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その頃、ゼンリンは…:宙吊りの回想1

 これは、零がミラージュと会う日の出来事である。

 「あいつ、あの手紙のタネ、解ってくれるといいけどな…」

 ゼンリンは野外の手すりに腕をかけ、空を見つめていた。

 「あいつからの指示で、今日の仕事は休みか。今頃、救世主さんと会うために準備でもしてんのかな?」

 呟きながら、ゼンリンは過去の回想を始める。


 ─十年前、全てが変わっちまった。

 「どうだ、ダイス?最近の調子は?」

 「最近の調子?ああ、あの機材の開発か?それなら順調だよ。近々、模擬試験を行う予定だよ。」

 ダイスは意気揚々と語ってくれる。

 「バカ、外だって事を忘れるな。別企業の奴が聞いていたら如何するんだ?」

 「大丈夫さ。俺の才能を真似できるような奴はこの国どころか、この星の何処にもいないさ。」

 「その自信過剰、呆れはするけど、事実だもんなぁ。」

 「何、被験者も既に集まっている。発表も近いよ。」

 「そうだな。俺の弟も、今回の実験の被験者として参加しているから、家族席で見させてもらうよ。」

 「是非そうしてくれると助かる。」

 この頃は、まさかあんな事態になるとは思っていなかった。

 「一体どうなっているんだ!電子攻撃の発信元は!」

 「それが、逆探知をしても存在しない場所からの攻撃としか出てきません!」

 「そんなはずないだろ!」

 「しかし、攻撃法法も、プログラムの改竄以外にも原理不明の攻撃が混ざっているので対処できません!」

 どうやら、装置を管理する演算機に問題が起きたみたいだった。

 「皆さん、こちらへ!」

 誘導員の指示の元、俺達は避難を始め、俺達が逃げ切ると、施設は爆発し、ダイスは炎の中に飲み込まれた。

 「おい!どうなっているんだ!」

 俺達被験者の家族は茫然とするしかなかった。そんな出来事から半年後、妙な法が制定された。

 「採決の結果、国民総賭博師法が制定されました。」

 局長の記者会見での発言は今でも記憶に残っている。

 「つきまして、今回の新法制定にはダラーミレニアム社を提携企業とし、本日の記者会見の場で社長のミラージュ氏に見解を述べていただきたく思います。」

 ナガレに呼ばれて現れたのは他でもないダイスの姿だった。

 「皆様、本日はお初にお目に掛かります。株式会社ダラーミレニアム社長、ミラージュと申します。」

 ダイスの奴、明らかに俺のことを見て笑っていやがる。でも、記者の意地にかけて、ここは我慢だ。そうして、俺は四年半かけてダラーミレニアムと国家間での取引の使途不明金の存在と不法な癒着を見つけ出し、記事にして新聞の一面を飾った。

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