第96話 私、買い物をする
「さて、次の予定はどうなってますか?」
レストランを出たところで、私は晶露様に尋ねた。
晶露様はしおりを見る。
そうそう、その行為が楽しいよね。
晶露様の目が輝いている。今日は輝き通しである!
「えっと、つぎはおかいものです!」
「そうですね。お小遣いはいくら使える予定ですか?」
「350えんです!」
「そうですね!では行きましょう!」
昨今350円では、なかなか満足なものは買えない。買えたとしても1つだけである。しかしこの少額でも、選んで買えるお店がある。
それは皆様もおわかりであろう!
そう、100円均一のお店、いわゆる100均と呼ばれるお店である。
都心にある100均は広さがスペクタキュラリーである。
私からすれば、なかなかなハイクオリティーな品々が、100円で買えるなど、前世の知識から考えると、信じられない位である。
やはりこの世界は高度な文明社会なのであると、改めて実感する。
このような世界に生まれ出ずることができたことに、改めて感謝の意を捧げるものである。
時間が許す限り、100均の店を見て回り、見聞を深めたいが、そうも行くまい。
私の主な目的は力の増幅である。
私の主目的は果たされたのであるから、次は晶露様に少しでも楽しみでもらうことに注力したい。
なお、ロウはまだへそ天状態なので、そっとしておく。
もしかしたら、ゆりのきの巨木からの祝福が効いているのかもしれない。
羨ましいかぎりである。
さて、話を戻そう。
今は晶露様に物を選ぶ楽しさを、ぜひとも味わってもらいたいのである。
とはいえ、私たちは幼少の身。買い物は大それたものは不要なのである。
その為、選んだ場は100均の店なのである。
「さあ、ここから好きなお菓子を3つ選んでくださいね」
「わかりました!」
あまりにも広い店内な為、私たちは今回お菓子に的を絞って買うことにする。
晶露様は一生懸命に選んでいる。
真剣であるが、楽しそうである。目がきらきらしている。
うむ。では私も選ぶか。少しは私も楽しんでよいであろう。
私だって楽しみにしていたのだ!
そうして、私たちは100均のお菓子コーナーで、吟味に吟味を重ねて、3つずつ選んだ。
食べるのは本家に帰ってからである。
私たちはできるだけ多くの味を楽しむ為に、違うお菓子を選んだのは言うまでもない。
そしてレジに並び、買い物を済ませた後。
「ひとつは、にいさまのです。よろこんでくれるとよいのですが」
晶露様はお菓子を大事に抱えて、そうぽつりと零された。
若君、よい弟君を持ったのである!
大いに喜びを表して欲しい!
幼児にしては、350円は大金ですね。初の買い物きっと晶露様は楽しんでくれたでしょう。




