途中経過の確認
「ラヴェーラ、そっちはどうだ?」
ホテルに戻った俺はアンケートの結果を纏めているラヴェーラに進捗状況を聞く。
「やはりというべきか、結果に偏りが多く見られる。」
ラヴェーラは集計途中のデータを渡してくれる。
「成る程ねぇ、ラヴェーラはこの偏った結果について、どう思う?」
「そうだな、国民に対して政府の政策が上手く行き渡っていると思うが。」
「俺はそうは思わない。むしろ言いたいことも言えない国なのかって思うけどな。」
「何を根拠に言っているんだ?」
「普通なら国家に対しての国民の信頼度なんて人口の半分もあれば十分なほどだ。それが、この国では九割が国政に賛成しているなんて、よほど国民の自由が奪われていない限りあり得ないぞ。」
「そんなものなのか?」
「それはそうだろ。この国で例えるなら、食事の支度の都合があるから賭博は強制にしないでほしい、みたいな意見がもっと多くてもおかしくない。」
「言われてみれば、国政に反対していたのは半分以上が主婦層だったな。」
「そういうことだ。それから、バスターの元奥さん、ダークは見事なまでの反対派だった。」
「そうなのか。向こうではどんな話をしていたんだ?」
「それなりの収穫はあった。まず、ダークはダイスとミラージュが同一人物である証拠として掲載されていた写真のことを細かく覚えていたみたいで、記事には両者に対しての鑑定を行っていたこととか話してくれた。」
「鑑定?」
「ああ、人間の輪郭は骨格の都合から変わることは無い。それを利用して機械に情報を送って同一人物か調べる手段があるんだ。それによると、目元まで含めてほぼ同一人物で間違いない、と書かれていたらしい。」
「そうなると、何故二人の繋がりをわざわざ隠す必要があるのか、それが重要になるな。」
「それだよな。冷暗施設の改善のために支援されていることをもっと公にしてもいいはずなのにな。」
「レイは、明日はショットの所に行くのか?」
「そうだな。バスターとダークの件については少し時間が掛かるだろうからな。」
「そうか。それで…」
ラヴェーラは俺に対して疑念の目を向ける。
「どうした?」
「ダークとの会話の時、遮光眼鏡を外していないだろうな?」
「当たり前だろ!」
「どうだか、女好きのレイのことだ。信用できないな。」
「お前な、俺はゼンリンに根も葉もない噂を流されていて遮光眼鏡を外せないんだよ。」
「噂?一体何の?」
「あいつ、俺の目には人を呪う力がある、なんて吹聴しやがった。」
「ふっ!」
笑いやがった!よりにもよって笑う事なんてないだろ!
「その目に呪う力が!変態御用達の力しかないのに。」
はあ、最悪だ。
「おい、立ち上がってどうした?もしかして、気を悪くしたか?それなら謝りたい。」
「それなら大丈夫。それより、たまにはゆっくり食事でも取ろう。ここのところ、パンと軽い飲み物しか口に入れていないだろ。」
「そうだけど、いいのか?」
ラヴェーラの奴、めっちゃ目をキラキラさせているし。
「ああ、ある程度良さそうな場所は調べてあるから行くぞ。」
俺達は支度をしてホテルを出る。そのまま駐車場へ向かうと、
「やっと見つけたぜ!」
「まさか、こんな所に来ていたとはな。」
「一番売れそうな二人がいないけど、丁度いいか。」
後ろから聞こえた声に振り向くと、見覚えのある奴らがいた。
「お前ら、いつぞやの人身売買組織か!」
「あの後、行政局長を捕まえ損ねたことや、お前達にコテンパンにされたことで俺達は怒られたんだ。こうなりゃ、賭博で勝負だ!俺達もいろいろな方法で国民専用のカードを作ったから、金儲けに利用していたけど、お前達に復讐できるなら、作った甲斐があったってもんだ!」
「復讐って、ただの逆恨みだろ。」
「うるせぇ!そんな口をたたけるのも今日までだ。俺がお前の金を巻き上げてやる!」
リーダーのデブは相変わらず騒がしいな。そんなことを考えていると、サイレンの音が近づいてきて、パトカーが何台かやって来た。
「そこの三人組、防犯映像から聞こえていましたよ。国民ではないのに国民用の換金可能カードを発行して違法に金銭の取得をしていたようですね。」
お巡りさんは三人に銃を向けている。
「へっ、そんな脅しに屈していられるかよ!」
三人は前みたいに武器を取り出してお巡りさんを襲おうとするけど、
「障害未遂の現行犯で逮捕させていただきます。カードの不正使用についても、別件で調べさせてもらいますから。」
人数的に不利すぎてあっという間に逮捕される。
「救世主様と護衛の方、大丈夫でしたか?」
「ええ、そいつらについては、お任せします。」
「それでは、失礼致します。」
パトカーはそのままどっかに行ってしまった。
「なあ、なんであいつら、俺達を人質にしなかったんだろう?」
「さあ?それより、食事に行きましょう。」
「そうだな。」
俺達は呆れつつもレストランに向かった。




