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エッチいマッサージはダメです

 「…それで、何をやっているんだ?」

 サーティアスに連れてこられた俺はラフワールからマッサージを受けていた。

 「言ったでしょう?私自らがサービスしてあげるって。折角私が目をつけた相手だもの、自身の手でサービスしないのは失礼に当たるわ。」

 背中のマッサージを受けているから顔は見えないが、ラフワールは楽しそうな口調で言う。さっきまであんな物騒な武器を振り回していたとは思えないくらい普通の少女と変わらないな。

 「なんだ、サービスってくらいだからてっきりアッチの方だと思っていたけど、って痛え!」

 ラフワールはいきなり拳を背骨に押しつけてきやがった。

 「初対面で本当に救世主かも分からない男にそんなことはしないわ。」

 「そこら辺は、しっかりしているだな。」

 「むしろ、貴方は私の事をどういう風に聞いていたのかしら?」

 「最初にも言ったと思うが、戦闘狂の色狂いって、ラヴェーラは言っていた。」

 「私だって、ヤる相手は見極めるわ。貴方はまだ、それを満たしていないってことね。だからまだ、貴方にしてあげるサービスはメッセンジャーだけってことよ。」

 「ふーん、この世界ではメッセンジャーって言うのか。」

 「へえ、貴方の世界ではどう言うのかしら?」

 「俺達の世界ではマッサージって言っていた。」

 「あら、私達の世界でマッサージって言うと伝言を伝える橋渡し役の事を指すわ。」

 「逆に俺達の世界ではそういう人をメッセンジャーって呼んでいる。」

 「本当に全然違う文化なのね。」

 「そうだ、それでフルール達にも聞きそびれていたことがあったんだ。」

 「あの子達に聞く程度の事なら私にだって答えられるでしょうから言ってみなさい。答えてみせるわ。」

 ラフワールは自信に満ちた声で言う。

 「この世界では、スキルって誰でも持っているのか?」

 「あら、どうしてそんなことを?」

 「俺の世界にスキルなんて力は無かったし、フルール達も俺がスキルを持っている事に疑問を抱かないどころか、ラヴェーラに至っては事実とはいえ、俺のスキルをどうしようも無いと言っているくらいだから、みんなスキルを持っているんだと思っていたんだ。」

 「貴方の考えは大ハズレね。この世界の救世主降臨伝説はラヴェーラ達から聞いたかしら?」

 「複数のスキルを持つ救世主が空から現れるってあれか?」

 「そうよ。貴方はその中の『複数のスキル』って部分でそう思ったのかしら?」

 「ああ。」

 「スキルはね、異世界の者にしか与えられないの。以前にね、貴方とは別の世界から喚ばれた救世主を捕まえた事があったの。でもそいつは救世主の器では無かったわ。」

 「そうか、でもそうなると俺達みたいな異世界出身の奴しかスキルが無いからこの世界の人達に不公平な気がするんだけど。」

 「そうかしら?レイ、貴方に与えられたスキルはどんなスキルかしら?」

 「そうだな、女性の裸とスリーサイズが見えるスキルと、俺に出来ない料理系のスキルだな。後は、欠陥だらけの言語翻訳か。」

 「ねぇレイ、スリーサイズって何かしら?」

 「俺達の世界では胸と腰、それから尻周りの大きさをそう呼んでいる。」

 「へえ、面白いスキルをもっているのね。私達の世界の三点特徴が分かるなんて、本当なら羨ましいわ。もしかして、貴方が遮光眼鏡をかけている理由って、そのスキルが原因かしら?」

 「ああそうだ。」

 「そのスキル、本物かどうか試してあげる。レイ、私の三点特徴を言い当てなさい。」

 ラフワールは俺から降りて俺を座らせる。

 「恥ずかしがるなよ。」

 俺はサングラスを外す。

 「恥ずかしがる必要なんて何処にあるのかしら?」

 ラフワールは笑顔を見せる。俺はラフワールのスリーサイズを見る。

 「なるほど、大きさは上から82、56、85ってところか。」

 ラフワールの裸はずっと見ていたかったが、警戒されるのも嫌だからすぐにサングラスを着ける。

 「あら、見事に当てたわね。どうやら、そのスキルは本物みたいね。羨ましい、私ならもっと有効活用出来るのに。それにしても、まだ見たそうな顔をしているのに、どうして遮光眼鏡で塞いでしまうのかしら?」

 「いや、見続けたいけど、そうしたらあのバンって奴に殺されそうだからな。」

 「大丈夫よ。私が一言言えば何もしないわ。あの子の忠誠心、いや信仰心は異常だからね。」

 「そうか。で、碌なスキルを持たない俺を、ラフワールはどうしたいんだ?」

 「決まっているじゃない。貴方には私達サーティアスの象徴になってもらうの。私には力も統率力もあるわ。それでも、一つ足りないものがあるの。それは称号よ。私の覇王の称号はあくまでもサーティアスでしか意味をなさないもの。でも、救世主の名前があれば別。救世主が仕えている王ともなれば、より多くの民が私を支持する。だからね、貴方には私の私物になってもらいたいの。勿論、私の私物になってくれれば貴方の望むものは全て与えるわ。当然、貴方が今日、私に期待していたことも。ね、悪くないでしょう。」

 ラフワールは 艶めかしい笑みを見せる。

 「確かに、悪くは無さそうだが、生憎俺は救世主。この国に留まる気は無いし、ウィステリアを見ない限りこの国に全てを任せる気にはならない。確かに、今の時点ではサーティアスに任せる方がいいかもしれない。だけど、ウィステリアをないがしろにしていい訳では無い。実際、ラフワールだって聞いていた話と現実が大分違っていたからな。」

 「…フフッ、面白いわね。貴方をただの残念男から暫定救世主に格上げしてあげるわ。兎に角、今日はもう寝なさい。明日は街を案内するわ。」

 ラフワールは俺の背中を軽くたたく。マッサージの効果もあって、筋肉の痛みは退いていた。

 「ありがとう。町の案内、楽しみにしているからな。」

 「ええ、寝床の案内はそこの番兵に聞いて頂戴。」

 俺は部屋から出る。

 「バン、最後は貴女よ!いらっしゃい!」

 ラフワールはバンを呼ぶ。

 「ラフワール様、どうして私がこんな男の穢れをシェアしないといけないのですか!」

 「あら、シェアではないわ。貴女で穢れを拭うの。さしずめ、貴女は雑巾ってところね。」

 ラフワールは期限良さそうに言う。

 「そんな…でも、ラフワール様に雑巾のように扱われる。嗚呼、なんて素晴らしいのかしら!」

 バンはどうやらヤバい感性を持っていることが解った。とりあえず、あいつとは関わらないように心がけよう。

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