↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/49

第十五話 自覚し溢れる憤り

 僕は木刀を構える。


 カマザ君との一対一・模擬戦。

 これまで、模擬戦でも彼と交える事は度々あったけど、そのことごとくで僕は彼に惨敗してきた。


 今朝、彼の拳を遅く感じた。けれども、それはあくまで素手での話だ。

 彼もまた騎士を目指す剣士。素手よりも剣の扱いの方が優れているのは自明の理。


 元々弱かった僕だ。強くなったとはいえ、ここでどれだけ通用するか分かっていない以上、様子見なんてふざけた事は出来ない。ここで油断し、手なんか抜いてみろ───最悪ボコボコにされ、またあの弱くて矮小わいしょうな僕に逆戻りだ。


 カマザ君も片手でだが木刀を構えた。いつもの様にヘラヘラ笑って まるで真剣味が無い。

 それでも、そんな彼にすら歯が立たなかったのが僕だ。


 ここで越えよう───カマザ君を。

 もう何も出来ない過去の僕はいないのだから。


 まずは、先手を取る!


 右足を踏み込み、一気にカマザ君へ肉迫した。

 彼の木刀を僕の木刀で横に弾く。


「───っ!?」


 木刀を弾かれた事で、木刀を持っていた手も必然的に横に広がる。彼の体勢が大きく崩れた。

 武器であり・そして盾ともなる木刀は体から離れ、今の攻撃が予測出来なかったのか、追撃を避ける為に体を逸らしたり後退する事も出来ていない。───完全な隙。


 すぐに追撃に入ろうとする僕。

 ………だが、そこで一つ、違和感を覚えた。


 露骨過ぎる。


 カマザ君が油断している所を狙った攻撃ではあったが、彼もまた『修練塔学園』に通う一生徒・修練生だ。いくら何でも、攻撃を受けた後の対応が疎か過ぎる。

 これはあから様な罠、()()()()()。その体勢から何が出来るかは分からないが、きっと僕の裏をかく()()がある。


 それに思い至ると同時に攻撃を中断。

 僕はすぐに距離を取り直した。


 わざわざ相手の攻撃を馬鹿正直に食らってやる必要は無い。

 分析も大事だが、それよりも、先手を取り続ける事の方が大事だ。


 離れた事でカマザ君の表情が伺える。彼は見開きながら僕の方を見て、驚愕をあらわにしていた。


 あの顔………やっぱり、狙ってたんだ。僕が誘いに乗らなかった事で、驚いているんだろう。

 そう簡単に行くと思うなよ。もう、これまでの僕とは違うんだ。


 また僕が先に動き出す。

 今度は一気に彼の背後まで回った。

 またカマザ君は反応を見せない。また誘いか?

 構わない。僕はそのまま木刀を振り始める。


 罠だと分かっていれば、ある程度 対応が効く。

 それどころか、それを利用出来れば さらに闘いを有利に進められる。

 さぁ、何をしてくる?


 そのまま僕は木刀を振り。

 ───そのまま、僕の木刀は彼の背中を勢いよく叩いた。


 ………え?


 鈍い音が響き、カマザ君がそのまま地面に四つん這いとなる。

 背中に手を回し、木刀が当たった部分を押さえながら体を震わせていた。


 余りに予想外な対応に、僕はまた距離を取ってしまった。


 え? あれ? 普通に当たったんだが……?

 罠……じゃなかったのか? それとも、痛みでうずくまってるあれも演技?

 いや、僕相手にそんな演技をする意味が分からない。という事は……本当に見えていなかったのか? 最初のあれも、誘っているのではなく、本当に隙だった……?


 ………何だよそれ。


「……ってぇ………ラクトぉ、てめぇラクトぉ……!」


 カマザ君が僕を睨みながら立ち上がる。

 立ち上がり時はまだ背中を手で押さえていたが、それでもすぐに両手で木刀を構え直し、こちらを向く。


 今度はカマザ君から攻撃を仕掛けてきた。上段からの大振り。


 だが……あまりにも遅い。

 僕はすぐに懐に入り込んで、彼が木刀を振り切る前に、彼の腹へ自分の木刀を叩き込んだ。

 カマザ君の体が一瞬くの字に曲がる。


「───っ、がっ、っっ、ぁぁあああああ!!!!」


 だが、それでカマザ君が倒れる事は無く、攻撃の勢いで後ろに回った僕の方をすぐに振り向き、また木刀を振り上げた。


 しかし、木刀を持っている方の肘を攻撃する事で、それすらも僕は防いで見せた。


 そこからはもう一方的だった。

 肘を薙がれたカマザ君は隙だらけとなり、僕はその間に彼の体に何発も攻撃を放っていく。

 右腹・左胸・左肘・左頬・右胸───木刀を振る毎に回転数は上がり、どんどんと攻撃と攻撃の間が埋まっていく。


 カマザ君はもう成されるがままだ。

 何も抵抗などせず───出来ず、僕の攻撃を受け続ける。


 こんなに………こんなに弱かったのか? 彼は。

 この程度の実力しか無いのに、僕をイジメていたのか。

 この程度の相手に、僕は今まで好き勝手されてきたのか……!


「……っっっ」


 木刀を握る力を徐々に強めていく。


 騎士を目指す以上、修練や座学など やる事はいっぱいあるだろう。

 それなのに、それをする事すら無く、自分の愉悦を満たす為だけに彼は………こいつは、暴力を振るってきた。


 この程度の実力しか無いのなら、僕にかまけてる時間など無かっただろう。

 時間が許す限り体を鍛え、技を磨く。それを優先して行うのが、修練生として───騎士になるものとしての義務だろうがっ。


 僕はカマザ君の腹を打ちはらう。


 よくこんなので僕に暴力を振るっている暇があったな。

 強くもないのに、何であそこまで威張り散らす事が出来たんだ?

 ───()()()()()()


 僕は彼の顎を打ち上げる。


 騎士を目指そうというのに、きちんとした努力もしてこなかったこいつに腹が立つ。

 こんな奴に、今まで好き勝手されてきた自分に腹が立つ。


 ふざけた事ばかりだ。割に合わない事ばかり。


 それでも、それら全ては事実で、無駄になった時間は返ってこない。


 ………ふざけんな。


「───っっっ」


 ぶさんな……ふざけんな ふざけんな ふざけんな、ふざけ───!!!!


 いつの間にか、僕はこれが模擬戦闘だという事も忘れて、木刀を振るう事に夢中になっていた。

 無意識に力も過剰に入り、木刀を打ち続けられたカマザ君がどんな状態になっているかも気にする事なく、ただ自分の中の怒りに身を任せて、最後には大きく木刀を上段に掲げ、振り下ろそうとしていた。


 もし、そのまま木刀を振り下ろしていれば、もしかしたらカマザ君に致命的な傷を負わせる結果になっていたかもしれない。


 これは模擬戦。実践では無い為、そんな事故が起きる事を良しとしない。その為───


「そこまでだ」


 眼鏡を掛け、右側の髪だけを刈り上げている黒髪の男性───この模擬戦の授業における先生が、振り下ろそうとしていた僕の木刀を同じ木刀で止め、やめるよう口を開いていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも面白いと思っていただけたら、ブクマ又は感想等 貰えると嬉しいです。作者自身、自己顕示欲の塊みたいな者なんで、貰えると滅茶苦茶 励みになります。

また、誤字や辻褄が合わない点などがあれば即修正に入ろうと思いますので、言って貰えると幸いです。


よろしくお願いしますm(_ _)m。


次回更新日や更新時間を知りたい方は、私の活動報告やTwitterで色々と呟きをしていますので、そこを見てくださればと思います。プロフィールに行けばTwitterのURLや活動報告が確認出来ると思いますので、気になる方はそちらに飛んでください。


それではまた次回の更新で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。