第4話 私、幼稚園に通う
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さて私は現在5才を迎えているが、その少し前、私は幼稚園なるものに、入園することとと相成った。
私は赤子時代を無事に終え、幼児期に入り少し経ったところで、父だけでなく、母も働きに出ることになったからである。
入園当時、赤子に毛が生えたくらいの年の私を置いて、女人の身で働きにでなければならぬ母を思い、思ったよりもうちは貧乏らしいと悲観したものである。
今にして思えば、それはこの日本国においては普通のことであるとわかって、安堵したのは言うまでもない。
そして遅まきながら、私が住む国が、日本国であることが判明した。
もっと早くからわからなかったのか?とのご指摘もあろう。
幼児向けの番組や絵本には、歴史などの情報は皆無に近い。
私はもっと情報を得る努力をしなければならないと痛感しているので、これ以上のご指摘はご容赦願いたい。
ともかくも、私は父母が働きに出る間、幼稚園なるところに預けられることになった。
幼稚園とは建前はどうであれ、働きにでる親に代わり、子供の面倒をみてくれる育児施設である。
私はなるべく世話をかけぬよう決意して、幼稚園なるところへと向かったのであるが、そこは情報の宝庫であった。
そこには、私よりも小さき者もいれば、年上の者もいた。
何より、そこには家にはない本もあり、色々な玩具もあった。
家いるよりも、遙かに私の視野は広がった。
わからないことがあれば、私の世話をしてくれる師に尋ねることも可能であった。
私は喜々として、幼稚園なるものに通っていた。
教育方法に多少の不満はあるものの、他者との交流は、色々な情報を私に与えてくれ、私は今世生まれた日本に馴染むことができた。
なんと素晴らしい施設であろうか。
前世において、このような幼少から通える教育機関など存在しなかった。
これだけ切り取ってみても、この日本国は高度に文明が発達し、成熟している国であろう事がわかる。
一番よきことは、戦争がないことである。
前世において、私は戦場で死んだので、平和がいかに大事であるか、身にしみてわかっている。願わくば、この平和が永遠に続いてほしいと思うし、そう努力していかねばなるまい。
幼稚園なるものに通って、しばらくして確認できたことがある。
やはりこの世界には魔素や魔法がないのがわかったのである。
外気には魔素がなく、幼稚園にいる大人たちも魔法を使うこともなかったからである。
そもそも生活において、魔法が必要ないくらい、文明が発達している。
仮説として、文明が発達するにつれて、魔法が廃れてしまったのかもしれない。
しかしそれでは魔素がないことについての説明がつかない。
引き続き、考察が必要である。
そしてもう一つ、考察が必要なものがある。
それは私のなかにある魔力もどきが、ほかの者にあるか否かである。
この幼稚園には、被験者になりえるものがたくさんいる。
本人の許可なくではあるが、観察だけにとどめておくことを約束するので、許して欲しい。
私は周りの園児を、注意深く観察している。
が、今のところ、魔力もどきを持っている者、使っている者を見つけられていない。
収穫ゼロである。
これは私の目が、まだ未発達のためか。
それとも、こういった力を持った者がいないのか。
もし後者だった場合、うかつに人に尋ねることはできまい。
慎重にいかねばならぬだろう。
「せんせー!また大海ちゃんが、お外でぼうっと立ってるよー!」
「あらあら。ねいちゃん、こちらに大海ちゃん連れてきてくれる?」
「わかった~!」
「大海ちゃん!ほら!はやくおやつ食べに行こう?なくなっちゃうよ?」
私はぼうっとなどしておらぬ、考察していたのである。
まあ、長い間、諸君に私の生い立ちを披露していたからな。
はたからは、そう見えていたのかもしれぬ。
それに。いつも世話をかけるねいちゃんには、逆らえぬ。
私は素直に従うのである。
「あい、わかった」
そのほうが人間関係はスムーズに行くのを、私は知っているのである。
そして思うのである。
こんな暮らしも悪くないと。
そんな私の生活に転機が訪れたのは、それからまもなくのことであった。
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