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第13機動部隊 プログレッサー  作者: 藤沢マサト
第二章 激化する戦い
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第21話 死闘! ロバート対エルドラド

 11月25日、帝国軍・クラッシャー隊は連合国軍第6補給基地を襲撃し、完膚なきまでに敵を殲滅した。

そして、今回の手柄を受けてエルドラド達四人は一階級昇進となったのだ。


「クラッシャー隊の諸君、よく頑張ってくれた。君たちは今日付で一階級昇進となる。今後も油断することなく努力を惜しまぬようにな。期待しているぞ」

「はい、バルマーン長官」


彼らはバルマーンに対して、一糸乱れぬ動きで敬礼をした。


 

 一方、ジュピトリア共和国軍では総合演習が行われていた。

ロバート達はバーチャル操縦訓練を行っており、その中でロバートは順調に訓練を進めていた。


“訓練終了デス。撃墜数ハ20機デス”

「ふぅ、まぁこんなもんか。とりあえず次の訓練用AIは最高レベルに上げてくれませんか?」

「えっ、いいのか?」


教官はその発言に思わず驚く。

何しろ、先程まで使っていた訓練用AIはかなり難易度の高いものであったためである。

それをさらに上げるとなると人間の動体視力で辛うじてついていくのがやっとのスピードとなるのも理由の一つで、ロバートにはあらかじめ警告をしておいた。にも関わらず、ロバートは最高レベルに挑もうとする。


「お願いです。最高レベルをやってみたいんですよ」

「そうか……、分かった」


教官は訓練用AIの難易度設定をレベル10に変更した。

そして、ロバートは訓練を再開した。


“訓練開始デス”

「よし、始めるか!」


ロバートはしっかりと操縦桿を握って、目を鷲のように鋭くした。


「来たか! 一機目ェ!」


早速ロバートは一機撃墜することに成功。

その後もどうにか訓練を続け、5分間の訓練は終わった。


“訓練終了デス。撃墜数ハ17機デス”

「なかなか良い結果じゃないか?」


ロバートは訓練用筐体から降りる。その近くには丁度訓練を終えたヘレンもいた。


「少佐、さっき小耳に挟みましたけど……」

「あぁ、最高難度にしたことか? 結構余裕だったよ。前は怖くて出来なかったが、思ったよりは難しくはなかったね」

「そうですか」


二人が話していると、教官が歩み寄って来る。


「ロバート、どうだったか?」

「案外余裕でしたよ、教官」

「だが、油断はするなよ。お前たちは十分経験してきたと思うが、実戦はこれ以上厳しい戦いが待っているかもしれんぞ。任せたぞ」


険しい表情で教官は話す。


「じゃあ、これでバーチャル操縦訓練は終わりだ。次の訓練場に向かうんだ」


その後はカイルやフランクと合流し、また別の訓練を行うこととなった。

ロバートは幾多もの訓練をしていく中で、再びエルドラドに勝ってみせるという決断を固めていく。


 

 そして、総合演習が終わり、ロバートはフランクやカイルと休憩室で話をしていた。


「フランク、カイル……、俺はまたエルドラドに勝ちたいんだ。前はコテンパンにやられたから、二度とこういう事態にならないように、休憩をあまり挟まないで訓練をしたんだ」

「そうでしたか。確かに、前より少佐の顔は覚悟が決まったように見えますね」

「そうか? そう言ってくれると嬉しいよ、カイル」


ロバートは嬉しそうな表情を見せた。


「そういえば、カイルはこの前何か設計図みたいなのを書いてなかったか?」

「あっ、あれですか?」

「何を書いていたんです? 気になるんですが……」


フランクは興味深そうな面持ちでカイルの顔を見る。


「あれは、ガントレックの強化プランですよ。バックパックやハードポイントの増設を考えていまして、武装パターンは全部で三つあるんですよ。でも、まだその武装の詳細までは言えませんがね」

「なるほど。ガントレックの追加武装か。面白いな」


ロバートは軽く頷いた。

カイルの考えや行動力の凄さに感心したのだ。


「これから分かるとなると、楽しみだな。誰かに手伝ってもらったりはしてるのか?」

「はい、バンさんやジャネットに手伝って貰ってます。申請関連の問題はどうにかなるかと思うんですが……。そこが上手くいけばいいんですが……」

「ひとまず、自分も力になれれば幸いです。何かあったら言って下さい」

「おぉ、フランク。それは頼もしいじゃないか! いざという時は任せたぜ」

「はい……」


フランクがカイルと笑い合っていると、ヘレンが近くに来た。

その時の彼女はどこか不安気であり、それを見たロバートはすぐさま彼女の元に近づき、悩みを打ち明けるように話す。


「ヘレン、どうしたんだ?」

「あっ……、あの……」

「悩んでいるんだろ? 話してみてくれよ」

「はい、ちょっと談話室に行きましょう」

「分かった」


二人は談話室の方へと向かっていった。


「それで、悩みってのはなんだ?」

「はい……、私の悩みは、これからも同じ仲間として戦い続けられるかどうかなんですけど……」

「なるほど……」


ロバートは腕を組みながら暫く考え込む。

答えが出しづらい質問だったこともあり、何と言ったらいいか分からなかったのだ。


「やはり……、少佐でも答えを出し渋っているんでしょうか」

「そうだな……。どうしても何ていったらお前を良い方向に近づけられるか分からないんだ」


さらに考えた末に、ロバートはついに答えを導き出した。


「大丈夫だ。それは自分自身の問題だよ。体力の限界で除隊とかになるんだったらそればかりはどうしようもないと思うけど、今は身体的には大丈夫なんだろ?」

「でも、自分はこのまま足を引っ張ったりしないかどうか不安で……」

「そうか。それくらいなら俺たちが上手くフォローしてやるよ。だから安心してくれ」

「はい、ありがとうございます……。私、少佐の事を頼りにしてますからね」

「あぁ、これからも任せてくれって。いつでも悩みを聞いてやるからな」

「了解です」


ヘレンは明るい面貌を取り戻し、その後ロバートと別れたのだった。


 

 それから四日後、帝国軍の前線小隊や爆撃部隊が共和国軍第4前線基地へと進軍を開始した。


“少佐、今回の作戦は何としても成功させましょう!”


意気揚々とした表情を見せるセルバード。

彼は今回の作戦で秀逸な提案をしたのだ。

それだけあって、彼は自信に満ち溢れているのだろうか。


「うむ。今回は憎きMk-Ⅱを完全に叩きのめすいいチャンスだ。ヴィラーガとメルダも覚悟は出来ているな?」

“勿論ですとも”

“私も覚悟は出来ております”

「なら良い。では、早速最前列の防衛ラインを突破するぞ」

“了解!”


こうして、共和国軍は強制的に戦わざるを得なくなった。

だが、こういった事はロバート達にとって半ば日常茶飯事状態となっていたのだ。

そんな中、彼らは出撃する。


「少佐、ひとまず今回は菱陣形で行きましょう」

“そうだな、今回は後方にカイル、サイドにフランクとヘレン、俺が前方で行こう”

「了解です。とりあえず掃射をしながら進んでいこうかと思います」

“よし、そうしよう”


そして、真っ先にプログレッサー隊は空中へと駆けて行った。


「ん? あれは爆撃機か? よし、カイルは少し上の方に上がれ!」

“はい! ここが腕の見せ所ですよ!”


自身に満ちた面持ちで機銃を構えるカイル。

彼は目を鋭くして狙いを定めた。


「よし、これで決めるぜ!」

“カイル、気を付けろよ。相手はメタルユニットじゃない”

「それぐらい分かっています」

“十分承知だったらいい”


そして、カイルに遅れてロバート達も掃射を開始。爆撃機に集中砲火を浴びせ、どうにか撃墜しようと試みる。装甲がいくら厚いとはいえ、旧式の爆撃機では機敏な動きのメタルユニットでは太刀打ちは出来ず、一機撃墜される。


「よっしゃあ! 案外余裕ですね!」

“油断するなよカイル。敵は爆撃機だけじゃない”


そのような事を言っている間に機動部隊が矢継ぎ早に出撃していく。

何十機ものメタルユニットがプログレッサー隊に接近。


「まずい、このままだとやられるんじゃ……」

“ここは俺に任せろ”


ロバートはパワードキャノンを構えて、巨大な稲妻のような光線を放った。

この攻撃により、敵機の半数近くは殲滅される。

圧倒的な火力に怯む帝国軍の兵士達。このままでは勝ち目が無いと察し、プログレッサー隊に集中攻撃を行う。


「よくも俺たちの仲間をッ!!」

「させませんよ!」


ヘレンは咄嗟にビームライフルで敵を狙い撃ち、撃墜に成功した。

だが、まだ敵は数多くいる。そんな中、ストライカー隊も合流して戦力面では少し有利となる。


“ロバート少佐、そちらは大丈夫ですか?”

「今は大丈夫だが、このままじゃ厳しいかもな。援護頼む」

“了解です。クローティス、エリナ、リオ、行くぞ!”

“はい!”


そして四人は、果敢にも近距離戦に挑んだ。彼らは勢いに乗って機動部隊を次々に真っ二つにしていく。

彼らの活躍により、機動部隊だけでなく爆撃機も二機撃墜された。

だが、ここで残存している爆撃機が本格的に攻撃を開始した。


「爆弾を投下しろ!」

「了解! これで奴らも終わりですね」


爆弾の雨が、第4前線基地を襲う。基地の施設は一部爆破され、第一防衛ラインは陥落。


「嘘だろ!? このままだと基地が全滅するぞ! 早く爆撃機を撃墜しよう」

“了解、アモン大佐”


そして、アモン達は空中へと舞い上がり、大型粒子砲で爆撃部隊を迎え撃つ。


「これでも喰らえェッ!!」


副隊長のラディムは手始めに爆撃機を一機撃墜する。

凄まじい威力の光線の前では、大型の爆撃機でも適わなかった。

その後、アモンはエストルと共に爆撃機を一機ずつ撃墜し、残り一機となる。


「よし、このままトドメを刺してやろうじゃないか! 落ちろォォッ!!」


アモンが放った光線は爆撃機のコックピットに直撃し、爆発四散した。

これにより、これ以上の爆撃による被害の心配は無くなる。だが、機動部隊はまだ残っているため油断は出来ない状況下にあった。そこで、アモン達もロバート達に加勢することとなった。


“ロバート、俺達も加勢するぜ!”

「アモン大佐! ありがとうございます……」


こうして、圧倒的火力に物を言わせて敵機を次々に撃墜していく。


「よし、いいぞいいぞ!」

“ロバート少佐、あの赤い機体は……”

「ま、まさか……。奴か!?」


ロバートはすぐさまエルドラドが接近していると勘付く。

こうして、二人の戦いが始まる。また、クラッシャー隊のセルバード、ヴィラーガ、メルダはカイル達と対決することとなった。


「ここは遠距離戦で……」


ヘレンは機銃をしっかりと構え、メルダに目掛けて光線を撃つもののなかなか当たらない。

そこでヘレンは、少しずつ距離を詰めていくことにした。


「なるほどね……。近づいて当たりやすくしていこうとするつもりね」


メルダはヘレンの考えに気付いて、彼女は逆に距離を取ることにするが、ヘレンの接近する速度はメルダよりも上回っている。


「落ちなさい!!」

「何をォッ!! 私がこんな攻撃で!」


ヘレンは必死に攻撃を回避し、急所を見抜いて光線をメルダの機体に目がけて一発撃つ。


「キャアアァァァッ!!」


メルダは機体に大きな損傷を負ったため、撤収を余儀なくされた。



 一方、カイルはセルバードと銃撃戦を繰り広げていた。

カイルは必死に掃射を行い、どうにか応戦できているという状態である。


「俺たちは、必ず勝ってみせる! 必ずな!」

“カイル大尉、11時の方向から光線が!”

「まずいッ! ウワァァッ!!」


カイルは被弾したものの、幸い深い傷ではなかったためそのまま攻撃を続けた。


「奴め……、被弾しているのに知らん顔をするとは……」


セルバードはこのままでは埒が明かないと察し、カイルに勢い良く斬りかかった。


「落ちろォォッ!!」

「まずい……。このォォッ!」


カイルが咄嗟に撃ち放った光線は、セルバードの機体に直撃し、機体の動力システムに異常をきたした。

その後、セルバードはどうにか自力で基地へと戻っていく。


 時を同じくしてフランクは、ヴィラーガと対決していた。

その中で、ヴィラーガは圧倒的なまでのスピードでフランクを翻弄する。


「どうした? もう終わりか?」

「ならば……、動きを見極めるか……」


ここでフランクは、目を鋭くしてヴィラーガに狙いを定める。


「よし、ここで一発!」


一筋の光線がヴィラーガを襲うが、彼はそれを上手く盾で防御してそこから切り返す。


「落ちろォッ!!」

「何とォッ!」


何とかヴィラーガの攻撃を回避して、再び光線を撃つフランク。

この攻撃を喰らい、ヴィラーガは機体肩部に激しい損傷を負ったため、この場を去らなくてはならなくなった。



 その一方で、ロバートとエルドラドは今までにない激しい戦いを繰り広げていた。

最初はドッグファイトで激しい遠距離戦を繰り広げていたが、銃火器のエネルギーが切れてからは、接近戦をひたすら行い、終わりの見えない戦いと化す。


「クソォ、このままじゃやられる……」

「どこまでもしつこい奴め……。Mk-Ⅱの首は貰うぞ!」


エルドラドは素早い動きでロードブレイダーMk-Ⅱを真っ二つに斬り裂こうとする。


「させるかァッ!! このォッ!」


ロバートは足元を狙ってエルドラドの駆るギルファーに蹴りを入れる。

そこに丁度ヘレンが合流し、彼女はビームライフルでエルドラドに一発光線を放つ。


「少佐、援護します!」

“ヘレン、助かったぜ”


その攻撃により、ギルファーは空中から落下。

そして、ロバートは地上に降り立ち攻撃を仕掛ける事にした。


「しまったァ! このままでは……」


さらにそこへとフランクやカイルも加勢し、遠距離からの攻撃でエルドラドは錯乱。

最早どこから先に攻撃したらいいか分からなくなってしまう。

そこへ正面からロバートが隼の如き速さで接近。


「喰らえェェッ!!」


ロバートはエルドラドの機体胴部に蹴りを入れて吹き飛ばし、そこか落下した隙にギルファーの右腕部を切断した。

これによりエルドラドは戦えなくなり、そのまま撤収を余儀なくされた。

その後帝国軍は撤収し、戦闘は終わった。



 戦闘が終わり、ロバートは仲間たちに感謝の言葉を告げた。


「さっきはありがとよ、皆」

「いえいえ……、今回は俺たちはちょっと撃っただけですよぉ」

「カイル、顔に出てるぞ。照れてるのがよ」

「いやぁ、ばれちゃいましたか」


カイルは顔を赤らめながら顔を隠す。


「少佐……」

「どうしたよ、ヘレン」

「私、これからも戦うための自信が付きました」

「それは良かった。これからも頑張ってくれよ。期待してるぜ!」

「はい!」


ヘレンはますます自信が付き、今後も悩むことなく戦おうとする意志を見せた。


「ロバート少佐、エルドラドはまだ完全に倒し切れてはいないようですが……」

「ああ、必ずアイツは倒してやるさ」

「良かった。少佐も自信が完全に戻ったようですね。これからも頼りにしてますよ」

「フランク、ありがとう!」


こうして、どうにか戦いに勝利したロバート達だったが、まだ戦いは完全に終わったわけではない。

漆黒の宇宙から見守る神はこの戦いの行く末を知っているのか。そして、いまだに謎が多い帝国軍の決戦兵器“ギガンデス”の真相が明らかになる時は来るのか。

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