第133話 私、魔法陣について議論する
「さて晶露様、今日はこの魔方陣を見て、あるいは発見して思ったこと、疑問に思ったことを思いつくままにおっしゃってください!」
我が家の居間の、中央にあるテーブルの上には、A2のケント紙。
そこには私が描いた魔法陣がある。我が家にいるメンバーはテーブルを囲んでいる。
「どうか母も、皆様も忌憚なく意見をお願いします!」
私は母や松也さんら、本家子分ズを見やり、言い募った。
母は不承不承に、本家子分ズも頷く。
晶露様は元気に返事をしながら、早速手挙げてくれた。
「はい!」
「はい。晶露様、お願いします」
「えっと、ぼくがぎもんにおもったのは、なぜねえさまがおみずにさわったら、まほうじんがみえるようになったのか?です」
「いい気づきですね」
私はノートに、それを書き記す。
そう、そもそもこの魔方陣、最初から見えていた訳ではないのだ。
私が水に触ったら、ふっと光ったのである。
いったい何に反応したのか?
私以外、その場にいた全員に水に触れてもらったが、魔方陣は浮かび上がらなかったのである。
「はい」
自ら手を挙げる。
闇雲に意見を言い合えば、混乱する。
意見を述べる時には、手を挙げる。
これ大事。
「では私も一つ。誰がこの魔方陣を描いたのか」
そう、魔方陣を描ける者。それは本家、分家には居ないはず。松也さん情報である。
となると、魔力を使える者、魔術を学んだものが一族以外にいる。
現在存命なのか。あるいはもう故人なのか?日本人なのか?異国の者か?もし故人であるならば、昔は日本でも魔法、あるいは魔術が使われていたのか?
本家子分ズの1人が手をあげる。
「いつ頃描かれたのでしょうか?」
「はい。時期も重要ですね」
先程の私の疑問と重なる。
そう、時期の特定も大事である。
時期が特定されれば、時代背景から、色々とわかることがあるであろう。
母があわあわと慌てる。
母よ。そろそろ意見を言わないと、次々に先に言われてしまうぞ。
意見は早い者勝ちである。
後になるほど、質問は熟達されたものが要求されるのである。
その場にいなかったから、意見は出ないという言い訳は、通用しない。
昨日しっかり何があったのか、説明をしたからである。
更に言うなら、あの場に居なかったからこそ、冷静な意見が、言える可能性があるのである。
冷静な意見。今の母から遠い言葉かも知れない。
それでも、母は挙手した。
「はい。母」
「はい。なんの目的で、描かれたのでしょうか?」
母よ。娘相手に、敬語を使わなくてよろしい。
なんの目的でか。
「根本的でよい質問ですね」
「えへへ」
母、安堵のため息が大きい。そしてもう役目を果たした!感を、出すのは早かろうよ。
意見は、1つでいいとは言っていない。
しかし本当によい疑問である。
「なんの目的で、直接的には水の浄化、綺麗な水を確保する為でしょう。しかしもっと深く考えを進めましょう。なぜ魔法陣を描かねばならなかったのか?」
「はい」
本家子分ズ、その2手を挙げる。
「あの井戸以外で、水を汚染するなにかがあったのか?それともこの地域で、水が不足した事態が起きたのか?あるいはあの井戸の水は、普通の水とは違う成分が含まれているのか?あるいはいたのか?という疑問が浮かびます」
うん。目的についてはろくに調査していない今でも、いくらでも仮説が立てられる。
母よ。ああ、そんな!3つも言う?!みたいな顔はやめて欲しい。
本家子分ズその1が挙手をする。
「ただいま水の成分は、調査中です」
「ありがとうございます」
なかなかどうして仕事が早い。
本家の子分は伊達ではない。
「はい!」
「はい。晶露様」
「ぼくたちがみつけるまで、だれもきがつかなかったのでしょうか?」
そう。少なくとも、パワースポットとして、地元には馴染みの井戸である。
魔法陣を視た人が、他にいなかったのか?
これも調べなくてはならないだろう。
魔法陣は井戸の由来に関連している可能性もある。
ただ、湧き水など由来は、からつけたものもあろうから、なんとも言えないが。
それにしても。魔力がないのに、どのように継続して動いているのか。もしかしてあの水は魔力を帯びているのか。
それは身体に影響がないのか。
「そもそも根本的にだ。これは魔法陣ではないのか?」
私は頭を整理しつつ、呟く。
「いや、魔法陣だと思うぞ。改良してあるみたいだがな」
ロウが魔法陣だと肯定してくれた!
そして改良してる!?
「ロウ!今日一番に極めて有意義な意見である!この魔法陣は、どのように改良をされているのか!」
ぐわしとロウを握る!
「ぐお!!揺さぶるな!」
「ねえさま、おちついてください!」
「も、申し訳ありません!しかし、ロウが、ロウが、ぽろりともらすから」
私は幼児のような言い訳をした。
しっかりしなくては、私は、中身は大人な筈である。
く、話を戻そう。
私はロウを握る手を緩めつつ、尋ねる。
「それで?どこをどう改良してあるのか?」
「いや、なんとなく?基本と違うなあ、みたいな?」
またそれか!?
私はがくりと首を折った。
なんの!想定内である!
涙なんて、滲んでないのである!
その後、私たちは疑問を出し合った。
私はノートに書き記し、本家子分ズその2が、パソコンに入力する。
そうして午前中の会議は、終了したのである。
くっ。私も早くパソコンなる文明の利器を、使いこなしたいものである。
子どもにはまだ早い!と、父に買ってもらえていないのである。
ぬう。
ロウに翻弄される大海w
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