第94話 私、しおりを大切にする
それから更に30分ほど良気の取り込みに勤しんだが、これ以上続けるのは難しくなってきた。
本当なら、倒れるまでやりたいところであるが、無理をしても仕方がない。
最初は様子を見る、それが肝要であろう。
また来訪する機会を作ればよいのである。
作りたい!
「晶露様、もう終わりに致しましょう。ゆりのきの巨木からの良気は、ここを訪れた者の癒やしですから、長居してはいけません」
「はい」
それらしいことを言いつつ、私は立ち上がる。
当初予想外の出来事があったが、それは嬉しい出来事であり、私の目的にはプラスに働く出来事であった。
そして、本日の私の主目的は無事に終了することができた。
良気の取り込みは出来た。
大満足である。
後はお家に帰ってからも、今自身のうちにある力の増幅が持続できるか否か。
要観察である。
それはそれ、ひとまず置いておくことにする。
今日はまだまだ時間がある。せっかく来た都心である。
時間の許す限り、いやはみ出しても、楽しみぬいてもバチはあたらないであろう!
我らはまだ子ども!その権利はあろう!
そしてその計画もバッチリ立てているのである!
私は晶露様に尋ねる。
「さて、午前中の予定は終わりましたね。これからの予定をしおりで確認しましょうか?」
「はい!」
晶露様がしおりを取り出し、広げる。
私も座り直し、自身のしおりをみる。
晶露様は頭がよいので、きっとしおりに書かれていることなど、頭に入っている筈である。
私だってそうである。
しかし、ここで敢えてしおりをみることに意義があり、楽しみがあるのである。
「どうですか?」
「はい!かくにんしました!このあとはおひるごはんをたべるとあります」
「そうですね。レストランの予約は問題なかったですか?」
晶露様にレストランの予約をお願いしてあるのだ。
もちろん、予約をとるのは本家子分なので、晶露様は指示をするだけだ。
けれど、役目を持つこと、それ自体が大切なのである。
自身で行事に積極的に参加する、それが楽しみを倍増させるのである。
「えっと。しょうや、よやくはだいじょうぶ?」
「はい。滞りなく」
「ありがとう」
「もったいなく」
晶露様は本家子分の松也さんに確認すると、私に向き直った。
「ねえさま、だいじょうぶです!ちゃんとよやくはできてます!」
「はい。えらいですね!」
「えへへ」
晶露様が嬉しそうに笑う。
うんうん。よきよき。
「それでは、移動しましょうか」
「はい!」
昼食楽しみである!
大海と晶露とのやりとり、ほんわかしてもらえると嬉しいデス。




