賭け事はほどほどに。
「なあ、どうしてあんパンとミルクなんだ?」
マケットでの買い物中、ラヴェーラは聞いてくる。
「俺の世界ではな、張り込み調査って言ったらこの組み合わせが定番なんだよ!」
と言っても、刑事ドラマくらいでしか見たこと無いけどな。
「なら、私も同じにしよう。」
「いいのか?さっきから惣菜系統を挟んだパンばっかり選んでいたのに。」
「その方が効率的だと思っただけだ。別に、レイト同じやつにしたいとか、そういうのではない。」
つくづく、表情と行動に出やすい奴だな。
「買い物も済んだし、とりあえずどんな施設があるか見て回るか。」
「そんなことして何になる。私達は賭博なんてしないのに。」
「種類を把握したい。賭博には倍率がある。それを知っておけばどれだけの人が勝てていて、どれだけの人が負けているか分かるからな。」
「くれぐれも、カードを持っているからって賭博はするなよ。」
「分かっているよ。やる気も無いしな。」
俺達は車に乗り、かなり大きな施設に入っていく。
「発券機か。ここの賭け事は何だ?」
始めてくる場所で俺は辺りをキョロキョロ見ているとラヴェーラに殴られる。
「痛えな!なにすんだよ!」
「まったく、キョロキョロ見るな。こっちが恥ずかしい。」
「わるかった。とりあえず、なんかゼンリンとあった場所とは違う雰囲気だな。」
「ここは、ポスレの会場だからな。」
「ポスレ?」
「ああ。ポルスという生き物を使って、誰が一位になるか賭ける場所だ。ほら、始まるみたいだ。」
要するに、競馬場って事か。そうしていると、ポルスの紹介が始まる。
『枠番号一番は二番人気、サーベラストレート。一番人気は八番、アンドロメダマスク。』
実況による紹介を聞いていると、やっぱり競馬とは少し違うんだと実感する。
「レイ、お前はこの調査に何の意味を見いだしているんだ?」
「調べないと分からないことも、世の中には沢山ある。」
俺とラヴェーラが話していると、
「あれれぇ?お熱いですねぇお二人さん。」
聞いたことのある声が聞こえたから振り返ると、ゼンリンが居た。
「なんだ、今日の出現地点はここなのか?」
「そゆこと。それより、お二人さんはなんか面白そうなことをしているらしいじゃん。」
「面白そうなこと?」
「国民に意識調査なんてしているって。しかも架空の会社名を名乗って。」
「お前には関係ないだろ。」
「確かに。今の俺は記者じゃ無くてただのレリーフだしな。面白い話を聞きたいなら、五時半以降にここに行く方がいい。あのがきんちょも常連の場所だ。」
ゼンリンはまた何かのメモを渡してくる。
「あのがきんちょ?」
「ほら、局長様を庇っていた。」
「あの、始めて局長と話していたときにやってきた奴か。」
「そう。あいつはエンジン。なんでも昔、局長様に助けてもらった恩義があるんだってさ。」
なるほどねえ。
『残り400メートル!おぉっと!外からシッコクホッパーが現れました!』
「おっ、丁度いい。俺が賭けていたやつが抜いていくか。」
ってゼンリンの奴、競馬に夢中だし。
「やめてくれ!」
「俺達のマスクの栄光に泥を塗らないでくれ!」
そうこうしていると、会場から叫び声が聞こえてくる。
「ラヴェーラ、騒がしいから出るか。」
「そうだな。ゼンリン、貴重な情報をありがとう。」
俺達が出ようとすると、どうやら結果が決まったようだった。
『なんと、一着は十三番、シッコクホッパーで決まりました!アンドロメダマスク、クラウンコンプリートの夢が破られました!』
「ふざけるな!」
「お前は引っ込んでろ!」
まったく、生き物相手に何下らないことをしているんだか。俺は競馬なんてしたこと無いから知らんが、生き物なんだから調子のいいときや悪いときもあるだろうに。罵声を浴びせて何が楽しいのやら。これが本当に心の潤っている様かっての。




