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第3話 私、赤子から幼児時代の思考

主人公の過去の変遷続きます。さらっとお読みいただければと思います。

 さて、次は赤子から幼児時代の思考である。

 この世界、前世の記憶と照らし合わせてみても、かなり文明が進んでいるということはお話しした。

 私の好奇心は、むくむくと育ちに育ったのは言うまでもない。

 見たい、聞きたい、知りたい!

 しかし悲しいかな、私は赤子。

 1人で移動することもできず、身体の動きさえ、制限されるほどである。

 くっ!早く1人で動けるようになりたい!

 焦ってもどうにもならぬ。

 できることから始めるのである。

 そして始めたのは、私の育成記録、赤子時代の思考、第1章と同じこと、身近にいる人間、両親の観察である。

 赤子の私には、両親からの情報が頼りである。

 最初はぼんやりとしていた視界も徐々に見えるようになり、両親の顔もわかるようになってきた。

 私の両親と思われる人物。

 2人とも黒髪黒目で、前世の世界の顔よりも、幾分薄めで平面的な顔つきである。決して不細工という訳ではない。

 父は割と顔が整っている。母は可愛い系か。

 どちらにしても両親から推測するにおそらく私も黒目黒髪だろう。

 問題は顔の作りだ。私の将来は父似か母似かで、運命が分かれるだろう。

 前世の私は貴族だったからか、顔は結構整っていたのである。

 が、なぜかその享受にはあやかれなかった。

 友には、顔のメリットを上回る変わり者具合が原因だと、指摘されていた。

 残念である。

 それでも見てくれは、他人の評価において、重要な位置を占めているので、願わくば、前世並みに見目良くなりたいものである。

 次に、言語だ。

 両親が話している言語はやはり、前世の言語と違う。

 例を挙げれば、名詞、動詞の配置などがまったく違う。

 一から覚え直しである。

 しょんぼりである。

 しかし、言語は何を学ぶにしても基本中の基本、気合いを入れて覚える必要がある。

 私はひたすらリスニングを繰り返した。

 前世の知識があるだけに、自然と覚えるという訳ではない。外国語を覚えるように現在の母国語を習得していった。

 前世の私は、頭の回転はよいほうであった。

 母国語以外の言語も、結構マスターしていた。

 すぐに言葉による情報が得られないのは残念であったが、新しい言語を覚えるのは、楽しかった。

 父母が私に話しかけてくれる言葉は、易い言葉であったので、習得の一助になったのは言うまでもない。

 ただ、大人の私が聞くには、幼稚さが前面に出ているので、気恥ずかしさを我慢するのが一苦労であったことは、ここに伝え置いておく。

 言語の習得は1年ほどで終了。後は、新しい単語などを増やし、本読み、他者と会話をすることで、言語は上達する。

 言語を習得したことで、格段に情報の収集が楽になった。

 そして重要なことがわかった。

 私にとっては、これは最重要項目の1つに挙げられるだろう。

 私の両親は、愛すべき脳筋だということである。

 友とすれば、気持ちのいい人間だろうとわかる。

 けれど、出世はできないタイプだ。

 そして両親の会話から、私の身分は、平民ということもわかった。

 この世界では庶民というのだろうか?

 私に落胆はない。平民でも工夫すれば飢えることなく暮らせる筈だと経験則から推測できるからだ。

 飢えることなく、できれば楽しく暮らす。

 そして願わくば、何か小さいことでも成し遂げて死にたい。

 これが、今世の私の目標である。

 無理はしない。

 うむ。これがいけないのかもしれない。

 私に足りないのは、なんとしても成し遂げたいという気持ちだ。

 気をつけよう。

 しかし、成し遂げたいものを、まずは見つけるのが先であろう。

 時間を無駄にしてはいけない。

 けれども寄り道も大事である。

 これについては、反論は認めない。

 諸君、人生には回り道も大事な時があるのだ。

 ここまで思考を巡らせて感じたことは、愛すべき脳筋夫婦から誕生した、私。

 地頭は悪くなさそうだということである。

 大変喜ばしいことである。

 私はその頭をフル回転させ、無事1才になり、私に何かできることがないか、ひたすら思考する。時に頭だけでなく、身体にも注意をむけて。

 と、ある時、気がついた。

 私の身体に魔力はなく、魔力貯蔵庫もない。

 外気にも魔素を感じることはなかった。

 おそらく、この世界には魔素や魔力がないのだろう。

 非常に不便であり、残念と落胆したものだったが、よくよく自身の身体を探ると、なんと体内にはそれに代わるもの、魔力よりも澄んだ力、精霊や妖精のそれに似た何かが、存在していたのである!

 なんということか!

 私はその発見に、全身を歓喜に震わせた。

 それに付随して粗相をしてしまったのは、ご愛敬である。

 まだおむつをしていたので、許されるだろう。

 さて、私の中に発見したこの力、この世界ではなんと呼ぶのであろうか。

 幼児の私には知るすべがない。それでも、仮にでも名をつけて置かねば不便である。

 そこで私の中では、魔力もどきとしておく。

 名前になんのひねりもセンスもない?

 これについて、反論をしておこう!

 名は実を表す。わかりやすさが一番。センスはあるなしは、関係ないのである!

 以後この力の名称がわかったときに、改名することにする。

 この魔力もどきであるが、昔取った杵柄で、魔力もどきを体内に循環できるのかと試みたところ、無事成功!

 そして循環できるということは、魔力もどき回路も存在しているのだとわかったのである!

 魔力もどきが役に立つのかは不明だが、幼児の私にとって訓練できることは少ない。

 身体に負荷なく訓練できるならば、このうえない、喜びある。

 私の身体は精神に答えるように、再び歓喜に震え、結果、母におむつを替えさせるという手間をかけさせたことを、ここにわびておく。

 話を戻そう。

 私は暇な時を見つけては、魔力もどきを体内で循環させていた。

 それで気づいたことがある。

 前世で魔力を操る時に感じた不快感というか、身体への負荷が全くないことに気づいた。

 逆に、魔力もどきを循環させると、身体の調子がよいのである。

 これから推測するに、精霊や妖精が使う力に似ている可能性がある。

 世界樹、世界の根本から授けられる清らかで偉大な力である。

 ふと思う。

 この世界にも精霊や妖精はいるのだろうか?

 あちらの世界でも滅多に精霊や妖精は見かけなかった。

 こちらにいるにしても、そうはお目にかかることはあるまい。

 だが、捜索してみるのも1つ。楽しみである。

 私は暇さえあれば、それを動かす訓練をしていた。

 動かすと気持ちが、すっとするからでもある。

 幼児にとって寝る、食べる以外の時間は、自由時間なので、結構な時間を魔力もどき循環訓練についやしていたことになる。

 最初は動かしにくかった魔力もどきであるが、そう意識しなくても動かせるようになっていた。

 私はこの魔力もどきを認識してから、これがなんなのかずっと考察し続けている。

 前世では魔力の量は、生まれた瞬間に決定づけられており、生涯増えることはなかった。

 この魔力もどきも同じなのか。はたまたやりようによっては増やすことが可能なのか?

 そしてもっとも重要なこと、この力を鍛えれば、前世の時のように、何かしら生きる上で役に立つのだろうか?

 今世において前世で存在した魔物を見たことがない。

 私が幼児であるから、というのもあるであろうが。

 前世において魔物は、物理的攻撃のほか、魔法が使えれば倒すのがより優位であった。

 魔法がないということは、魔物はいないのか?

 またこの魔力もどきは、両親にもあるのだろうか?

 見た目にはわからない。

 私の目はまだ発展途中からか、はたまたこの魔力もどきは、視認できないものであるのか?

 両親に聞いてみたいが、まだ言葉が、うまく操れない。

 無念である。

 また両親に問うに際して、1つ懸念がある。

 この魔力もどきのことを聞いて、奇妙に思われないか、だ。

 この魔力もどきが、一般的な人間が持ち合わせているものであるならばよいが、持っていなかった場合、薄気味悪い子供であると、判断されるのではないか、との恐れである。

 両親は私をたいそう可愛がってくれているが、それが私の発言によって多少でも変化するのは避けたい。

 両親の愛情を疑う訳ではないが、もしこの力が異端であった場合、排除されてしまうかもしれない。

 私はぶるりと震えた。

 これだけ可愛がられているから、その可能性は限りなく低いだろうが、両親がどう思えども、社会が私の存在を否定するものだった場合、対応の変化があるのは否めない。

 ことは慎重に進めねばならない。

 以上のことから、私はこの魔力もどきを循環させる以外の使い方を知らず、模索することもままならない。

 非常に残念なことである。

 しかし、活用方法があるかもしれないので、訓練は怠らないようにしたい。

 ちなみに、魔力のように魔法に転換できるかと思い、試してみたが、できなかった。

 やはり違うものだからか?やり方が違うのか?

 もう少し大人になったら、慎重に調べてみようと思う。

 そして仮にこの力が私を豊かにするものでなくても、健康に過ごせるならよしとしようと思う。

 この力が役に立たない場合を考えて、私は少しでも知識を蓄えようと思う今日この頃である。

 ああ、早く自由に動けるようになりたいものである。

 私はその日を一日千秋の思いでまちながらも、体内にある魔力もどきを色々いじり回した。

 目指せ!平民でも面白おかしく暮らせるように!

 なお、脳筋両親には、期待していない。

 以上が私の赤子から5才になるまでの経歴である。

 私の苦悩と苦労を少しでもわかっていただけたら、うれしい限りである。

 諸君が希望をするなら、もう少し詳しく披露もするのもやぶさかではないが、大方は話し終えてるので、そこから諸君なりに、想像の翼を広げてもらえるとうれしい限りである。

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