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エンジンへの説得…厳しいかな?

 「なあ、上位プレイヤーの資格剥奪ってそんなに大変なことなのか?」

 俺はそういった事情は詳しくないんだ。

 「セイスティアにおいて、上位プレイヤーの発言力は極めて高い。それこそ、大臣の発言と同等くらいには。」

 ショットの説明を聞き、バスターが驚いていた理由がはっきり分かった。

 「なあエンジン、これでもこの国が間違っていないと思うのか?そこにいるゼンリンのやろうとしていたことが間違っていると思うか?」

 「それは…だけど、ゼンリンさんの言っていることが正しい保証もありません。」

 「まだそんな寝ぼけたことを言っているのか?自身の身分を奪われて、これから命を狙われてもおかしくない立場に晒されているのに、まだ奴らを信じるのか!」

 俺が言う前にゼンリンが声を上げた。

 「それ、俺が言いたかったこと…」

 「まあいいじゃねぇか。ここは十年前と五年前の両方を体験している俺達に任せろ。」

 ショットは俺の肩を叩き、エンジンに近づく。

 「エンジン、この元記者はな、自分の弟の死の原因を知るためにずっと機会を伺っていたんだ。真実かどうかも解らない救世主伝説が現実のものになることを信じて、汚れ役を被り続けたんだ。そして今、この国の馬鹿げた制度を終わらせるため、全力を尽くしている。」

 「どうして、そんなにゼンリンさんの肩を持つのですか?」

 「そうだよな、十年前って言ったらお前はまだ小学生だから知らないか。俺達遺族は何時でもあの時のことの情報共有が出来るように定期的に連絡を取り合っていた。まぁ、五年前にそれも途切れたんだけどな。」

 疑問に思うエンジンにショットは事情を話す。

 「五年前、元記者の書いた記事には俺達遺族の間でも賛否が分かれた。俺は記事の否定派で、ショットやダークは木地の肯定派でいがみ合う形になった。俺みたいに、それが原因で離婚する家庭もあった。元記者にいたっては職さえも失った。肯定派は元記者の処罰を聞き、記事の信憑性を訴えたが、俺達否定派は国家内乱を画策した人物への処罰としては軽いものだと主張したことで遺族会は解散した。」

 ショットの発言にバスターが追加で説明する。

 「そして、結局ゼンリンの記事は事実だった…というわけだ。なあエンジン、お前は若いから騙されているって気づけないだけだ。だから」

 「だから何をするんですか?反政府活動でもしろと?」

 ショットの言葉にエンジンは食って来かかる。

 「そこまでしろとは言わない。だけど、今のこの国家体制は変えないといけないだろ。それに、俺達は強い発言力を失った。」

 「それだって、レイさんが来たからですよね。ミラージュさんの言うように、レイさんには出て行ってもらう方がこの国の為になるんじゃないですか?」

 随分なことを言うな。

 「エンジン、そんな考え方では、教師になって人を導くなんて事は出来ない。」

 俺が口を開くより先にバスターがエンジンを諭すように話す。

  「バスター先生までそんな事を言うんですね。少し、考えさせてください。」

 エンジンは一人、俺達に背を向けて帰ってしまう。

 「あれは厳しいかな?」

 エンジンの態度には呆れた。

 「いや、あれは何か行動を起こす気だ。俺は二年間だけエンジンの教師をしていた経験がある。エンジンは何か行動を起こすときには必ず、誰にも何も話さないで天才的な発想で行動する。」

 「じゃあ、今回も?」

 「恐らく、そうだろう。」

 「そうか。それじゃあ、ゼンリンにはやってもらいたい事がある。」

 「俺に?」

 「ゼンリンはインフォで記事を掲載しているだろ?そこで今回の事を記事にして掲載するんだ。勿論、レリーフにされていた理由も合わせて、な。必要になりそうな資料は提供してやる。」

 「そういうことか。それなら任せておけ。」

 そろそろ、この国との別れも近くなりそうだ。

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