第48話 私、言ってみたいセリフは言えず
短めです。
開けて翌日。
「なじみのある天井だ」
私は布団の中で目を開けると、そう呟いた。
よほど疲れていたのか、枕元にあった時計を見ると、昼過ぎである。
よく寝たのである、私。
すっきりである。
本日、幼稚園があった筈であったが、私の心身の状態を鑑みて、休ませてくれたのだろう。
母は私を起こさなかったようである。
ありがとう、父、母。
ちなみに私はまだ5歳の為、両親に挟まれて就寝である。
私が昨日若君に帰宅を願い出た理由は幼稚園に行くことであったが、休んだのはやむを得ないであろう。人間健康が第一である。
さて、いつまでも布団でうだうだしている場合ではない。
人間の3大欲求である睡眠欲が満たされた私、次に盛大に満たしたいのは食欲であった。
おなかが盛大に悲鳴を上げている。
うむ、正常は反応である。
私はむくりと起き上がると、その欲求を満たす為に、台所へと足を向けた。
ぐぬ。誰もいない。
父は仕事であろう。
母は育児の為に仕事はしていない。そして私を置いて買い物にも出かけたりはすまい。
だとしたら、母は居間か。
私は狭い我が家の憩いの場へと足を進めた。
「母~」
滅多にしない語尾伸ばしをしつつ、中へと足を踏み入れる。
「大海ちゃん」
目的の人物、母はいた。
しかし母だけではなかった。
なにやら、黒服を着たおじさんが一人。
私から見たら、だいたいおじさんになる。
もっと言うなら、偉そうなおじさんだ。
誰?私はその答えを求めるように、母に目を向ける。
と、その母は天の助け!!ともいうような目をこちらにむけてきた。
「ああ、よかった!ちょうどいいところに、起きてきたわね!さあ!支度をして!出かけるわよ!」
出かける!?どういうことか?!
待ってほしい!
私は猛烈にお腹がすいているのだ!
私の朝食は?いや、朝食兼昼食を先にしてほしい!
付け加えるならば、私はまだ寝間着である!




