四人集まって
その日は突然来た。ゼンリンからの呼び出しを受けて指定された所に行くと、バスターとショット、そしてエンジンの四人、即ち上位プレイヤーとレアキャラが揃い踏みだった。
「全員集まって、何の話だ?賭け事ならやらないぞ?」
腹を探るように言うと、
「救世主、俺の元妻に遭ったらしいな。あいつはなんて言っていたか答えてくれ。」
バスターは突然そんなことを聞いてきた。
「もっと現実と、前を向いて生きてほしい、そんなことを言っていた。」
とりあえず、聞かれたことには答える。
「そうか。レリーフ、俺の用事は済んだ。お前は、重大な話があるんだろう?」
バスターはゼンリンに話を振る。
「バスター先生とショットが救世主に協力することはナガレ局長とミラージュ、いやダイスから聞かされている。」
ゼンリンが話していると、
「貴方はまだそんなことを言っているんですか。何時まであの二人の事を貶めれば気が済むんですか?」
エンジンが割って入る。
「まぁまぁ、まずはこいつの言い訳を聞いてからでも遅くはないだろ?」
話が進まないのは馬鹿馬鹿しいからエンジンを宥めてゼンリンの話に戻す。
「言い訳って、随分な言い草だな。とにかく、ここまで話の方向性が決まって、俺は今一度あの日の録音を確認した。」
「あの日?」
「俺がレリーフとしての契約を交わした日の録音だ。それがこれだ。」
俺の質問にゼンリンは答えながら、レコーダーを再生する。
『────独──てい──をつけ─』
『─そこま───欲だ─』
『────駒に──』
『─────くお──まは───』
ノイズまみれで聞き取れる言葉も断片的になっているほどだ。
「この録音内容が何だって言うんだ?」
ショットは質問する。
「この音声、録音妨害用の電波が流されているから録音は出来ないと言われていて、内容を確認していなかったんだ。で、この程度の雑音くらいなら専門の機材を使えば簡単に除去できる。それで、除去して聞き取れるようにしたのがこれだ。」
そう言ってゼンリンは別の音声データを再生する。
『ゼンリン、君はこの場を記者の単独取材の場と勘違いしているのか?身の振り方は気をつけた方がいい。』
『そういうことかよ。それで何が目的だ、ダイス?』
『人違いだ、俺はミラージュであって、ダイスではない。ただ、君の疑問に答えるなら、現状の法では賭け金の移動が少ない。そこで、君には賭けを大きく動かす敵、レリーフになってほしい。』
『レリーフに?ならないって言ったら?』
『君はそこまで馬鹿だったか?俺の知っている君は事実を突き止めることに貪欲だったはずだけれど。』
『つまり、生きていたいならお前らの手駒になれって事でいいのか?』
『何もそこまでは言っていない。ただ、今この場には私達三人しか居ないこと、それから録音は出来ないように電波を流しているから生半可な返事で逃げて、嘘の情報を流すことは出来ない、それだけは頭に入れておくといい。』
「それが、五年前にお前が掴んだ真実か。」
再生が終わり、ショットが言うと、
「嘘だ!その音声もその男の捏造に決まっている!皆さん、騙されないでください!」
エンジンは大声を上げながら言う。自分の身元引受人がこんな悪事を働いていたと信じたくなかったんだろう。
「エンジン、この録音の復元は事実だと思った方がいい。実は、俺も数日前にミラージュに呼び出されてあいつの中央賭博場に行って話をしてきた。」
俺もそのまま録音データを流す。
『君は何も解っていない。この国がどれだけ医療技術に優れていたのか、国民がどれだけ愚かか。』
『その態度、自分の正体がダイスだって認めるんだな。』
『君になら説明すれば理解してもらえるだろうと思ったからだ。この国の国民は、自分から何か行動しようとしないくせに、代弁者が失敗すれば寄って集って異常な批難をする。だから、ダイスは事故に巻き込まれて死んだことにする方が都合がいいのさ。』
『この国の、とか言っているけど、人間なんて多かれ少なかれそんな生き物だろ。』
『そうだね。だが俺は違う。そのためにも、救世主には早々にこの国から出て行ってもらう必要がある。』
『本当は殺す気のくせに。』
『何故それを!』
『炙り出しなんて、小学生以来で驚いたけど、こんな形で役立つとは思わなかった。普通、手紙を読めばすぐに電話する。だけど、みえない文字で来たら殺すとか、やり方が卑怯なんだよ。』
「どうだ?これでもこいつの言うことが信じられないか?」
「それなら、どうしてナガレ局長はミラージュさんに協力しているんですか?ありえません!」
エンジンが言う隣でインフォを見ていたバスターは驚きの表情を見せる。
「おい、俺達三人の上位プレイヤーと、レリーフの資格停止が重大情報で流れてきた。どういうことだ?」
これは、先手を打たれたか?




