第80話 私、問題提起終了、プレゼン相手を決める
最後、問題の3つ目。
これはいわずもがな。金である。
シンプルである。
これは本家絡みの業務ではない。
あくまで私の異能を伸ばす為の外出である。
つまりは交通費などは自費である。
大事に貯めた、私のなけなしのお小遣いを放出するしかないが、それでは少々心許ない。
が、問題点2をクリアすれば、問題点3は自ずと解決する可能性が高い。
そうである。前向きに考えるのだ。
晶露様との外出であれば、自動車での移動の可能性が高い。
交通費が浮く。うむ。ありである。晶露様との外出ありである。
しかし、今回のことで思ったが、今後研究や検証で外出することも増えるかもしれない。
なんとか自分が使える金を確保する方法を考えておかねばなるまい。
私が解決しなければならぬ課題が、1つ増えたか。
成人前の身では、課題は次々と立ち塞がってくる。
しかし、今は目の前の案件に集中だ。
他のことは後で良い。
晶露様をお連れする。困難度が上がったが、それ即ち、クリアすれば、お金の件も解決、楽しみが倍増することを意味する。
1人で行くよりも、2人、3人で行った方が楽しきだろう。
そして人数が増えたほうが、やれる事も増えるのである。
私は両親そして、本家、若君を納得させるべく提案を練った。
そして臨んだ外出許可案件、最初のプレゼン相手は若君である。
なぜ両親ではないのか。
それは本家の方々を説得できれば、両親も自ら同意をするからである。
本家の言は絶対。本家から申し出があれば、それは即ち命令。己の意思など二の次なのである。
さすれば、ターゲットは若君に絞るべきであろう。
なお今回晶露様が絡むとはいえ、主体は私、分家序列最下位灰咲家の娘である。
したがって、当主、もしくは前当主に直接プレゼンをすることはない。
そして晶露様が絡むからこそ、かろうじて若君が話をきいてくれるのである。
晶露様にとって、この外出が有用か否か。
否であれば、即刻外出申請は却下になるであろう。
私は晶露様にとって、この外出は有意義であると示してみせる!
そう意気込む中、私はお忙しい若君を晶露様のお部屋までご足労いただき、プレゼンを行ったのである。
正直な心情としては、晶露様をお連れして、楽しい思い出を1つでもお作りしたいという思いを前面に押し出したかったのであるが、これを理由として許可が下りるとは思えなかった。
情に訴えても若君はうんとは言うまい。
もしそれで安易に許可が下りたならば、本家の家族関係はもっと暖かなものであったことであろう。
若君の、いや本家の基準は、あくまで益があるか否かである。
私はその益をこの場で示さねばならない。
私は情けを捨て、利の権化と化して、プレゼンに臨むのである!
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