俺は幼馴染みを無視できない
最初、神座くんのテンションが吹っ切れてます。
人が休むのは、肉体を休めるという意味合いもあるが、大きく割合を占めるのは、精神面を休めるためである。人が、長時間休まなかったり、眠らなかったりすると、ハイテンションになったり、訳の分からないことを言い出すのは、大抵が疲れているときに休んでいないことにより、精神面が著しくぶれぶれになるのだ。つまり、休みは最高にして至高であり、どれ程協力で強大でファンタジーな人間であろうと、睡魔には勝てない。睡魔最強。まぁ、俺が何を言いたいのかと言えば、休みの連なるゴールデンウィークは最高にして至高である、ということだ。
「休み最高だ~~!」
俺は、布団で惰眠を貪る。今日の俺は、安眠、快眠、睡眠をモットーに行動する。そうと決まれば、あとはひたすら眠るのみ。眠って、眠って眠りまくるぜーー!!最近、余り眠れてなかったので、この休みは正直とても嬉しい。ゴールデンウィーク最高。しかも、俺の入っている帰宅部はゴールデンウィーク中、顧問の綴世先生が出張で学校にいないので、活動してはならない。要するに、俺に待ち受けているのはニート生活。嬉しいぜ。これほどまでの静寂を味わうのはいつぶりだろうか。ゲームもいいが、今日は睡眠だ。前日までにゴールデンウィーク中の課題は終わらせたし、俺は学校の柵から、解放されているのだ。しかも、俺には友人が少ない。ゆえに、外に引きずり出される可能性も少ないのだ!!……別に、友達がいないからって悲しくないし。
楔は、ゴールデンウィーク最終日に諏佐原の課題を手伝うんだろうなと思う。何だかんだで、楔は諏佐原にも甘いのだ。諏佐原に対しては、かなり辛口の評価だが。あれは、信頼の証だとでもいうのだろうか。幼馴染みだからかもしれない。ま、あいつにはあいつの悩みや対応の仕方があるのだろう。それよりも、俺の幼馴染みの榊である。去年は、あっさりと外に引きずり出されてしまったが、今年はまず部屋のなかに入れない。いれさえしなければ、俺が家から引きずり出され、荷物持ちに任命され、重たい荷物を運ぶこともない。あー、休み最高だーー!!
普段ではあり得ないようなテンションで内心叫びまくる。今なら、もっと暑くなれる気がする。寝ることに。布団に、ガンガンのクーラーに扇風機。さらに、冷たい飲み物と、自堕落の神器を複数持つ今の俺に、ゴールデンウィーク終了まで、死角はない。例え、チャイムを押されようともな。
去年の反省点はチャイムを押され続け、根負けしたことだ。榊がひたすらチャイムを押し続け、その煩さに負けて外に出た俺は、荷物係へと任命されてしまった。ならば、その元、チャイムを切ってしまえばすべてが解決する。これが、完璧な正解。俺は、キンキンに冷えたジュースを飲み込み、眠ろうとする。
「神座ー!」
ガンガンと扉が叩かれ、眠ることが出来ない。どうやら、チャイムを切ったことに気付いた榊がドアを叩くという直接的な行動を取ってきたようだ。チャイムを鳴らされまくるより煩いかもしれない。流石の俺もそんな環境で眠ることが出来るほど、神経は図太くない。しかも、あの幼馴染み相手では尚更。さらに、ここには俺と榊しか住んでいないため、近所迷惑という概念が殆ど存在しない。四角の形に作られているこのマンションは、少し叫んだ程度では、中で反射するだけで、外へと音が出ていかないのだ。ある程度の、煩さは許されるということであり、このドアは俺が出てくるまで、ひたすら叩かれるということは想像に難くない。初めから、俺には選択肢などなかったのだ。そんな、俺に、合掌。俺は、チェーンをかけたまま、扉をチェーンの限界まで延びるところまで扉を開けて、榊に顔を出す。
「お、やっとでてきたー!もう、なんで引きもってるの?」
「眠いから、だるいから、しんどいから、カロリー消費したくないから、動きたくないから、部屋から出たくないから、人と関わりたくないから」
「人と関わりたくないから?じゃあ、なんででてきたの?」
……こいつ、マジで言ってるんだろうか。俺の休みに入ってハイッてるテンションを一気に鬱々としテンションまで引き下げた行為を知らんぷりするというのか。
「俺が出てこなかったら、永遠に叩き続けただろ、お前……」
「だってー、暇だし。課題終わったし、遊びたいし」
「だったら、お前の広い交遊関係を使って、適当に呼べばいいじゃねぇか」
「むー、つれないなー。」
「とにかく、俺は寝る」
頬を膨らませ、可愛らしさ全開で、俺を落としにかかる榊。生憎、俺には長年の付き合い出てにいれた美形耐性Sがある。この前レベルが上がったのだ。テッテレー。嬉しくともなんともない。因みに、俺レベルまで行くと、何も感じない。
「えー?いいじゃん行こうよー!
「ええい!!煩い、俺は寝るんだ!!」
そこまで言ってふと気付く。そういえば、先程まで寝ようと思っていたときに飲んでいたあのジュース、運悪く切れてしまったのだった。冷蔵庫の中にもストックはなかったし……。この前の、帰宅部の集会のときに、俺の部屋からジュースを持ってきたんだった!!まさか、榊。このことを計算して、あのとき俺に、ジュースを持ってくる指示を出したのか。だとしたら杯榊おそろしい子!!
「神座ー。行こうよー!!」
「ちっ。分かったよ、行きゃいいんだろ行きゃ」
「わっ、なんて隠す気のない舌打ち」
「うわー、なんて白々しい棒読み」
どっちもどっちだった。会話はキャッチボールというが、基本的に俺が榊に言葉の暴投をよく起こすので、彼女もそれを真似して、俺の胸元に返すつもりはないようだ。確実に、ミット以外を狙った、大暴投である。まあ、それは俺もなのだが。俺は、仕方なく、楽だった部屋着から着替え、扉の外で待っている榊の様子を伺う。何故か、とてもお洒落な格好をしている気がする。俺?俺はあれだよ。ふーん、普通って言われるぐらいのファッションセンスは持っているから。け、決して、ずぼらな俺の性格を危惧した母親が送ってきていう服を適応に上と下併せて着てるなんてことないから。メーカーとか三つぐらいしか知らないけど、それはあの拘りがあるだけで、ファッションに興味がないからとかじゃないよ。いや、本当。
「やっと、家から引きずり出したよ!」
「ついに、家から引きずり出された…」
対照的な俺と榊のテンション。つーか、なんでこいつはこんなに元気な訳?俺、結構薄着だけど外、わりと暑いよ?俺が汗っかきなのか、榊がクールなのか。真相は定かではないが、彼女は凄い。これは真理な。
「さぁ、荷物も……ゴホンゴホン、行くよ、神座!」
「おい、お前、今俺のこと荷物持ちって言おうとしたよな。あと一文字なのに、何故誤魔化した。そこまで言ったんだったら全部言おうぜ」
「うん、行こっか!!」
「結局言わないのな……。」
というか、榊と二人きりで買い物って見ようによってはデートに見えるんじゃね?……見えないですかそうですか。それを口に出すほど俺は愚かじゃない。昨今の漫画の主人公やヒロインのように、自ら墓穴を掘るような真似を、おれはしないのさ!!
「今日は、何を買おっかなーー」
は、のイントネーションに嫌な予感を感じる。が、聞くと墓穴を掘ること間違いなしなので、俺は質問しない、疑問を持たない。今だけはバカが最強。スルーするんだ。
「あ、荷物持ちよろしくね」
墓穴を掘った訳ではないが、とても掘った気分になった。穴があったら逃げたい、みたいな?
第十四話目。
地の文が多くなって、少し手間取ってしまいました。
次回から、ストックが全くないので少し期間が空くと思います。




