第九十二話 飛んで火にいるメイド
―――災害に対抗するため、しかしながら致命的な欠陥があって、廃棄されたという、エリーゼの姉妹機と言えるメイド。
彼女の中にある主を確認するための回路に大問題しかないようで…本来であれば処分されていた存在。
そんなものが何をどうしてかこの世界に現れ…その身をどうにかしなければいけない状況。
罠にかけるために、男の娘という性的趣向の罠を張ったわけだが…
「できれば、もうちょっとこう疑ってかからないでほしかったなぁと言う気持ちが無くもない…」
【性癖で釣られて出てくるとは…予定通りとはいえ、ちょっと素直過ぎるのが残念デス】
【提案した元凶がそれを言うか?】
とにもかくにも、のこのこと配信現場にやってきた、飛んで火にいる夏の虫ならぬメイド。
文字にしておこすとなんだこれと言いたくなるが、事実なのだから仕方がない。
【試作型式G-disaster-00…ふむ、損傷具合も酷いですネ】
改めてみれば、この場にやってきたエリーゼの姉妹機と言うべき彼女は確かに似ているのだが、いかんせん各部位がかなりボロボロになっている。
ところどころ焼け焦げたような跡や引き裂かれたような傷後、五体無事でもなく火花が散っており、頭部も右目の部分からごっそりと何かが至近距離で爆発したように損壊している様子が見てとれるだろう。
様子を見ている間にも、異土たちの方に気が付いたのか顔を向けた。
【ーーーーGGAUdぎykm…ご主人様、得ているのですか、貴女HAHAHAH】
【言語回路に不具合が生じているようですが、認識はできてますネ】
機械音声のような、壊れた声を発しながら彼女が口を開く。
外見同様に中の損傷もかなりあるようだが…
「何かと、戦ってきたのか?」
【違いますネ。簡易スキャンをかけましたが、主人適性の無いものによる登録申請後の反応以外、武器ロック部分が解除された様子がありまセン。相手もわからずにやらかそうとした者以外に使用した形跡はなく…何か、別の要因があるのでしょウ。推測する前に、まずは停止させないといけないですガ】
廃棄処分だったはずの彼女が、ここで稼働している原因もわからない。
いや、エリーゼいわく、誰かが再起動を行ったからこそこの世界で稼働しているが…そもそもどうしてこの世界にやってきたのかが分からない。
彼女と同じようにダンジョンで採掘された可能性はあるようだが、処分品がそこに紛れ込むのだろうか?
【ーーーーヨコセ、そのあるt7えほcrhchc7rt】
【…主を求める回路が、かなり強く作用してますネ。介錯しますから、おとなしく倒れてくだサイ】
びこんっと、某未来からの暗殺者のように、赤く目が光り、音を立てながら武器を取り出してくる廃棄品のメイド。
その目は、機械的ながらも執着のような心を感じさせるのであった…




