その頃ルストは…:王との謁見
これは、零達がバクの家を出てから二時間後の出来事である。
「国王陛下、資料館長のルストがお会いしたいと申しております。」
ロバルテオの城内では側近の一人が国王に伝言を伝える。
「奴からこちらに会いに来ることは珍しい。通せ。お前たちは下がれ。奴とは面と向かって話したい。」
国王は側近に指示を出し、近衛兵達は退出し、ルストが入ってくる。
「国王リアン、ご無沙汰しております。」
ルストは立膝を付き、頭を下げる。
「ルストよ、硬いことは抜きだ。俺とお前の仲だろう。」
国王リアンの言葉を受け、ルストは姿勢を正す。
「それで、お前からわざわざ来たんだ。何かあったのか?」
「その件で大事なことが。先程、件の救世主がバク達の家に訪問し、当人達に接触したようです。」
ルストの言葉を嬉々国王リアンは険しい表情になる。
「ルスト、それは事実か?」
国王リアンは事実確認をする。
「はい、監視用射影機に映っておりました。残念ながら音声までは聞き取れませんでしたが。」
それに対し、ルストは状況を説明する。
「筆談とかはしていなかったか?」
国王リアンはさらに不審な点の確認をする。
「映像を見る限りではその様子もありませんでした。」
留守とはそれに対しても適切に答える。
「ということは、我々が監視していると救世主は見抜いていたというわけか。」
「そのようです。おそらく、彼等以外の勝者が行方不明であることを踏まえて警戒されていたものと思います。」
「奴等、救世主に事実を話していないだろうか?」
国王リアンは不安になる。
「その点は大丈夫でしょう。あの救世主は基本的に人の話は信じておらず、学もない下品な愚か者です。そんな男に自分達の真実を話して煽られることになるのは避けるはずです。」
ルストは国王リアンの懸念点を晴らす。
「そうであったな。これまでに奴が救った2つの国の情報を頼りに奴の事を纏めると、いくつかスキルを持っているようだが、その全てが役立たず。口だけは達者に見えるが中身のない会話で逃げることしか出来ない無能。戦闘能力はなく、俺達でも呆れるほどの女好き。こう上げていくと、本当に救世主なのか?」
国王リアンは零のどうしようもなさに呆れている。
「無能ではありますが愚民の心を動かすには充分な言葉で先導し、優位に話を進めています。救世主であろうと、愚者であろうと侮ることはしないほうが良いかと。」
留守とは助言する。
「そうだな。まずは奴等にどんな話をしたか聞き出す必要があるな。尋問ついでにステーをここに呼ぼう。ルスト、一緒にどうだ?」
「国王からのお誘いです。お供させていただきますよ。」
その後、三時間半に渡る尋問を国王リアンは行ったが、ステーが語ることはなかった。




