第85話 私、遠出への思い、語り終える
私は気持ちを新たに、学園幼年部で過ごした後、本家の晶露様部屋を訪れる。
先に帰っていた晶露様と合流。
ロウにも説明した後、しおり作りに励んだ。
パワースポット訪問計画を立てるべく、この世界の超文明の利器である、パソコンをフル活用する。
ちなみに実際に使用したのは、本家の子分の松也さんである。
晶露様の部屋にはパソコンがあり、ネット環境も整っている。
が、勝手には閲覧できないようになっていた。
それは自明の理であろう。私は5歳、晶露様3歳、こればかりは仕方がない。
パソコンなるものは大変高価なものである、自身で操作できないのは歯がゆいが、万が一にも破壊してしまったならば、新たなものを用意してもらうまでに時間がかかろう。最悪の場合はパソコン支給自体がない可能性もありうる。そんな危険はおかせないのである。
以上の理由から、パソコンでの検索は、晶露様付きの松也さんが主に行った。
まずはパワースポットへの移動手段である。
これは、晶露さまが同行することが決定した時点で、自動車での移動は決定である。
私が小学部に上がる時、晶露様は4歳、私は6歳である。
電車移動は危険を避ける為に、今回は諦めるざるを得ない。
電車は自由に外出できるようになったら、ぜひとも乗ってみたい乗り物である!
が、危険と安全を秤にかける訳にはいかない。
晶露様は私と違い、見目もよく、そのうえお金持ちである。
誘拐の危険は大いにあるのだ。
私が誘拐犯に十分対応できる技量がない以上、車移動一択である。
私は今世は女児、非力である。
であるからして、異能を鍛えなくてはならないのである。
私が危険に自身で対処できるようになる為にも、この訪問計画は成功させなくてはならないのである。
余談ではあるが、訪問先を新宿御苑に定めるまで、私と晶露様、それとロウもか?は、松也さんの手を借りて、かなり吟味を重ねたのだ。
自動車で片道2時間以内の場所。それ以上であると、疲労が先に立ってしまう可能性もありうる。
自動車での移動で2時間とは結構な範囲にはなるが、まずはそれで場所を選定。
更にパワースポットには神社仏閣が多いのであるが、それは外した。
神社仏閣とは前世の知識からすれば、おそらく教会や神殿のようなところであろうと推測した。
すなわち神が御座すところ、またはお出でになるところだろう。
となると、自然の良気よりも、神気を帯びているのはなかろうか。
神気は究極の良気であるが、人にとっては強すぎる場合がある。ましてや私の気の力は薄弱である。そこにいきなり神気を取り込もうと試みたら、中てられて失神してしまう可能性がある。
いや、それ以上に身体になにか障りが出てしまう可能性もある。それは避けたいところである。
だから、まずは自然の良気が滞留している場所での、取り込みを試みたいところである。
更に更にである。
せっかく都心に出れる機会である。
まだ行ったことのない東京都心に焦点をあてた。
更に更に更に、である。できればおいしいものが食べたい。
プラス晶露様が喜びそうなものを、ロウも入れて3人で食べたい!
ゆえに、お子様が喜びそうなお店が近くにある場所が望ましい。
その段階で、晶露様からのリクエストも入った。
「ぼく、できればあにうえに、おみやげをかいたいです!」
くう!晶露様、3歳にしてなんと心配りができるお子か。
若君なんて、お土産買って来た試しがないぞ。
どこでお土産なる言葉を覚えたのであろうか?!
はっ!もしかして弟君である晶露様は、もらった経験がおありか!?
筆頭許嫁候補の私はないのである!
こほん。話を続けよう。と色々な角度から検討を進め、場所はかなり絞り込まれたのだ。
そうして決まったところが、若君へとプレゼンした新宿御苑なのである。
場所が決まり、時期はかなり先であれど、決行の許可が下りた。
そして今まさに計画を立てる段階に至ったと言う訳である。
新宿御苑及びその周辺について、私と晶露さまは書籍を使い、手下はパソコンで入念に調べた。
その計画書を元に、晶露様とロウと私の3人で、遠出のしおりを作った。
遠出のしおり。これは子どもが出かけるにあたり、必須であると、私は書籍で知った。
晶露様にさも当然のごとく話していたが、実は書籍からの知識である。
手下に聞いたところによると、小学部でも遠足なるものが行われる時には、必ず作成されるものであるとも聞いた。
ならば、作らねばなるまい!
ふっ。遠出とは、そこに行くまでの準備もまた楽しいのである。
晶露様は、目を輝かせて、一生懸命しおりの作成に臨んだ。
表紙の絵は晶露様の担当にした。
晶露様は存外に絵がお上手であった。
私は絵心がないので、全面的に任せたのである。
不得意なものがやるよりも得意なものが行う。
適材適所である。
私たちの遠征場所、新宿御苑。
この場所は都心にありながら、広大な面積があり、全体がパワースポットであるといっても過言ではない。その中でもシンボルツリーとされるゆりのきの巨木。
その巨木こそが、私たちの目的地である。
私の見立てでは、その3本の木はご神木である可能性もある。
もしくは神が降臨される場所かもしれない。
が、神殿や神社に奉られていないことから、神気よりも自然の良気が滞留しているのではないかと思う。
どちらにしても、貴き木であるのは間違いない。
その為、舞を奉納したいと考えている。
そうすることによって、巨木から良気を取り込みやすくなるのではないか、と思われる。
奉納舞は気をもらう許可を得る行為であると、言っても過言ではない。
おそらく気を得るのに、舞は必須ではない。
が、舞を奉納することにより、多くの気を取り込み易くなる可能性があると、私は推測するのである。
最大限に活用する。その言を実行するのである。
奉納舞、元来神に捧げる舞である。
貴き木に捧げるに、無礼にはならぬはず。
という訳で、私の前世の記憶から引っ張り出した、前世の神に対する奉納舞を、晶露さま共々、練習に励むことにした。
半年あるからな!練習時間は十分である!
しかし、この世界の神が、お納めくださるかは不明である。
もっと言えば、ゆりのきの巨木に意思があるのかも不明。
そして最大のネックは、それは果たして巨木の前で舞えるか否かである。
ゆりのきの巨木は、人気のスポットである。
果たして衆目のあるところで、舞を披露できるか。
舞えるほどの場が確保できるか、疑問である。
場を確保できると信じて、更に懸命に捧げれば通じる筈であること信じて、身を清め、練習に励むことにする。
晶露様もいやなお顔もせず、むしろ楽しげに舞の練習をしてくださった。
舞を舞うにも、また遠征を熟す為にも、体力が必須である。
体力がなければ、濃密な計画も熟すことができないからである。
私たちは松也さんに相談しつつ、幼児ができる限りの、体力作りも行った。
この遠出は、なんとしてでも、成功させなければならない。
なぜなら、これが失敗に終われば、以後の遠征の許可が下りなくなる可能性が、高くなるからである。
それは、私の異能の底上げをするという目的を、困難にする。
絶対成果を出さなくてはならない。
私は全力で、この遠征計画に取り組んだ。
加え、私は大いに楽しむことも練り込んだ。
学び、遊び、両方こなしてこその今回の遠出である!
長きにわたって延々と遠出するこの日を迎えた経緯を語った。
諸君、私の語りに耳を貸してありがとう!!
しかしこれで私たちがどんなにこの日を待ち望んでいたか、おわかりいただけたかと思う!
以上のことから、私たちが興奮を抑えきれないのは、当然なのである!
さあ、いかん!晶露様!ロウ!
期待の地、パワースポットなる場所へ!
行って私の力を増幅する手がかりを見つけるのだ!
やっとふり返り終了。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。




