いい日?旅立ち
翌日になり、俺は朝からサーティアスの中央軍事基地に来ていた。
「ここでは、どんな訓練をしているのかな?」
俺は呟きながら歩いている。すると、目の前にデスベロスが現れる。
「何の用?」
「いや、ここで体力と筋肉を鍛えられたらいいなって思ってな。」
「そういうのは運動施設に行って。」
「相変わらず口数が少ないな。そんなので他の奴らときちんと連携がとれるのか?」
「問題ない。」
はぁ、やっぱりこいつとの会話は疲れる。
「それで、他に用事は?無いなら訓練の邪魔になる。」
「一応、こっちの軍は三国統一に対してどう思っているのか聞きたくてな。サーティアスは人間同士の白兵戦、イースティアはホーンワームを駆使した陸戦を得意としているからこの二カ国は上手く共存できるだろうが、ウェステリアは爆撃機を使った焦土作戦が主体だって事を考えると、上手くやっていけるのか不安で、士官を務めているデスベロスに聞きたかった。」
「大丈夫。それなら陸軍と空軍に分ければいい。」
「そんな簡単に割り切れることか?」
「難しく考える必要は無い。」
「仮にも争い合っていた国と協力しないといけないんだぞ?それに、ウェステリアはこの間は俺を狙って攻めてきただろ?」
「互いの溝は、時間が解決する。」
デスベロスの目に迷いは見えなかった。これはどう言っても考えを変えないだろう。
「わかった。俺も三国それぞれに無理をさせないように統一できるように努力するから。」
「期待はしないでおく。」
「とりあえず、統一に成功したら、ここで一ヶ月くらい訓練でも積もうかな。」
「…訓練の邪魔。どいて。」
デスベロスは俺の言葉を聞いていたんだろうか?とりあえず、俺は中央軍事基地から出る。すると、
「筋肉一つしっかりとつけていない救世主様が、こんなむさ苦しい場所に何の用かしら?」
ラフワールが壁に寄っかかっていた。
「統一した時の群の運用について、いい案がないか聞いていた。それで、お忙しい覇王様がこんな住所不定無職救世主に何の話があるんだ?」
「そうね、貴方の愚策にノってあげる、そう言ったら?」
「愚策って…あのなぁ、イースティアにも諦めてもらうものがあるし、ウェステリアにも諦めてもらうものを提示するんだ。サーティアスにも折れてもらわないといけない部分があるんだ。そうしないと」
「そうしないと、三国それぞれに利益と不利益が平等な統一が出来ない。そんなところかしら?」
ラフワールの奴、人の話を遮りやがって。
「慌てているわね。貴方のことだから、どうせウェステリアに行ってもあの愚君に交渉を持ちかけるのでしょう?俺の提示する統一の条件が飲めないなら諦める。その代わり、イースティアとサーティアスの連合国に攻め込ませる、って感じかしら?」
「お見通しか。」
「当たり前でしょう。昨日は貴方と別れてすぐにフルールに連絡したんだから。」
「何を聞いたんだ?」
「そうね。今の国政を捨てるか、三国統一を諦めるか選べ、なんてことを何処ぞのいい加減な男から言われたって泣いていたことくらいかしら?」
「なんか、そういう言われ方をすると、俺がすっごい悪い男に見えるんだけど。」
「あら、あんな人形より可愛らしい女の子に厳しい現実を平気で突きつける貴方が悪い男じゃないって言いたいのかしら?」
「それもそうか…」
「とりあえず、私達サーティアスは救世主の意見に賛同させてもらうわ。」
「そうか。それはありがたい。」
「それで、実は今日はここにお忍びで来ているのよ。勿論、バンもいないわ。どう、興味あるんでしょう?私に。」
「何のつもりだ?」
「せっかくだから、救世主がどんな味なのか知りたくなっちゃってね。」
「そうかよ。それなら最低ついでにもう一つ言っておくが、俺はフルールくらい大きい方が好きだ。」
「ぷっ!」
俺の言葉を聞いてラフワールは笑う。
「本当に最低ね。本人に向かってそんな下品なことをわざわざ言うなんてね。でも、ますます気に入ったわ。夕方からのウェステリアとの交渉、頑張りなさい!」
俺とラフワールは握手をし、俺はそのまま国境壁を出て、空が赤くなる頃にウェステリアの飛行機に乗ってウェステリアに入国した。




