歌の祭典がある国
あれから一時間半程度で、ラヴェーラの言っていたロバルテオって国に着いたけど、城門での検問中に耳を傾けると、綺麗な歌が流れてくる。
「どうしたんだ、レイ?急に目を閉じて、具合でも悪いか?」
歌声をかき消すようにラヴェーラが聞いてくる。
「いや、綺麗な歌が聞こえてくるなって思っただけだ。」
俺達の話を聞いていたのか、門番が近づいてくる。
「流石は救世主様。我が国の国歌を評価してくださるとは。」
門番はすり寄ってきながら言う。
「それはどうも。それで、入国は大丈夫か?」
「どうぞどうぞ!それにしても、救世主様は運が良いですね。」
「ん?」
「これから半月後に我が国の国家行事、交響祭が行われるんです。今年は姫巫女に選ばれた方も美人で華があるんですよ。」
「そりゃあ確かに運がいいみたいだな。いくか、ラヴェーラ。」
「ああ。長話させてしまい、すみませんでした。」
ラヴェーラは門番に一礼して車を走らせる。
「それでは、我らがロバルテオ共奏国をゆっくり堪能していってください。」
門番は最後まで俺達に話しかけてくれた。
宿を探すために車を走らせているが、何処を走っても、何かしらの歌が聞こえてくるから気分が弾む。隣で運転しているラヴェーラはそうではないみたいだけど。
「ラヴェーラ、どうしたんだ?」
「いや、私は歌が苦手でな、この国はどうも落ち着かない。」
「そうは言っても、軍に入っていれば、軍歌を歌う機会だってあるだろ?」
「私の歌は殺戮兵器だって、ずっと笑われていた。」
「なるほど、でもそれって歌の歌い方を習っていないからだろ。声自体は綺麗なんだから、練習すれば上手くなると思うけど。」
「本当か?本当にそう思っているのか?」
ラヴェーラは用心深く聞いてくる。
「当たり前だろ。俺がどれだけお前の声を聞いていると思ってんだ。」
「声が綺麗…私が…」
ラヴェーラの奴、あんなに照れた表情を出せるのかよ。そんな風に考えていると丁度良さそうなホテルを発見する。
「ラヴェーラ、あの宿なんてどうだ?」
「確かに、見た目も悪くなく部屋数も多そうで客を大切にしていそうだな。」
俺達の意見は一致し、ホテルの中に入り、受付を済ませると、そのまま部屋に行って荷物を下ろし、再び外へ出る。
「とりあえず、まずはこの国がどれだけ平和か見て回ろうか。」
「平和?どういう意味だ?」
「この国は音楽の文化が栄えているだろ?こういう芸術の文化が栄えているのは、それだけ国が平和だって証になるんだ。」
「そういうことか。」
「それは食文化だってそうだ。実はな、イースティアに案内されたときに食べた食事、今だから言えるけどすっごい不味かった。食べていて薬か何かと勘違いするほどだった。」
「あの頃は、兎に角栄養素を優先するような傾向にあったから。」
「でも、イースティアを出てみてどうだ?おいしい食事はいくらでもあっただろ?」
「それは…」
「だから、まずはこの国の平和具合を見て回ろう。」
俺達はそのまま、徒歩で国の中を歩いて回ることにした。




