表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/77

社長の正体

 翌日の夕方六時、俺はミラージュから指定された中央賭博場に来ていた。

 「救世主様、遠路はるばる御苦労様です。立ち話も大変でしょうから、こちらへどうぞ。」

 やって来たミラージュはそのまま俺を従業員ルームの更に奥、社長対応室に案内する。てか、そんな部屋があるとか、どんな会社だよ。

 「ささ、こちらにどうぞ。」

 ミラージュに勧められた椅子には何か仕掛けがないか触ってみるけど、何かが仕込んであるわけではなさそうだ。

 「どうされましたか?」

 「椅子の肌触りを知りたくて。材質は気になるだろう?」

 「そうでしたか。」

 とりあえず、まずは椅子に座って向こうの警戒を解こう。

 「さて、あの人のことを馬鹿にした手紙はなんなんだ?」

 俺が本題に入ると、ミラージュは顔色を変える。

 「今、この国は平和を継続しているのです。それを、御自身の価値観だけで否定されては国の治安につながる。やめてもらいたいのだよ。」

 「この国がやっていることは薬物の依存患者を増やしていることと何も変わらない。かつて医療の道に携わっていたなら、その危険性を知っているだろ。」

 「医療関係?俺が?」

 「惚けるな。お前の正体はダイスだって疑っている国民が一定数居ることはこれまでの調査で調べてある。第一、冷暗施設の再研究を何故大々的にしないで、こんな賭博場の利益と国からの不正援助で水面下にやっているんだ?施設への正体不明の攻撃が理由なら、情報を隠さないで説明すれば、理解してもらえるだろ。それが医療の世界だろ。」

 「君は何も解っていない。この国がどれだけ医療技術に優れていたのか、国民がどれだけ愚かか。」

 ミラージュは呆れたような態度を見せる。

 「その態度、自分の正体がダイスだって認めるんだな。」

 「君になら説明すれば理解してもらえるだろうと思ったからだ。この国の国民は、自分から何か行動しようとしないくせに、代弁者が失敗すれば寄って集って異常な批難をする。だから、ダイスは事故に巻き込まれて死んだことにする方が都合がいいのさ。」

 「この国の、とか言っているけど、人間なんて多かれ少なかれそんな生き物だろ。」

 「そうだね。だが俺は違う。そのためにも、救世主には早々にこの国から出て行ってもらう必要がある。」

 「本当は殺す気のくせに。」

 「何故それを!」

 「炙り出しなんて、小学生以来で驚いたけど、こんな形で役立つとは思わなかった。普通、手紙を読めばすぐに電話する。だけど、みえない文字で来たら殺すとか、やり方が卑怯なんだよ。」

 「椅子を調べたり、お茶に口をつけなかったのは、バレていたからか。」

 「そうじゃなければ、普通に飲んでいるだろ。それより、コイツは何だと思う?」

 俺は親指大の大きさの塊を取り出す。

 「なんだそれは?」

 「これまでの会話、この中に録音させてもらったから。それに、こうしている今も録音して、俺のお付きが聞いている。俺にもしものことがあれば、あいつがサンレイドの政府に連絡して、この国に戦争を仕掛けることも出来る。だから、俺を消すなんて事は諦めろ。」

 「君は馬鹿だね。この部屋は電波の受送信が不可能になっている。無駄足だったな。」

 「もう少しましな嘘をつけよ。インフォが普通に使えるのに、受送信不可能な部屋とか、あり得ないこと言うなよ。それに、おれの録音機はあれじゃないから。」

 俺はそう言うと立ち上がる。

 「じゃ、聞きたいことは聞けたから、俺はここら辺で失礼するよ。じゃあねぇ。」

 俺はそのまま手を振りながら帰ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ