事態に驚きを隠せずにいた。

全世界で禁止されていた核兵器を帝国軍が使用したことに。


「何という事だ! 帝国はなんて卑劣なんだ……。圧倒的な巨大戦力で我が軍の機動部隊の戦意を喪失させ、さらにここまでの行為をするとは!! 幸い、我が軍で逃げ遅れた者はいなかったというが……」

「私も同感です。ロジオン長官、今後はどうします?」


側近の一人は切羽詰まった表情であった。


「このまま食い下がるわけにはいかん! 防衛システムの強化を行うとしよう」


ロジオンは今後、巨大なバリア発生装置を各基地に設置することにした。

しかし、開発費もかかるためこの行動はハイリスクハイリターンであった。

この行動が、吉と出るか、凶と出るか────────



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