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準備は万端だったみたいだ

 「ゼンリン、この人数をどうやって集めた?」

 「決まってんだろ。俺が書いた記事を全文読んだ奴しか解らない暗号文を入れておいたんだ。」

 なるほど、それでこれだけの賛同者が集まったんか。

 「救世主様、俺の家庭もあの意識調査の後で妻と話して、今の生活が間違っているって気付かされたんです。」

 「賭博して、負けた日の家族への態度が辛いって言われて、このままじゃいけないって思いました。」

 「やっぱり、自分の趣味は自分で見つけるもので、強制されてやっていたら、仕事と何も変わらないって事に気付きました。」

 アンケートで満足しているって言っていたサラリーマン達も、結局引っかかりを感じていたんか。それなら、あのアンケートも無駄じゃなかったんだな。

 「救世主さん、あんたが集めた意識調査の結果、ちゃんと有効活用させてもらったぜ。」

 ゼンリンの記事を読ませてもらうと、確かに俺達の行ったアンケートの結果が記載され、そこにははっきりと『この異様なまでの数値の偏りは異常で、従わざるを得ない状況に陥っていることの一番の証明になっている』という、俺達が考えていたことと同じ事が書かれていた。

 「元記者、こんなことまで書いていたのか。」

 「情報は一つでも多い方がいいからな。」

 バスターとゼンリンが話していると、

 「バスター先生が居るということは、一昨日の情報は事実ということなんですね。」

 一人の女性が話しかけてくる。

 「これは、お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありません。あれからソラ君の様子はどうですか?」

 「息子は驚いていましたが、今は落ち着いています。」

 「そうですか。巻き込む形となってしまい申し訳ありません。」

 バスターは女性と話をしている。

 「誰?知り合い?」

 「俺が請け負っていた組の生徒の親御さんだ。そこの元記者や賭博師と違って、俺に至っては何故か教員免許まで剥奪されて職を失っているからな。」

 バスターは俺の質問に素直に答えてくれた。ていうかバスター、無職になっていたんかよ。

 「きっと、それだけ上位プレイヤーをやっていた皆さんのことを恐れていらっしゃるのだと思います。」

 女性はそんなことを言う。

 「恐れている?どういう意味ですか?」

 その言葉に真っ先に食いついたのはラヴェーラだった。

 「上位プレイヤーの発言力は大臣の発言にも匹敵します。そうなれば、今回みたいに一方的で不当な資格剥奪で元上位プレイヤーの味方をしようとする人は増えると思っているはずです。だから、元上位プレイヤーの発言力を奪おうとしているのだと思います。勿論、そんなことをすれば余計に元上位プレイヤーの味方を増やすだけだといいますのに。」

 女性は詳しく話してくれたが、そろそろ突っ込んだ方がいいか。

 「ていうか、ここに集まっていて、警察なり何か部隊が来たら一気にとっ捕まってヤバいんじゃないか?」

 これだけ反対派が集まっていても、一網打尽にされては意味がない。そう話すと、スーツを着た一人の男性が出てくる。

 「救世主様、その心配は大丈夫です。既に複数の地域に分散して集合しています。仮にここが見つかっても、別の自治体へ行けば大丈夫です。」

 男性が説明をする。

 「あんたは?」

 「失礼しました。私はルコラ市の市長で、クロエア党員をしている者です。ナガレ局長も、就任する前はこの国を良くしようと党内で話していたのに、今の局長は私利私欲で動いている。私はそれが許せないんです!党員、そして何より国民への裏切り行為なんですから。」

 市長は熱く語るけど、具体性もなく、ただ国を良くしようなんて言っている奴は信用ならないだろ。

 「なるほど。具体的には何ヶ所で集まっているんだ?」

 「全国で28ヶ所です。別の集会所では憲法改正要望の署名ページを作成しています。」

 「それだけ不満だったって事か。んじゃ、そろそろ反撃の時だな。」

 俺がそんなことを言うと、ラヴェーラや元上位プレイヤー達以外の奴らは拍手で答えてくれた。

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