第73話 私、遠出にテンションがあがる
「晶露様!用意はできておいでか!」
「はい!ねえさま!とどこおりなく!」
「ロウ!体調は万端であろうな!」
「おう!この日を万感の思いで待っていた!」
ふ。ロウ。この数ヶ月で、存分に日本語を学び倒したな。
ネイティブなみの語彙の操り具合である。
「万事順調である!天候も我らに賛同するように晴天である!」
私は空を見上げて、更に士気を高める。
「お前たち、落ち着け。今からそのテンションだと、現地についた時に支障を来すぞ」
「皆様、心をお静めください。それほどに心を飛ばされていては、足元がおろそかになります。怪我をしては楽しみが半減してしまいますよ?」
若君と三弥さんが私たちを諫めるように、お声をかけられる。
だが。私たち3人はその言葉程度では、この心の高ぶりは抑えられぬのである!
「お見苦しいところをお見せして、申し訳ございません!しかし、我らはこの日を本当に待ち望んでいたのでございます!多少のお目こぼしをしていただければ、至上の喜びでございます!」
「言葉使いまでいつにも増して大仰になっているぞ。よほど興奮しているとみえるな」
そうですとも!もう一度言おう!
この気持ち抑えられるものではないのである!
なにせ、今日この日の外出、その準備に半年以上をかけた。
幼児の外出にどうしてそのような長い準備期間が必要であったのか?
よくぞ聞いてくれた!
諸君!私とて、もっと早くに外出をと願い出たのである!
しかし、諸君も知っている通り、私はまだ幼児である。
その為、今回の目的においての外出は、小学部に上がってからとの制限がかけられたのである!
そう私は今6歳、そしてさらに五識学園の小学部に上がったのである!
誠にめでたきかな!
私は4月になってすぐに若君に、さあ外出の許可をと願いでたのである!
約束通り、外出を企画してから半年以上、首を長くして待ったのであるからな。
なのにである!若君は無情にも小学部での生活が落ち着いてからと更に1月待てとおっしゃったのである!小学部への転属、それは外部では小学校入学と同義である。確かに幼年部とは異なるであろう。若君の言葉は、正しき言葉であれど、私には冷酷無慈悲な言葉に響いたである。
しかし正論であった為、若君の言を変えることはできなかった。
私は涙を流しつつ、5月まで待ったのである。
そういった経緯を経ての本日の外出である!
諸君にも私の気持ちがわかろう!
テンションマックスになるのは仕方がないのである!
第3章の始まりです。
第2章から引き続きにするか、第3章として区切るか迷いました。
結局はわかりやすいかなと思い、分けました。
引き続き、どうぞよろしくお願いします!




