第127話 私、魔法陣を正確に記録する
「母!居間のテーブルをあけて!」
私は家に着くや、そうお願いしつつ、自室へと駆け込む。
いつもなら、晶露様を居間に導き、ゆったりとお茶をしてから行動を開始する。
しかし、今の私に、その余裕はない。
私は机の広い引き出しから、A2サイズのケント紙を数枚取り出すと、居間へと向かう。
なぜそんな大きなサイズの紙があるのかと?
それは繰り返しになってしまうが、新宿御苑へ出かけた際に、あればよかったと思うものを予め用意していたのである。
その費用は、父に必要経費として、お願いした。
私の異能の向上の為である!との大義名分を掲げてな!
それは今は重要ではないので、追求はやめてほしい。
とにかく、私はケント紙を抱え持ち、居間に入る。
するとそこには晶露様、その後ろに控えるように本家子分ズ2人座っていた。
子分筆頭の松也さんがいない。
ふと疑問が浮かんだが、今はいい。
それよりも重要なことが、今の私にはある!
母がキッチンで、お茶の用意をしているようである。
私は黙したまま、ケント紙をテーブルの上に広げ、角に重しをのせて固定する。
そして、スケッチブックを取り出すと、それを見つつ清書し始めた。
記憶が薄れないうちにと描き進める。
ちらりと本家子分に清書も頼もうかとも思ったが、直に視ている私が描いた方が間違いがないだろう。私は幼い子どもである。それ即ち手も小さい。また疲れやすいが、時間がかかっても正確なものを記録するのが重要であろうと、自らがえんぴつをとった。
可能であったならば、スマホなる文明の利器で、魔方陣が撮れれば、よかったのであるが、水の影響か、光の影響なのか、スマホを向けても、魔方陣を撮ることができなかったのである。悔しい限りである。
まあ、スマホで魔方陣を撮れたとしても、起こすのは必須である。
ただ写真があれば、より正確に起こせたのではないかとは思う。
とはいえ、「黒き森人の井戸」の魔方陣は消えはしない。
また不明な点があれば、見にいけばよいだけである。
とはいえ、折角の好材料である。しっかりと記録せねばなるまい。
集中!集中である!
あ、また私、晶露様を置いてけぼりにしているのである!
申し訳ありません!晶露様!
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