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その頃、ショットは…:男、二人

 レイがミラージュと会談を交わしている頃、本日分のギャンブルを終わらせたショットはバスターを見つけてバーに誘っていた。

 「なあ、お前とはそれなりに長い付き合いだろ。久しぶりに飲まねぇか。どうせ、お互い独り身だしな。」

 「そうだな。どうせ明日は休みだ。俺もお前に話したいことがあったからな。」

 バスターはショットの誘いを受け、二人は近場のバーに入店する。

 「なあ、バスターはあのレイって救世主のこと、どう思う?」

 席に座ると、ショットは開口一番に聞く。

 「お前があいつに雇われたことは知っている。」

 それに対し、バスターは答えることはなく、ショットが会いに来た理由を理解している素振りを見せる。

 「それは、ミラージュと局長、どっちからの情報だ?」

 ショットはバスターの情報元が誰なのか聞くが、

 「お前に話す理由はない。お前も、あの救世主と同じ社会不適格者だからな。」

 バスターはショットを見下すように言う。

 「確かに、今の俺は真っ当な人間ではないが、俺から言わせてみれば、精神科で治療を受けるべきお前がそんなことを言っているのも充分おかしいぞ。」

 ショットの言葉を聞き、バスターはショットの胸ぐらを掴む。

 「誰が異常者だ!」

 「お前が奥さんと別れたのは、お前の異常な束縛が原因だって事、理解しているのか?」

 それでもショットは平静を保つ。

 「俺が束縛?」

 ショットの言葉にバスターは疑問を持つ。

 「離婚する前までの、ダークさんの行動、何処まで把握できている?」

 バスターの疑問の答えに繋がる質問をショットはする。

 「そんなの、起床から就寝まで今でも覚えている。」

 その質問にバスターは堂々と答える。

 「それ、普通の人間なら監視されているって思うぞ?」

 バスターの答えに、ショットは呆れるように言う。それに対し、

 「俺をそんな変質者と同じにするな。これは妻を守るために必要なことだ!」

 バスターは大声を上げる。すると、

 「まじ?キモくない?」

 「ああいうの、気持ち悪いよね。」

 「あんたもあんな風にならないよね?」

 「ったりめぇだろ。家族を監視する趣味なんてねぇよ。」

 本人達は小声で話している感覚であるが、バスター達に聞こえる声で複数のカップルが話していた。

 「解ったか?お前の考えが間違っているって。お前の奥さんを大切にしたい気持ちは解る。子供を亡くして、奥さんしか縋れる相手がいなかったんだから。でもな、その原因はミラージュがやった実験なんだから、そいつらに味方して何の得になる?」

 ショットはバスターを説得しようと試みる。

 「得になるならないの話ではない。局長に盾突けば、俺の失職は確実だ。生きていくためにも、あの事件はダイスが起こした事故で、その時にダイスは死亡。ミラージュは他人のそら似ということにしておかないといけないんだ。」

 それに対して、バスターはグラスを握りしめながら語る。

 「だから、救世主はそれを正そうとしているんだろ。財源も、用途も不明の賭博師法を正すために奔走しているんだ。俺だって、妻が死んだあの事件から、まだ吹っ切れていないんだ。正直、救世主からの提案は好機だと思ったんだ。俺も、お前も、そろそろ前を見るべきだろ。あれから十年、死んでいった患者達に示しがつかないだろ。」

 それでも尚、ショットはバスターの説得を続ける。

 「前を見る、か…お前が局長達の情報を集めている事は知っている。好きにしろ。答えられるところは答える。」

 ショットの必死の説得が届き、バスターはショットとの協力に応じた。その後はかつての旧友との昔話に花を咲かせ、酒がそれに拍車をかけた。

 「とりあえず、明日からも今までと同じ態度を装えばいいだろ。」

 「そうだな、その方向で頼む。」

 店を出た二人はその後の打ち合わせをして分かれる。そして、分かれた先の帰路で、ショットは零に電話をする。

 『こんな時間にどうした?』

 「救世主さん、例の話なら上手くいったからな。」

 『了解。詳しくは明日話そう。こっちも話がある。』

 「よく寝とけよ。」

 二人はそのまま電話を切った。

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