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あっけない最後

 とはいえど、相手は国のお偉いさんと、それに関わりのある企業の社長、分が悪いなんてもんじゃないんだよな。それに、こういうときに限って、スキルが増えることもないし、今あるスキルでどうにか出来ることもないしな。

 「どうしたんだ、レイ?」

 「いや、女神様は肝心なときに限ってスキルをくれないもんだなって。必要ないときには使い物にならないスキルを渡してくるくせに。」

 「それでも、スキルを使わずに国民の意識を変えられたのは、紛れもないレイ自身の力だ。ここに集まった法改正派の国民も、お前が救世主で、スキルを持っているからではない。お前という、人間性に惹かれて集まったということを思い出してくれ。」

 たしかに、ラヴェーラの言うとおりだ。最初から使えるスキルなんて渡してもらえていないんだから、期待するだけ無駄だよな。

 「そうだよな。それじゃあ、まずはナガレ局長の不正の証拠を集めるところからだな。今あるものは全部状況証拠でしかない。だから、今の政権の不当性を伝えるためにも証拠集めを…」

 俺が話していると、集会所の扉が開く。

 「それなら大丈夫です。証拠ならここにあります。」

 そこに居たのはエンジンだった。

 「エンジン、どうしてここに来た?」

 「俺、あの後家に帰って探したんです。ナガレ局長が、叔父さんが不正をしていない証拠を。でも、出てきたのは違法な取引の証拠だけ。叔父さんを問い詰めたら事実を認めてくれました。」

 「それで、局長はこれからどうするつもりなんだ?」

 「これから記者会見を開いて、自首するって言っていました。」

 俺の質問にエンジンは答えてくれるが、

 「待て、それはまずいな。」

 「どうしたんですか?」

 「このままだとミラージュ、いやダイスに逃げられる。」

 そう、ダイスを懲らしめることが出来なくなる。

 「どうするんだ、救世主さん?」

 「今からダラーミレニアムの中央賭博場に向かう。」

 「なんかアテでもあるのか?」

 「ああ、以前ダイスに呼ばれて行ったことがあるが、なんか大がかりな作りの機械が見えたんだ。もしかしたら、何か関係があるかもしれない。エンジンとバスター、ショット、ゼンリン、それからラヴェーラは一緒に来てくれ。今から車を走らせる。」

 俺の話を聞いてエンジン達は車に乗ってくれたからそのままできる限りの速度で車を飛ばす。こういう時には法定速度が無いことに感謝だな。

 「エンジン、局長の無実の証拠を集めようとしていたって言ったよな。」

 「はい…」

 「そんなもの、見つかるわけないだろ。」

 「そうでしょうか?」

 エンジンの奴、しおらしくなったな。

 「俺の世界には『悪魔の証明』って言葉があって、存在していることの証明は出来ても、存在していないことの証明は出来ないんだ。」

 「俺達の世界で言う、『アビラティア論法』という議論誘導の方法の一つか。」

 バスターは教師なだけあって、そういうことにも詳しいか。

 「さて着いたぞ。準備はいいか。」

 俺達は中央賭博場のバックルームに潜入する。

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