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 翌日、俺はバスターの元奥さんであるダークの自宅にお邪魔する。

 “ピ~ンポ~ン”

 インターホンの音は何処も同じだな。

 『どちら様でしょうか?』

 インターホンから女性の声が聞こえる。

 「ダークさんのお宅でしょうか?今日お会いする約束をしましたレイです。」

 『救世主様でしたか。鍵は開けましたので、どうぞお入りください。』

 「それでは失礼します。」

 俺は鍵が開いていることを確認してダークの家に入る。

 「あなたが今話題の救世主様ですね。初めまして、ダークと申します。」

 ダークは穏やかな表情で挨拶をする。

 「初めまして、本日は手間を取らせてしまい申し訳ございません。」

 「いえいえ、こちらこそ、わざわざ遠くから有難う御座います。立ち話も大変でしょうから、こちらへどうぞ。」

 ダークの案内を受けて俺はリビングに入れてもらう。

 「さ、座ってください。」

 「それでは。」

 俺は椅子には座るが、サングラスは外さない。俺だって、好きで人の裸を見たいわけじゃない。

 「ふふっ、本当に遮光眼鏡を外さないのですね。」

 「色々ありましてね。」

 「噂は聞いていますよ。なんでも、救世主様の目には、見た者を呪い殺すスキルが宿っているとか。」

 誰だよ、そんな物騒なことを噂で流した奴は!あ、ゼンリンか。とは言っても、流石に事実は言えないもんな。女性の裸が見えるだけだ、なんて言ったら救世主どころか、変態の烙印を押されて人生終了だからな。

 「流石に、そんな物騒なスキルは持っていませんよ。でも、俺にもダークさんにも迷惑なスキルが勝手に発動してしまいますので、失礼ですがこのままでお願いします。」

 「大丈夫ですよ。それで、本日は五年前に、私とバスターさんが離婚した件でのお話しでしたね。」

 「はい、ダークさんには辛いことだと思いますが、上位プレイヤーとダラーミレニアム、それからその関係者との繋がりを調べるのに必要なので、お願いできますか?」

 「ええ、今から十年前、あの医療実験で娘が亡くなったことは救世主様もご存知ですよね。」

 「はい、あの実験では他にも死者が出ていることも。」

 「あの一件から、バスターさんの時間は止まってしまっているんです。」

 「時間が、止まっている?」

 「はい。と言っても、娘が生きていると思い込んでいるとか、そうではなくて、娘の死に対して後ろめたさから前を向けないんです。」

 「無理もないとは思いますが、それでも前を向かないと、亡くなられた娘さんに申し訳ないでしょう。」

 「そう、ですよね。ですが娘の死後からバスターさんは私のことを過剰なくらい大切に扱おうとするようになりました。口を開けば私のために、二言目には私のために、それくらいの勢いで。」

 娘を失ったから、守る対象を奥さんに変えたって感じだな。

 「流石に、そこまでされると軟禁されている感覚になるからやめてほしいと言っても、バスターさんはやめてくれませんでした。それでも私は、いつか昔みたいにまた子供と暮らせる日が来ると思っていました。ですが、バスターさんは一切相手をしてくれませんでした。もう娘も私も失いたくないと言っていました。」

 「そうでしたか。」

 「それで、五年前の新聞は私にとっても衝撃的でした。掲載されていた二つの写真に写っていたダイスさんとミラージュさんは、識別鑑定で同一人物だと判明していると記載されていたにも関わらず、バスターさんはナガレ局長とダイスさんに繋がりがあることを認めたくなかったみたいで、大きな喧嘩をした後に離婚という形で終わりを迎えました。」

 「なるほど、それで一度俺に会いたいと。」

 「はい。バスターさんは立派な教師だと思いますし、子供自体は好きな人なんです。」

 「そうですよね。子供が嫌いなら小学校の教師なんてしてませんよね。」

 まあ、世の中には別の意味で好きな奴も一定数居るから厄介なんだけどな。

 「ですから、バスターさんにもう一度家庭を持つことの大切さを取り戻してほしいんです。」

 「分かった。なんとかしてみる。今日はありがとう。」

 俺は立ち上がり、帰る準備をする。

 「期待、していいんですよね?」

 「望んだ結果になるかは保証できないけれど。」

 「わかりました。それでは、お気をつけて。」 

 俺がダークの家を出ると、ゼンリンが居た。

 「やっぱり忠告しても無駄だったか。」

 「それより、俺の目に対して変な噂を流したのはお前か?」

 「バレた?」

 「当たり前だろ。」

 「でもさ、ただ遮光眼鏡をかけているより、呪眼の持ち主って方がカッコいいだろ?」

 「そりゃな。」

 「んじゃ、帰り道に気をつけろよ。」

 ゼンリンは手を振りながら帰って行く。

 「はぁ、ダークの裸、見とけば良かったなぁ…」

 後悔先に立たず、って奴だな。俺は大人しく帰ることにした。

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