その頃、エンジンは…:追放
ナガレの言葉に、エンジンは言葉が詰まる。
「あの時、お前を施設に入れていれば、こんなことにもならなかったのか。」
「叔父さん、あなたには人の心が無いのですか!」
「人の心?それは生活が出来て始めて言えることだ。お前を引き取り、育てるのに幾ら費やしたと思っている。その金も、お前を育てなければ無くなることのなかった金だ。世の中、子供はどんなものにも勝る宝という意見を聞くが、金が無ければその子供を育てることも出来ない。お前を育てる金も、それがなければ生きることも出来ないことも無視して私を糾弾するのは筋違いだと思わないのか!」
「その為なら、犯罪行為に手を出してもいいって言うんですか!」
「そこまで言うなら今まで受け取った金は返せばいいんだろ?」
「返せばいいって話じゃない!やった行為には、責任が着いてくるって言ったのは、他でもない叔父さんでしょ?」
「つまり、私に自首しろと?」
「はい。」
「これは面白い。自ら差別される側になりたいとはな!」
エンジンの言葉を聞き、ナガレは笑いながら言う。
「いきなり何を言うんですか?」
「そうだろう?お前は私に育てられたんだ。その私が犯罪者として裁かれれば、お前は犯罪者の親族になるんだぞ。兄さん達…お前の両親はそんなことを望まないはずだ。それでも私に自首を促すなら、お前は親不孝な子供だな。」
「同じ犯罪者の親族になるなら、目の前の犯罪を隠す方が、恥じるべき行為です。」
「何を言っている。お前が黙っていれば、犯罪者なんて出てこない。それだけのことが何故解らない!」
「さっきも言いましたが、目の前の犯罪行為を見過ごす事なんて出来ません。」
「そうか。これはなるべく言いたくなかったが、仕方がない。私が犯罪者になれば、お前は一生教師になれなくなるぞ。それでもいいのか?」
「それは…」
エンジンは言葉が詰まる。養父が犯罪者になるということは、親族である自身もまた、公務員になることが出来なくなることに繋がるからだ。
「もし解ったなら、このことは…」
「それでも、この事実を隠すことはしません。もし仮に、俺の将来が無くなっても。」
「呆れた。そこまで言うなら、大人しく自首してやろう。そして、世間の残酷さを思い知るといい。」
ナガレはインテリジェンスフォンを取り出す。
「…ああ、そうだ。三日後にな。」
ナガレは記者会見の準備を話し終えると、エンジンを見る。
「では、お前には出て行ってもらおうか。もう20歳を過ぎている。お前に対しての保護責任期間は終了しているんだ。お前は、私が局長だから今までの生活があったことを思い知れ。」
ナガレに言われるままエンジンは外へ出て、そのまま野宿をした後にレイ達と合流するのであった。




