裏取り
「あいつが中学生だった頃?そういや、なんかあいつ、いっつも高そうな車に乗せてもらっていたよな。」
「そうそう、なんかテッカテカの悪趣味な白い車でしょ。うちらの区域でも話題になっていたよ。なんか感じ悪い奴って言われていたから覚えている。」
なんか早速怪しい話題が出てきたな。
「その車、他に誰か載乗っていたか知らない?」
「そう言われても、俺らが見たのだって何年も前だからあんまり覚えていないんだよなぁ。」
「あんまり窓や扉を開けていなかったからね。」
とりあえず、車で送り迎えされていることまでは分かったけど、やっぱり昔の事なんて覚えていないか。
「そう言えば、俺は一度だけエンジンが扉を思いっきり開けているところに出くわしたことがあるんだけど、確かそのときなんか潰れた蛙みたいな顔のオッサンが乗っていた記憶があるかも。」
いたよ、覚えている奴。
「それって、こんな感じの奴?」
俺はゼンリンから貰ったナガレの写真を見せる。
「確か、こんな感じだった気がする。」
ビンゴ!ゼンリンの言っていたことは少しは信憑性を増したな。
「貴重な情報ありがと!ここの利用代金はこっちで払っておくからみんなは時間まで遊んでいていいぜ。」
「あれ、救世主さんは?」
「俺は連れと合流して明日のための打ち合わせ。」
「連れって、あの色気の欠片も無い?」
「そうそう。あの女っぽさゼロの筋肉隆々女。」
「うへっ、救世主さん口悪すぎ。」
「なんでも、これくらいの方がこの世界の救世主に丁度いいんだとよ。じゃあな。」
とりあえず俺の方で先払いだけ済ませて店を出て、そのままラヴェーラに電話を始める。
『どうした、何か進展でもあったか?』
「十な収穫だ。車の中で落ち合おう。」
『分かった。気をつけるんだぞ。』
俺達は短い電話を終わらせて、すぐに車の中に入る。
「それで、情報はどうだった。」
「そうだな、実際に親類という保証は無いが、親しい間柄というのは間違いないらしい。中学生時代のエンジンを知っている奴が証言してくれた。」
「すまない、中学ってなんだ?」
「もしかして、イースティアには中学校は無かったのか?」
「ああ。」
「分かりやすく言うなら、12から15歳迄の子供が通う学校の総称だ。一応ウェステリアにはあったからラヴェーラも知っていると思っていたけど…」
「お前は私の年齢を忘れたのか?私は今14歳だぞ。それで既に陸軍少佐になっていることを考えれば学校などほとんど通っていないことは分かるはずだ。」
「待てよ!俺はお前の年齢を今始めて聞いたぞ!お前、まだ14歳だったのかよ!」
「つまりレイは、私の年齢も気にせずにあれだけのことを言っていたというわけだな。」
「それは悪かった。でも良かったじゃん。」
「何がだ?」
「14歳って事は、まだこれから成長する可能性があるぞ。身長も、それからm…」
「だ、ま、れ。」
ラヴェーラの奴、いきなりボディーブローは無いだろ。
「うぐぅ…」
「すまなかった!大丈夫か?内臓は破裂していないと思うが、手当は必要か?」
そう易々と内臓破裂してたまるか!
「そこまで狼狽えるなら、最初からしないでくれ…」
「そうだな、私としたことが、この程度のことで大袈裟に…ってなると思うな!レイが最初から言わなければ何も起きないだろ!」
「気をつけるよ。それより、俺はこれからもう一つの気になることを調べに行く。」
「気になること?」
「エンジンの過去の戦績。上位プレイヤーなら、過去の戦績とかは大々的に宣伝されているだろうから、そこら辺を詳しく調べたい。夕飯までには戻るから安心してくれ。」
「分かった。私の方は引き続き意識調査を続行する。午後からは男性に対しての調査も私の方で行う。」
「気が利くな。」
「どうせ、エンジン以外の上位プレイヤーも後日調べるのだろう?」
「そうだな。エンジンのことを調べ終われば、バスター、ショットって調べるつもり。あの二人についても気になることは沢山あるからな。」
「だったら、意識調査は私が引き受け、レイは上位プレイヤーの事を調べるのに専念する方が効率がいい。とりあえず、戦績を調べるのに時間が掛かるなら、そろそろ行ったらどうだ?今は昼時だから調べ物もし易いだろう。」
「おう、ラヴェーラも頑張れよ。」
俺達はもう一度分かれて行動を再開する。




