第77話 私、当時周りが見えず、ぽろりとする
パワースポット。
私は頭をフル回転させて、推測を立てる。
パワースポットなる場は、私のこの卑小なる気の力を底上げしてくれる可能性がある場ではないか?!
テレビからの情報によれば、人の精神を癒やし、力を与える場であるとのことである!
これはぜひとも行って見なくてはなるまい!いや、絶対に行くのである!
ここで問題になるのは、3つ。
まずは1つ目。それは言わずもがな私の年齢である。
私が行きたいパワースポットなるところは、小学校にも上がっていない私では、現在の我が家から遠い。成人たる記憶を持つ私であるので、迷いなく目的の場につけると確信している。
が、しかし。周りの大人はそうは判断するまい。私でもそう判断する。
幼児が単独で行く距離ではないのである。
2つ目としては、晶露様のことである。
1つ目の問題と重なる部分もあるのだが、3歳というご年齢、加え本家のご子息である晶露様を、私の研究目的の為に遠出に連れて行く訳にはいかない。私よりも遙かに重要人物なのである。
まだ短き間ではあるが、晶露様は遊戯目的で外出されたことがない。近き遠きにかかわらずである。
幼少である晶露を守る為であろう。
私が居なかった頃。
学園から帰られた後は、1人お部屋でお過ごしになっていたようである。
時折、兄君である若君がお尋ねになられるようであるが、若君も本家跡取り、何かとご多忙である。
そう毎日は弟君と戯れてはくれない。
広い部屋にぽつんと幼児が1人。いたたまれない。想像するに涙を誘う構図である。
そんな晶露様をおいて私はウキウキとパワースポットなる場へと外出してよいものだろうか。
いやだめであろう。
しかし、本家のご子息、連れて行ける確率は限りなく低い。
なれば、連れていけるとわかるまでは、私のパワースポットに行きたい気持ちは隠すべきであったのである。
そうであったのに!
私はテレビから天啓を受けた時に、対応をしくじってしまったのである!
私がパワースポットなるところに大いに興味を持ったのを、晶露様は素早く察知されってしまったのである!
冒頭で少し触れたが、私がパワースポットなるものを初めて知ったきっかけの場は晶露様のお部屋であり、ロウが見ているテレビ番組であったのが致命的であった。
「パワースポット!それは俺にも効くものか?!どのくらい力をあげてくれるのか!?知りたいものだな!」
テレビの内容、そしてそのロウの言葉が私をあおりまくったのもいけなかった。
ロウの言葉に感化され、私の思考が加速していった!
パワースポット!聖なる地!それだ!私が求めていたものは!
パワースポット、前世において魔力だまりのようなところがあったように、特別な力が湧き出ている場所が、この日本にも多々あるのではないか?!
番組によると、その場所に行けば、元気になったり、運気があがったりするとのこと。
どちらにしても気が関係している。
ならば、そこに行けば、私の力も補充できるのではないか?!
自身の力の底上げができるのではないか?!
力なき者でも不思議なパワーを感じられると言うのならば、いかな力の弱い私であっても、その場からなんらかの力を汲み上げることができるのではないか?
手をこまねいている場合ではない。
私はその時類を見ないほどに気分が高揚した!
この仮説を確認する為に私は行動しなくてはならない!。
早急に!
更に私の思考は加速していく。
しかし、私はまだ5歳なる身である。金もなければ、足もない。
頼るは両親であるが、分家の末端である我が家は貧乏ではないが、一カ所ならまだしも、何カ所も回れる財力も時間もない。
いや、欲張ってはいけない。
まずは一カ所、一カ所行ってみて、その成果を研究する。
しかし今行ったように私はまだ5歳だ。とても一人では行かせてもらえぬだろう。
このあたりで私は考えに没頭して、周りの存在を完全に忘れ去っていた。
「両親に願い出て、連れていってもらう。それしかないか」
私はぽつりと呟いた。
この呟きだけでもギリギリアウトである。
なおも私の呟きは留まらなかった。
「普段わがままを言わない私だ、たっての願いといえば、両親も否やとは言わぬだろう。しかし複数箇所行くのは難しいかもしれぬ。有力な場所を厳選せねば。はずれをひいては目も当てられぬ。よくよく調べねば。学校でネットを使わせてもらうか」
その呟きに答えたのは、横にいたお方である。
「ねえさま、パワースポットにいきたいの?」
「ああ、行きたいではなくて行く」
私は無意識に確固たる意思を持って答えた。
これは致命的であった。もう言葉ではっきり告げてしまったのであるからな!




