第97話 私、予定外の買い物を願う
「さて次は」
私が言いかけたところで、晶露様が先回りして、しおりを見つつ、申告してくれる。
「はい!またゆりのきさまのところにいくです!」
「はい、その通りですね。ですが、ここでもう一つ買い物をしようと思います」
「おかいものですか?もうおこづかい、ほとんどありません」
晶露様がお財布をあけて、しょんぼりとする。
うん。そう予定通り、私たちのお小遣いは数十円を残すのみである。
「そうです。これは突発的事案になりますので、ちょっと交渉します」
そう言うと私は晶露様の後ろに立っていた松也さんを見上げた。
「すみません。急に入り用な物ができました。晶露様に使えるお金はありますでしょうか?」
「ございます。いかほどでしょうか?それとどういった理由で必要になりましたか?」
当たり前の質問であるな。これでお菓子の追加購入と答えたら、即却下であろう。
「おそらく1000円から2000円ほどで買えるかと。そして理由ですが」
私は必要な金額を告げた後、その理由を話した。
私たちが新宿御苑で、人払いされた間の出来事である。
ゆりのきの巨木に御神酒とお水をお供えしたところ、御神酒はなくなってしまったが、お水は残されていた。貴き木に供えた水である。多少ではあろうが、良気が入った水である可能性が高い。今世なら清めの水とでもいうものか。言えないが、前世では聖水のようなものではないかと思う。ならば、できるだけ持ち歩きたい。その為の水筒が欲しい。後で精算するので、私用にも水筒を買いたいので、用立ててくれないかとも話した。
松也さんは話を聞いて、即承認してくれた。そういった理由であるなら問題ないと。
よかったのである。
今日買わなくても良いのであるが、折角都心まで出てきたので、2人でおそろいの水筒を買うのもよいかと思ったのだ。
「晶露様、了承が得られたので、もう1つ買い物をしましょう!」
「はい!」
晶露様は満面の笑みで頷いた。
晶露様も大喜びである。そうであるよな。買い物は楽しいのである。
そうして私たちはお揃いの水筒を手に入れた。
「さあ、それではゆりのきの巨木の元に戻りましょうか」
「はい!」
私たちは、じっくりと水筒を選んだ後、しおりの通りにことを進めようとした。
「おまちください」
そこで松也さんから待ったがかかった。
なぜに?
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