第121話 私、外出先、吟味中
晶露様の言質はとった。
私は存分に、私の行きたい場所を優先させていただく!
さて、今回近場でかつ小さきパワースポットなれば、一日で一気に回ってしまいたいが、難しいか。
我らはまだ幼児、体力と相談しなくてはなるまい。
3箇所ある候補地。
うん。この中から晶露様に選んでもらうか。
「晶露様」
「はい」
「この3箇所の中で、どこに一番行きたいですか?」
効率を考えれば、自ずと順番が決まろうが、ここは晶露様の好奇心が高めのところから行こうと思う。
少ない選択肢であるが、選んでくれてよいのである。
「いえ、ぼくはねえさまとおでかけできれば、どちらからでもかまいません」
なんとも模範的な答えである。
これらの目的地は、私の探究心から発したものであるのも、答えの一因になっているのであろう。
誠に申し訳ない。
最近、したいことをしたいと言ってくれるようになってはいるが、まだまだである。
今後、もう少しわがままを言っていただくように鍛えねばなるまい。
晶露様には、それでちょうどいいのである。
そもそも今回の外出目的について、制限はかかっていない。
新宿御苑に行く際には、ロウの能力向上目的であったが、今回私は敢えてそこに言及せず、また若君もお尋ねになられなかった。
私の意図は明確である。
私自身の能力の向上の為に外出したい!建前なしに!である。
若君が目的に言及しなかったのは、私が異能の探究目的であるとバレバレだからかもしれない。
異能の探究は、本家の生業に深く関わっているものであり、それに興味を持つことは、本家にとっては望ましいことであるからであろう。私の立場である、筆頭許嫁候補としてもである。万に一つ、私の能力の上昇があれば、御の字と考えているのかもしれない。
いや、それはないであるか。
若君は私に、興味をお持ちではないのであるからな。
異能についての知識の新発見があれば幸いか、ぐらいは考えているかもしれないが。
本家の方々の異能力は、私とは桁違いの水準であり、必死に異能を高める必要がないのである。
能力値は生まれた時点で決定される。それが定説として浸透しているのも一因であろう。
あ、あるいは。
私の外出目的は前回に引き続き、ロウの能力の開花、能力の向上と考えてくれているのかもしれない。
それならそれでよしである。
ならば私も割り切って考えるのである。
私の異能力向上の考察にお付き合いいただきながら、晶露様にもできるだけ、外出を楽しんでいただく。
私の主な目的はこの2つでよかろう。
「ねえさま?」
はっ。いけない。また考えに没頭してしまった。
「申し訳ありません。少しぼうっとしてしまいました」
ああ、我が幼稚園の友、ネイちゃんがここにいれば、さっさと話が進むものを!
いや、友に頼り切りになるのもいけない。
私自身がしっかりせねばならぬ。
さて、どうするか。
私は改めて、じっくりとこの近辺の地図を眺める。
やはり一気に回るのは難しい。
大人なれば、たやすかろうが、私たち幼児には厳しい。
「1日で2箇所も厳しいか」
土曜日朝から出発できれば可能であろうが、土曜日の午前中は、晶露様が異能の訓練があるのである。
その為外出できるのは、午後からである。
となると、土曜日に1箇所、日曜日に1箇所か。
「パワースポットを回りつつ、うちにお泊まりも可能か?」
私は考えに集中して、ついぽろりとこぼしてしまった。
「ほんとうですか!ぜひ、ぜひ、したいです!」
しまった!楽しんだ後に、1人お部屋にぽつりと帰るのは、より寂しさが募るかもと思い、できればしたいことを口から零してしまった。
ロウが我がいるぞと叫びたくなるかもしれぬが、妖精と人間とは、やはり違うのである。
晶露様の期待に膨らんだきらきら目がつらい。
若君、許可してくれるだろうか。
「き、期待に添えるように、交渉がんばります」
「はい!」
自らハードルをあげたことを悔やみつつ、そう返事をするしかなかった。
くう。若君との交渉後に、告げるべきだった。
自らの軽い口を、悔やむばかりである。
大海は考えが、ぽろりと口から漏れるw
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