第67話 私、新しい家について、考えを深める
家に関しては両親は当てにならない。
その為、私から一言若君に具申した。
一介の平社員である、我が父にこのような家を供与して、周りから不満の声は出ないのかと。
分相応の家でよいのではないかと。
すると、若君はおっしゃられた。
仮にも本家の跡取りである、俺の筆頭許嫁候補が狭い家に住んでいるのは体裁が悪い。
それに晶露も訪問することもあろう。
最低限の今の家位には住んでもらわねば、こちらが恥をかくのだと。
私はそれを聞いて引き下がった。
なるほど。
上流社会において、体裁を整えるのは、とても重要である。
我が本家の生業、異能を使った妖退治。
その生業を同じくする他家もあるのであろう。我らが本家、この生業においてどの程度の地位にあるのかは不明である。
だが、上位、あるいは中位と見なされているならば、跡取りである若君の近況に変化があったならば、調査が入るだろうのも頷ける。たとえ、我が一族が下位の地位であっても一応の調査は入ろう。
その際、他の許嫁候補の生家に比べて、筆頭許嫁候補である我が家が、あまりにも差異があったならば、問題にもなろう。
合点がいった。
ならば気兼ねなく、住まわせてもらおう。
しかし、若君にとって、新しい我が家は最低限のランクらしい。
物の価値観の相違がありそうだ。心にとめておこうと思う。
ちなみに両親が心配していた家の掃除であるが、週に一度、本家から派遣された使用人が担当することになっていた。
我が家に本家関係者が尋ねてくることは滅多になかろうが、晶露様が訪問される可能性が大いにある為、家を清潔に保つことが必須とされたからである。
両親はそのことに最初戸惑いをみせたが、掃除をしてくれる喜びの方が大きかったようである。
私については他者が家で家事をすることに違和感はない。
前世貴族として生きてきた私にとっては、慣れたものであったからである。
以上のことからおわかりのように、家屋については以前と比べ、かなりな変化があったと言えよう。
私の中では家の大きさよりも、5歳で親と別れて眠ることになったことの方が変化としては大きく感じる。
前世の記憶がなければ、寂しさに涙を流すところであるが、少々の心細さはあるものの、私はすんなり受け入れ、床につくことが出来た。
できなかったのは、むしろ両親の方であった。
しばしば両親の寝室にさらわれ、依然と同じように川の字で寝ることが多々あることだけは、ここに記しておく。
決して私からは突撃しない。
蛇足ながら、その理由を2つ記しておく。
1つは私の中にある力の考察をするのに、就寝前1人になる時間ができるのはありがたいからである。平日の昼間は幼年部と晶露様のお相手をするというお役目があるので、ゆっくり考察ができないからだ。
2つめは両親を二人きりにして、ぜひとも弟をお願いしたいと願ってのことである。妹でももちろんOKである。その為なら、多少の心細さは受け入れる所存である。兄弟はたくさん欲しい!
ぜひとも両親には頑張ってほしいのである!




