表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/77

全然潤っていないじゃん!

 俺達がインターホンを鳴らすと、住人と思われる主婦が出てくる。

 「どちら様でしょうか?」

 すかさずラヴェーラは名刺を渡す。

 「お忙しい中申し訳ありません。私達は株式会社サイレントサタデーの記者、ラヴェーラと、助手のレイと申します。」

 「少々お時間よろしいでしょうか?」

 「どれくらいでしょうか?」

 「そうですね、今度当社の記事で現政権に関する特集を組もうと思っていまして、軽い意識調査をしたいので五分あれば充分に終わります。」

 俺の求めている対応をラヴェーラはこなしてくれる。これは俺とラヴェーラで決めたことだが、対応者が女の時はラヴェーラが、男の時は俺が対応することにしておいた。もし子供が出てきてそれが女児だったら変態どころの騒ぎじゃなくなる。今の世の中、ただでさえロリコンだのストーカーだの、性犯罪がだの、すぐに事件とか事案とか騒がれるからな。無論、そういう目的の輩が多数いるのは分かっている。でも、今は騒ぎすぎだ。俺が小学生の頃なんて、そこまで世間は騒いでいなかったけど、それだけ犯罪の数も増えたんかな。そうだ、ちょっと聞いてもらいたいことが増えたな。

 「ラヴェーラ、質問を一つ追加。十年前から比べてどういう犯罪が増えたか、感覚的に聞いてほしい。」

 俺はラヴェーラに小声で耳打ちし、ラヴェーラはそのまま質問を繰り返す。そうしていると、直ぐに質問が終わる。

 「それでは、お忙しい中申し訳ありませんでした。」

 俺達はそのまま退散し、次の家に訪問をするが、これからは大変だった。

 「結構です!」

 「帰れ!」

 「間に合っています。」

 老若男女問わずに言われるからな。中には本問販売や宗教勧誘と勘違いして警察を呼ぼうとする奴までいたからな。今、俺達は車の中で簡易的な集計をしている。

 「記者って奴はホント大変だよな。こんなことをずっとやっているんだから。」

 「それには同感だ。レイ、そっちの結果はどうだ?」

 「大した回答はもらえていない。ラヴェーラの方こそどうだ?そっちの方が回答した人が多いだろ?」

 「そうだな、回答してくれたのは三百人くらいか。」

 「全然足りないな。それの五百倍の答えがほしいからな。」

 「レイは本気で一万五千人の人が回答してくれると思っているのか?」

 「まさか、あるわけないだろ。っと、なんか面白そうだな。」

 俺がふと横を見ると二人の会社員が話してるが、どうも部下らしき男が上司らしい女に思いっきり罵声を浴びせられているようだった。

 「ラヴェーラ、次はあの二人を対象にするぞ。俺はあっちの怒られていた方に質問するから、ラヴェーラは上司の方を頼む。」

 そうそう、こういう昼休憩や外回りをしている会社員を探していたんだ!

 「分かった。一人だからって相手に無礼なことはするなよ。」

 「分かっている。行くぞ。」

 俺達は車から降りて別れていった二人の会社員にそれぞれ向かう。

 「あっ、お忙しい中すみませぇん。もしかして今は休憩中でしたでしょうか?」

 「そう、ですね。」

 「私、株式会社サイレントサタデーのレイと申しますが、少々意識調査にご協力いただけないでしょうか。五分ほどで終わりますので。」

 「それくらいなら構いませんが。」

 「ありがどうございます。それでは早速ですが、現在のご年齢は?」

 「今は24です。」

 「そうなりますと、会社員か何かで?」

 「ええ。」

 「そうですか。では、国民総賭博師法が出来た頃はまだ学生さんだったというわけですね。それで、十年前と比べて、精神的な余裕はどう変わりましたか?」

 「あまり良くないですよ。仕事が終われば上司を持ち上げるために接待プレイを要求されて、会社内の成績は賭けでの勝敗に左右される。だから俺達みたいな入社して三年程度じゃ、日々社内で罵倒され続けて、仕事が終われば賭け事の勝敗で罵倒される。そのくせ、接待プレイは絶対だから勝てる試合で勝つことも出来ない。正直、こんな法律無くなればいいのに、と何度思ったことか。」

 やっぱりな。全然潤っていないじゃん!

 「貴重なお話、ありがとうございます。最後になりますが、十年前と比べて、どういった犯罪が増えたと感じますか?無論、ご自身の感覚でよろしいので、増えてなんていない、というのでも構いません。」

 「そうですね、やっぱり賭け事での勝敗が原因の人格否定行為、名誉毀損、暴行は増えたと思います。」

 へっ!何処の世界でもパワハラってあるんだな。って、さっき目の前で見たじゃん。

 「双ですか。お忙しい中ご協力いただきありがとうございます。今回のお話しは記事作成の大きな参考資料になります。これにて、意識調査は終了になります。ありがとうございました。」

 俺は冴えない男性社員に頭を下げて直ぐに車に戻る。

 「随分遅かったな。」

 車には既にラヴェーラが乗っていた。

 「そうだな。おかげでいい情報が手に入った。正直、ゼンリンの件を抜きにしても上玉の内容だった。もう少し会社員の人に質問したいな。今日は何時食事がとれるか分からないから今のうちにマケットで食料を買っておこう。」

 俺達はアフター5狙いでのアンケートのために食料の買い出しを始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ