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第44話 私、過去2日を振り返る

 事の起こりは、若君の許嫁候補として本家に招待されたことである。

 断ることはできない招待。

 私と父は儀式に参加すべく当日、予定通り、朝早く車で自宅を出発。

 最初は順調な滑り出しだった。

 初めて見る景色を、車の窓から堪能。

 何の憂いもないドライブは楽しかった。

 そして無事に本家の会場へと到着。

 そうして迎えたのは好配の儀の前の儀式、初見えの前儀である。

 ここまでは予定通りである。トラブルもない。

 トラブルはあっただろう?図書室探しで1人屋敷を探検して、メイドさんに連れ戻されただろう?

 うむ。諸君の指摘はもっともである。しかし、些細なことである。

 ここに記するまでもないと私は判断する。諸君もこれ以上突っ込みはいれないように願いたい。

 こほん。先に進める。

 初見えの前儀、会場入り、始まりの挨拶と、最初は順調であった。

 おいしい食事を楽しみながら、予め決まっていたシナリオ通りに儀式は進行していた。

 ところがそこでハプニングが起こった。

 若君の弟君である晶露様の予定にない登場である。

 それだけなら、特に問題はなかった。しかし、晶露様には、憑きものがついていたのである。

 のちに判明するが、妖精がついていたのである。

 もっと正確を期すなら、その時点ではまだ妖精になりきれていなかったものである。

 その妖精もどきが初見えの前儀の会場で、暴れ回ったので、会場は騒然とした。

 このままでは儀式は失敗し、弟君の悪評がますます広まってしまう。

 3歳の子どもが悪し様に言われるのを私は我慢できなかった。

 そこで分不相応にもしゃしゃり出て、前世の知識を使って、弟君をお助けしたのである。

 これはしょうがない。やむを得なかったのである。

 反論は認めない。

 ここで悔やまれるのは情報の不足であった。

 もし予め父が本家の生業が異能を使った妖退治であると、ちらとも私に告げてくれていたなら、おそらくもう少し慎重にことを進めていただろう。

 私以外にも事を収めることができた者がいるか、少しは考慮したかもしれない。

 私の忍耐力がどこまで持つかは微妙であったがな。

 私が父からもう少し聞き出していれば!

 父が本家や実家について、もう少し詳しく話してくれていれば!

 後の祭りである。

 一概に父を責めるのことはできない。

 私は俯瞰して状況を見るのである。

 父は私が前世の記憶を持った5歳児であるとは知らない。

 ならば、父が詳しく本家の家業について話さなかったのも理解できる。

 難しい話など普通の5歳児ではわからないからだ。

 また所詮は分家序列最下位の家。そこまで話さなくても、何事もなく終わるだろうと父が考えたのも頷ける。

 うーむ。

 となると、悪いのは私か?!

 おう。ダメージが入った。

 しかし、しかしである!

 弁明させてもらえるならばである!

 前世では妖精が視える目もそれほど珍しいものではなかったし、魔法がある前世の世界では、私が初見えの前儀の会場でやったことは、それほどの行為ではないのである!

 前世の友も、大方は同意してくれるであろう!

 いや?しないけど?との声が頭に響いた気がしたのは気のせいである!

 ごほん、ごほん。

 現在の状況は、私の前世の記憶での判断基準と現世の基準との齟齬。そして本家の本業がたまたま私の能力を最大限に評価する生業であったという、不幸な組み合わせによってなったことだと理解して欲しい。

 従って父よ。どちらが責められるべきかは、なしにするか、もしくは相子であるとして欲しい。

 両者痛み分けとしてほしい。

 母にもそう伝えて欲しいのである!

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