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第三十一話 先制攻撃

 僕は今、地下水が流れている鍾乳洞広間で、水浴びをしていた。

 水で濡れたタオル・ましてや風呂など、ここには無い。だから、ここの水は汚れを落とす意味でも重要になる。


 けれど、今僕はその水を使っていない。何故か? ───()()()からだ。



ラクト=ユウキ 種族 (人間) 年齢:16

 レベル:35 取得経験値量:325631

  筋力 :4039

  瞬発力:4841

  体力 :5039

  魔力 :50141

  出力 :501

  抵抗力:10026


スキルホルダー:気功術

       :気功剣

       :属性解放剣術


スキルリスト

《パッシブ》魔素完全適応

《チョイス》気功術Lv.23

《チョイス》気功剣Lv.17

 ∟《チョイス》属性解放剣術Lv.11

        ∟火

        ∟風

        ∟雷

        ∟水

        ∟土

《チョイス》自爆術

《チョイス》縮地Lv.9

《チョイス》測定眼Lv.7

《チョイス》斬鉄術Lv.4

《チョイス》刺突術Lv.3

《チョイス》発勁Lv.3

《チョイス》剛体術Lv.2



 目標のレベル三十五達成。

 ここに来て、どれくらいの時間が経ったんだろう?

 ただひたすら、生きる為に魔獣(スーサイドロック)を狩る日々。命が懸かってなかったら、絶対に出来なかった事だな。


 もうすでに、貸し出してもらった戦斧は壊れてしまっていた。

 たまたま休憩所に置いてあった・砂埃の被った鉄剣を使うのもありかとは思ったけど、流石にあの化け物相手に武器無しは厳し過ぎるという事で、現段階以上の劣化を防ぐ為に使わないでいた。つまり、途中からスーサイドロックを素手で倒していたという事。


 その過程で、多くの『スキル』を身に付ける事が出来た。



測定眼←魔力の流れを可視化する


斬鉄術

↑手に魔力を集中・覆う事で、刃物の様な斬れ味を再現する


刺突術

↑指の先に魔力を集中・覆う事で、対象を鋭く貫く事を可能にする


発勁

↑掌に魔力を集中、攻撃直後、衝動が伝わると同時に魔力を解放し、攻撃の振動を対象の内部により深く・長く留まる様にする


剛体術

↑攻撃時、自らの体を固め、より強い衝撃を相手に伝わらせる



 新しく得た『スキル』のほとんどが体術に関係する事。でも、常に武器があるとは限らないので、こういう『スキル』を得る事が出来たのは純粋に嬉しい。

 それに、『測定眼』に関しては、魔力の流れ───エネルギーの流れを見る事が出来るので、それで相手がどんな状態か・相手が技を放とうとしているのかどうなのかが分かる。非常に有用な『スキル』だ。

 そして、『属性解放剣術』。これの熟練度が増した為、魔力の変え幅が大幅に上昇した。先の「水を使う必要が無くなった」というのはこれが理由だ。

 戦闘では使えないが、剣の周りの魔力を水に変える事が出来る。サバイバルをする時にこれ程 有用な『スキル』は無いだろう。『自爆術』を使えば その限りではないが。

 その『自爆術』だが、最初に岩の化け物と遭遇して以来、全く使用していない。というのも、使うには洞窟内では狭過ぎるのだ。使って天井の崩落でも起こしたら目も当てられない。なので、巨大な岩の化け物対戦時以外は使わない事にした。


 とにかく、これで準備は完了した。

 僕は水浴びを終え、既に洗って干してあった服を着て、軽く手入れして傍に置いておいた鉄剣二本を持ち上げ腰部分に取り付ける。


 さぁ、この洞窟暮らしも今日で終わりにしよう。



   □□□



 洞窟を進む。静か過ぎて、靴が地面に当たる音がやけに響く。

 何故か、あれ程 会敵したスーサイドロックと一回も遭遇していない。まぁ、こちらとしても無駄に体力を消費しなくて済むから助かっているけど。


 とにかく進む。もう、迷いは無い・油断も無い。

 ただ倒し、上に上がる───それだけだ。


 不意に、洞窟内が少し揺れ、天井からパラパラと小石が落ちてくる。


 これは………。


 僕の口角が思わず吊り上がってしまう。

 どうやら、僕の存在に気付いたみたいだ。


 揺れは次第に大きくなり、それと共にくぐもった爆発音までこちらに届く様になる。

 僕はそれで足を止めた。


「………」


 そろそろだ。


 瞬間、大きな爆発が起きて目の前の道が崩れ吹き飛び、最初に僕が降りてきた広間と強引に繋げられる。


「おぉ゛りゅるるる゛ぅああ゛ぁあああ゛あ゛あ゛!!!!」


 そして、人の形を模した巨大な岩の化け物が、再び僕の前に姿を現した。




 もう迷いは無い・恐れも無い。

 だけど、改めて見ると凄い大きさだな、コイツ。

 何でこの洞窟内でこんな大きな生物が生まれるんだ?

 ていうか、コイツ尻尾もあるじゃん。岩で模した尻尾もどきだけど。


 僕はまじまじと敵である化け物の姿を観察する。

 黒い体に、その中に通っている赤い線───血管? それが全て岩によって固められている。

 洞窟の主におあつらえ向きと言えば、そうではあるか。


「おぉぉ゛お゛お゛おおおあ゛ああ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あああ!!!!」


 化け物が二度目の咆哮を上げる。

 まるで「戦闘開始」と言っている様だ。


 剣を持った今、体術専用である『斬鉄術』と『刺突術』・『発勁』は使いものにならず、固め留める『剛体術』は引き裂く事を目的とする刃物とは相性が悪い。

 得た『スキル』のほとんどが使いものにならなくなるが……それでも、武器を持つ事はそれ以上のメリットとなる。

 負ける気はしない。むしろ、武器を失っても大丈夫だという余裕、そのおかげで肩の力も抜けている。


 いいねぇ、じゃあ遠慮無くっいかせてもらうよ!!



スキルホルダー:気功剣

       :属性解放剣術

       :自爆術 カチッ



 剣を引き抜き、魔力を刀身に集中させ、それら全て“火”に変えて力いっぱい振り下ろした。

 人どころか巨大な化け物さえも軽々飲み込む爆発が起き、広間と僕の後ろの洞窟に衝撃と煙が襲い掛かる。

 発動した僕も、思わず跳んで後退してしまった。


「っっ゛、ゲホッ!」


 なん、で……?

 自分で放った攻撃だったのに、その火は僕にまで及び、皮膚は軽く炙られ・熱気で喉が焼かれる。


 『自爆術』の影響? でも、最初放った時はこんなにならなかった。じゃあどうして!?


 まさか……表示されてないだけで、『自爆術』にも熟練度がある? 最初のは、たまたま上手く扱えただけ?


 クソ……これは完全に誤算だ。この攻撃を軸にあの化け物を倒そうと考えていたから、練っていた計画が初手からパーだ。


 いや、切り替えよう。むしろ、緊迫した状況下で分かるよりは、今分かった方がまだ立て直せる。早めに知れて良かったと考えるべきだ。


 僕は目の前に注目する。

 まだ煙が晴れず視界は悪いが、あの化け物が存命だという事は分かる。

 あの攻撃だけでやられる程ヤワじゃないだろう?


 何が来ても大丈夫なよう、僕はスキルホルダーを組み替えていた。

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