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第十七話 アナスタシア・ジョーンズ(2)

アンダルシアのキレイな夜。



アナスタシアは窓の外に出て

バルコニーに一人で立っていた。



時より吹く心地よい風を肌で感じていた。


アナスタシアは夜景を見つめながら


香津美が自分の部屋の

ドアをノックするのを待っていた。



いつまでたっても

アナスタシアの部屋のドアは

ノックされなかった。



香津美が

アナスタシアの部屋を訪れることはなかった。



アナスタシアの緑の瞳は

ため息まじりで曇っていた。



いくら待っても

部屋に来ないかっての恋人。



自分のことなど

忘れてしまったのだろうか。



アナスタシアは

寂しい思いに身を震わせていた。


アナスタシアの思いは通じるのだろうか。



窓が開け放たれた香津美の眠っている部屋。

隣の部屋の香津美は眠っているわけではなかった。



ベッドの上に横たわり

目を開いて天井を見ていた。



カーテンが風で

香津美の心のように揺れている。



ベッドから立ち上がると

香津美は窓の外のバルコニーに出た。



時よりきらめく

町の灯りが香津美の目を引きつける。



アナスタシアのつけている 

ほのかな香水の香りが

風に流されてやってきた。



香津美はバルコニーに立っている

アナスタシアを見つけた。



笑顔で香津美に手を振るアナスタシア。


香津美はその笑顔に答えて笑顔で返す。


香津美はアナスタシアの傍まで歩いてゆくと

声を掛けた。


「どうしたの?眠れないの?」

ええ、こんなに素敵な月夜の晩だから、

眠るには惜しいような気がして・・・。」


アナスタシアはブロンドの髪を

右手でかきあげてそう言った。



「えつ、月が出てたの?

町の灯りに気を取られて気づかなかったな。」


夜空の上に満月にしては

少し欠けた大きな月が顔を出していた。



「香津美はいつもそうよね、

一つの事に気を取られているから

回りが見えないんだわ。」



香津美はそう言われ

て少し苦笑いをする。



香津美はバルコニーの手すりにもたれ

て大きな月を見上げた。


アナスタシアは

月を見上げている

香津美のその横顔を見つめている。



「何か飲み物でも飲む?」

アナスタシアは香津美に声を掛けた。



「いいね。月を見ながら

、名月や名月・・・。」



「コーヒーでも飲む。」



「コーヒーはもういいや。」


香津美は昼間色々な種類のコーヒーを飲んだので

コーヒーの味にうんざりしていた。



アナスタシアは香津美の心を知っていたように、

わざとそう言うと悪戯っぽく舌をペロリと出した。



アナスタシアは部屋から

ワイングラスとよく冷えた白ワインを持ってきた。




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