第65話 私、本家にてしばしお泊まりする
短めです。
私たち灰咲家の今後の身の振り方が決定した後は、速やかに実行された。
両親は支社での引き継ぎや挨拶を済ませ、本社へ移動。
借家を引き払い、私の転園もなされた。
私はといえば、抗うことなく、ただ慌ただしい流れに身を任せるのみである。
私は無力な5歳児であり、手伝えることは皆無に等しい。
できることといえば、両親をねぎらうだけである。
そうは言ったが、両親とはここ2、3日は会えていなかった。
すべての諸手続が済むまでの間、本家の母屋の客間にて私はお泊まりさせられている。
転園はすぐに済み、速やかに晶露様と通えるかと思われたが、時間がかかっている。
特殊な学園であるからなのか?
そういえば、学園の名前をまだきいていなかったな。
迂闊であった。
まあ、聞かずとも、いずれ通う学園である。
おのずとわかろう。
転園の手続きがすめば、父が送迎を受け持ってくれる筈であるが、まだ至っていない。
その為、父にも母にも会えないのである。
大変に心細いのである。
朝は学園の幼年部に向かう晶露様、小学部に向かう若君のお見送りした後、私は本家にて寂しさを紛らわせる為に、本家の書架から本を借り、客間にて静かに時を過ごしいる。
文句が出る前に、正直に言おう!
諸君には嘘はつくまい!
誰に邪魔されることなく、思うがままに本家の書架から好きな本を借りて読む日々は、まさに至福であった!
父よ、母よ、薄情な娘ですまない!
しかし、寂しいとちらりと思っているのは本当である!
ここで一言付け加えておくが、晶露様が学園からお戻りになられてからは晶露様のお部屋で過ごし、夕食を食べ、客間へと引き上げる。
ちゃんと晶露様に寂しい思いをさせないように気を配っていると記しておく。
重ねて付け加えるならば、客間へと引き上げた後、自由時間かと言われれば、それは否である。
しばらくすると、枕を両手で抱え、頭にロウを乗せた晶露様が客間の扉をたたく。
後ろにはロウの寝床を持った野衣さんが控えている。そして私は晶露様とともに、就寝するといったルーティンがしばし続いた。
そうして10日経った頃には、新しい環境が整い、私は新生活がスタートすることに相成ったのである。
大海、どんな時でも楽しむ気満々デス。
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