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第145話 私、若君に同行の許可をもぎ取る

「お前は、本当に、やらかしてくれるな」

 若君はメイドさんが用意した、簡易な椅子に腰を下ろすなり、そう(のたま)った。

 心配の声なし!

 そして、違うのである!勘違いしないで欲しい!

 これは不可抗力である!断固抗議したい!

「それに今回は、晶露を危険にさらした」

「ぐっ!それについては、誠に申し訳なく」

 結果をみれば、そうかもしれない。

 しかし、私は言いたい。

「事前にしっかりと調査をして、ここに参りました!しかし、まさか一族の因縁に関わりがある地だとは知らず、それで私たちが、拐かされるとは思わなかったのです!想定外でございました!私たちがここを外出先にと報告した時に、この地がそのような場所であると、お教えいただければ、ちゃんと準備を致しましたのに!」

 そう準備をして臨んだ!

 この地を外出先から外すことは、しなかっただろうがな!

 だって、先に知っていたら、余計に興味を持ったであろう事は、想像に難くない。

 その前に、若君に止められていたに違いないがな。

 しかし、止めらなかったとすれば、若君も

「どういうことだ?」

 やはりか。知らなかったのであるな。

 まあ、金の魚は、間接的関わりであるからな。

 それでもだ。私も、やられてばかりはいられない。

「え?まさか若君も、把握されていなかったと?」

 くくく。少しばかりの意趣返しである。これで溜飲を、少しでも下げるのである。

「していれば、許可するか」

 若君が、憮然としている。

「で、ありますね」

 くくくく。内心にやりとしながらも、神妙な顔で頷く。

 ということはである。

 かの地の約定は、若君が生まれる前。

 もしかすると、現当主よりも、更に前になされた可能性もあるか?

 私たちの外出計画を、若君が現当主へ、どの程度詳細に報告なさっているかによるか?

「おい。考え込むな。状況を先に知らせろ」

「はっ!さようでございますな!申し訳ありません!」

 そうだった。私たちは、急いで戻らなければならなかった。

 私は、事の顛末を、若君に話していく。

 若君は黙って聞いてくれた。

「亡霊の浄化か。それらは、攻撃性があったか」

 人間も亡霊になってしまえば、若君にとっては彼らではなくそれらになるのか。

 少し悲しい。

「いえ。まだ肉体に縛り付けられている状態ですし、動きも鈍かったです」

「よし、ならば、俺と三弥だけでもいけるな」

 若君は、後ろに控えていた三弥さんに、顔を向けた。

 いつの間に、テント内に入って来たのであるか!

 そして、三弥さんの横には、松也さんまで!

 気づかなかったのである!

 その三弥さんは、肯定するように頷く。

「ならば、早急に片付けてしまおう。そして、その人魚に更に詳しく話を聞く。誰と約定を結び、それを施行していない原因を、突き止めねばなるまい」

「場所の特定も必要ですね。どの分家の管轄かわかれば、詳細がわかるかと」

 三弥さんが、そう口添えをする。

「そうだな。では行こう」

「はい!」

 私は、若君の号令に、元気よく立ち上がった。

 サンドイッチとホットミルクで、栄養補給は出来たからね!

「う?いやあ」

 私の腕の中で、うとうとしていた晶露様が少しぐずる。

 そんな私たちを見て、若君は眉間に皺をよせる。

「お前たちは、連れていかんぞ」

「そんな殺生な!」

 何を言い出すやら!私は断固抗議するぞ!

「当たり前だ。戦えない者を、連れて行けるか」

「うっ!」

 それを言われると、辛い。

 けれど、是非行きたい!絶対行きたい!若君の戦う姿を、見てみたいのである!

 私は、頭を巡らせる。

 考えろ!連れて行ってもらう口実を!頭を回せ!

 そうだ!私には、大義名分があるのである!

「私は人魚様と約束を致しました!必ず力ある者と連れて戻ると!神の眷属との約束を違えることはできませぬ。どうか同行をお許しいただきたく!願い申し上げます!」

 若君が、苦虫を噛んだような顔をする。

 おお。若君も、わかっていらっしゃる!

 そうなのだよ!神や神の眷属との約定は、破ってはいけないのである。

 どんな災厄が降りかかるか、わからないのであるからな!

「お前は、そういう時には言葉が変わるな。自覚があるのか?」

 若君よ!そこは問題ではないのである!私を連れていってくれるか、否か!が問題なのである。

「わかった。約束は、守らねばならぬ。守れば、その後の対応も、易くなろうからな」

 若君も、言葉が古風になってるけど、自覚はあるのか?

 いや、今はそこは重要ではないのであるな!

 とにかくも、連れて行ってもらえるのだ!

 よしである!

若君、頼りになるお人。

いつもお読みいただきありがとうございます!

少しでもおもしろいっと思っていただけましたら、ブクマ、評価をどうかよろしくお願い致します。

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