54.炎麗vs茜
なお、この茜は元の登場作品である『妹の勇者召喚に~』から20年以上経ってるので、元作品よりも強くなってます。
(火神 炎麗視点)
「あ~、あっつい……一応言っとくとこれ、私じゃなきゃ消し炭になってたからね?」
「……寧ろ、貴女が未だに平気そうにしている方がおかしいですわ!」
アサヤマ アカネ……
そう名乗った者は、未だに業火の中で余裕綽々といった態度を崩さずに話しかけて来ていましたわ。
……それにしても、どうして消し炭になっておりませんの?
「ん~?……ふむふむなるほど、この炎って炎麗ちゃんが焼きたいと思ったものだけを焼いてくれる仕組みになってるのか~♥️」
「……ええ、だからこそ自身や味方を燃やさずに済んでいるのですが……貴女はきっちり燃やす対象にした筈ですわよ?」
加えて、どうやってか私のスキルに関する詳細な情報まで把握している始末……
……まさか、見たり受けたりするだけで把握可能だなんて言いませんわよね?
「う~ん、確かに強いんだけど私を燃やすには火力不足かな……あ、誤解しないで!これでも人間にしては充分強いから!」
ーブチッ……
「……私を舐めるのもいい加減にしてくれませんこと?」
完っ全に私を舐め腐っておられますわね?
ならば、今度は剣の錆びにして差し上げますわ!
「お、炎麗ちゃんやる気満々な感じかな?……んじゃ、あらよっと♥️!」
ーブワッ!
「っ!?……わ、私の炎が……綺麗さっぱりかき消されましたの!?」
アカネ……恐らく表記は茜……がその気になったと思われる瞬間、茜を覆っていた業火が消えてその姿が露わになりましたわ。
ですが、その姿は……
「で、私の姿を見た感想は?」
「……まさか、眼帯以外は何処にでも居そうな女子高生だとは思いませんでしたわ……」
「……というか、こいつ俺達が向こうを出発した時から居なかったか!?」
……一見すると何処にでも居そうな、うら若き女子高生でしたの。
もっとも、左目には中二病患者みたいな黒い眼帯を付けておりましたけど……
それでも、その風貌だけであれば不審な点など皆無としか言えませんでしたわ……
「う~ん、本当は私だってわざわざ戦いたくないんだけどな~……【戦乙女】の神器15番、【破魔の剣】!」
ーブンッ!
「なっ……」
「へ……」
ードガドガドガァァァァァン!……プスプス……
えっと………はい?
今、何が起こりましたの?
「あれ?……もしかしなくても炎麗ちゃん達、理解が追い付いてない感じ?」
「……急に貴女が何処からか剣を顕現させて、軽く振るったら私の斜め後ろの壁が崩落しましたわ……え、本気で言ってますの?」
見えませんでしたわ……
何処からか顕現させた剣を振るったのはギリギリ見えましたが、そこから先……
……攻撃の軌道が、全く見えませんでしたの……
「炎麗さん、こいつは本当に戦える相手なのか?」
「勇雄さんは少し離れてくださいませ!……巻き込まれても知りませんわよ!」
「あ、ああ!」
ータッタッタ……
「ふぅ……これで思う存分戦えますわ」
狼狽える勇雄さんを少しだけ引き離し、私は改めて茜へと目を向けましたわ。
対する茜は、ふざけた態度を崩す事なく……
「だ~か~ら~、私は別に戦いたくないの!……けどまあ、炎麗ちゃんがどうしてもって言うなら胸を貸してあげても良いよ♥️!」
……そう、私を見下して言ったのですわ。
ーカチン……
「……とことん私を舐め腐っておりますわね!」
ーブンッ!ボォォォォォォォォォォ!
これには私も苛立って、思いっきり剣を振りましたの。
なのに……
「遅い、30点!」
ーギィィィィィン!ボォォォォォォォォォ!
「…………は?」
私の剣は茜の剣に止められ、炎も茜を覆うだけで終わりましたわ。
……多分、また無傷なんですわよね。
「あのさ、せめて私が着用してるものぐらいは燃やして貰わないと困るよ……」
「……そもそも、どうして燃えませんの!」
「え~、その辺の説明って難しいんだよ……でも、そこまでしないとミランダとやらには勝てないよ?」
「っ!……貴女、ミランダの何を知っていますの!?」
茜が着用してるものを燃やせないと、ミランダには勝てない……
そう語る茜に対し、私は何を知っているか問い詰めておりましたわ。
……しかし、返って来た答えは……
「何も知らないよ?」
「………………死にたいんですの?」
何も知らないという、ふざけ切った答え。
これには私も、遂に堪忍袋の緒が切れて……
「いやいや、そういう訳じゃ……」
「問答無用、死に晒すのですわ!」
ーブンッ!ブンッ!シュン!シュン!
私は横薙ぎ、振り下ろし、そして突きを2回、茜へと叩き込みましたわ。
……にも関わらず……
「うおっ、基礎は、完璧って、感じかな♥️?」
ーギンッ!ギンッ!ギンッ!ギンッ!
「………………全て、あしらいますのね……」
4連撃は全て茜の剣に軽くあしらわれ、茜へ傷1つ付ける事すら叶いませんでしたわ。
と、その時……
「ハァ~……ちょっと聞いて!」
「聞く話なんてありませんわ!」
「あ~もう私の言い方が悪かったよ!……確かに私はミランダの事を何も知らないけど、少なくとも風斗ちゃんが戦わず撤退を選ぶ程の相手だって知識は持ってる……」
「それがどうしましたの?」
……どうしてですの?
どうして、こうして話をしている最中すら茜には隙が見当たりませんの?
……下手に剣を叩き込めない、叩き込んだ瞬間に斬られてしまう……
そんな予感が、プンプンしておりましたわ。
「ん?……私の話ちゃんと聞いてる?」
「聞いておりますわ!」
「なら良いけど……それで、風斗ちゃんの実力は炎麗ちゃんと遜色ないどころ上ってレベルでね?……ここまで言えば、分かるよね?」
「……今の私では、ミランダに勝てないと?」
「そうそう、そのと~り♥️!」
………………………………………………ほう。
言ってくれますわね……………………
「……私は認めませんわよ……今の言葉、撤回を要求しますわ!」
ーダンッ!
絶対に、認められなかった……
ミランダに勝てない?
長年追い続けた仇を討てない?
……私が、悲願も叶えられずに死ぬ?
そんなの、認めませんわ!
「上段斬りですわ!」
ーブンッ!ゴォォォォォォォォォォ!
「イナバウアー♥️!」
ースカッ……
「からの足払いですわ!」
ーザザッ!
「甘い甘~い♥️!」
ーピョンッ……スカッ……
「んなっ!?……いえ、自分から逃げ場を失いましたわね!」
茜、後ろにのけ反った姿勢からジャンプだなんて上手くやったつもりですの?
こんな体勢では、私の攻撃を避けるなんて無理な話だというのに……
……自分から逃げ道を潰すなんて愚の骨頂、私の予想よりも愚かな相手でし……
「炎麗ちゃん、本当に甘いね♥️。……【戦乙女】の神器12番、【蒼天の翼】!」
ーバサッ!……ヒュン!
「ふぁっ!?」
……たわねってえぇぇぇぇぇぇぇ!?
背中から翼が生え、飛んで回避してしまわれましたわ!?
「うんうん、炎麗ちゃん凄い凄い♥️。……剣から出る業火はそこいらの敵の殲滅程度なら充分な火力、剣術も基礎がしっかりしてて並大抵の相手なら楽に葬り去れる実力だってある♥️……で、それだけ?」
「そ、それだけって……ま、まだ私の最大火力を浴びせておりませんわ!」
「最大火力って……ここまで私がお膳立てしてるのに出してない時点でそれも論外。……何というか炎麗ちゃん、S級探検者とやらのラインにはギリギリ乗ってるんだろうけどさ……ちょっと味方幹部枠としては弱過ぎない?」
「……………私を侮辱するのもいい加減にしてくださいませ!」
ーボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!
徹底的に侮辱され、怒り心頭となった私は最大火力の業火を身に纏い、茜へと攻撃を振るおうとして……
「ハァ~!……それだって隙だらけなの!」
ーヒュン!……ガンッ!
「かはっ!?」
茜は突如として猛スピードで突進して来て、私の腹へ肘を打ち込んで来ましたわ。
……当然、私がその衝撃に耐えられる筈もなく……
ーシュゥゥゥゥ……
「はい終了~♥️!」
ードサッ……
「ハァ……ハァ……な、何ですの、貴女……」
……腹に肘打ちを食らってしまった私は、そのまま地面へと突っ伏してしまいましたの……
「私が何者かって?……そんなの、こことは違う異世界で"愛欲の勇者"の名を賜った普通の女の子だけど?」
「ふ、ふざけるのもいい加減にして欲しいですわ!」
「ふざけてないんだけどな~……って、それよりもう1つ大事な事があったんだった!」
「……はいはい、はぐらかすんですわね……」
結局、茜は最後まで自身の正体を語ろうとしませんでしたわ。
……案外、この勇者云々が本当だったり……いえ、あり得ませんわね……
と、こんな事を冷静に考えていた、そんな時でしたわ。
「あのね、心して聞いて欲しいんだけど……炎麗ちゃん、悪魔に憑かれてるよ?」
「は?……貴女、私を揶揄うのもいい加減にしてく『ククク……おっかしいな……こいつはそう簡単にバレねぇ筈なんだが、こうもあっさりバレちまうとかお前何者だ?』れませ…………え?」
あれ、今……
私の口から、私じゃない声が……
「うわぁ……お前、炎麗ちゃんの体に5年も潜んでたとかドン引きものだよ……」
「茜、何を言っ『ククク……おいおい、そこまでお見通しなのかよ!』……5年?待ちなさい、この口調は……」
信じたくありませんでしたわ……
だって、あいつはあの時に葬り去って……
「……メフィストフェレス、よくもまあ炎麗ちゃんの中で生き残ってたものだよ……」
「そ、そん『ククク……そりゃちょ~っと事実と違うってもんだ』な……」
私が口を開く度に出て来るのは、かつて戦ったメフィストフェレスを彷彿とさせる"何か"が紡ぐ言葉……
……いったい、何がどうなっておりますの!?
ご読了ありがとうございます。
次回、メフィストフェレスvs茜。
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