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裏裁判のサロゲート -心理戦ゲーム小説-  作者: 二兎追うものは三兎どころか5兎くらい得るよ
第一章『エレメンタル・カード ~光と闇の交錯~』
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9/11

第7話

ちなみにだが今回の裏裁判の開廷前に


花桐達は全員がボディチェックと荷物の一時的な取り上げをされており、


電子機器などの使用は禁止とされている…


ゲーム中はスマホなどの使用は一切禁止である。


仮に上手く持ち込めて使用ができてゲームの勝敗を左右する使い方をしてバレても即失格だ。


言い方を変えればバレないように使用して勝てれば良いがトリビュナルの監視は強い。


「ちなみに当たり前な事なのでお伝えしておりませんでしたが」


三大寺が言う。


「選択カードを"表向き"で出す以上は同時に出す事が基本ルールです。


なのでカードが決まったらその旨を私にお伝えください。


それまでは夏井様と布川様は最大1分間の会話が可能です」


ユカはドキドキしながらカード5枚を震える手で持ってどれにしようか考える…。


「あなた震えてるけど大丈夫?そんなんで勝てるの…?」


マスク姿の布川が強気な声でユカをビビらせる。


「だ、大丈夫…です…」


昨夜、花桐に言われた事を回想する。


『光』のカードは一切使うな。


「私はカード決めたわよ?」


「えっと、じゃあ、わたしも…」


「それでは私が『3、2、1…』とカウントした直後に出してください」




挿絵(By みてみん)




花桐と蜂須のいる部屋ではスピーカーから音声のみが聞こえていた。


手足を拘束されてパイプイスに座っている2人がスピーカーを見ながら三大寺のカウントを聞く。


「3、2、1…オープン……」


―――カードが出された。


「それでは1分間の質疑応答に移ります。


先攻は花桐様です。


花桐様の声はこちらに聞こえます。


花桐様は布川様に質疑応答を1分間できます。


もし聞きたい事がなければサロゲート側であれば1分以内に切り上げても大丈夫です。


しかし最低でも30秒の会話は"必須"となっております」


蜂須は胸中で言う。


(要は合図を入れる隙を運営側はわざとつくってるのか。


もし0秒で切り上げが可能となってしまうと"普通の合図"であればアピール手段がなくなる。


ただこっちは質疑応答の外の合図だから問題ないが…)


「切り上げる事は"サロゲート側"しかできません。


つまり今回で言えば布川様側から質疑応答の切り上げの要望は聞き入れる事はできません。


次の蜂須様と夏井様の質疑応答でも蜂須様しか切り上げ要望ができないと言う意味です。


その代わり黙秘や意味不明な返答は許されますのでご安心ください。


それでは1分間の質疑応答を開始してください…」


「まぁ聞きたい事ないし30秒間しりとりでもする布川さん?」


薄ら笑いでそう聞く花桐。


布川は嫌そうな声で返答をする。


「ふざけんなよ小僧…?体調悪いんだから意味不明な事に付き合ってらんないわよ…」


「なに出したの?教えて?」


「バカなの?言う訳ないでしょ」


「ブラフでもいいんだけど?」


「バカと話すほど時間の無駄な事はないわね」


「特大ブーメランだけど言っていいのそれ…?」


「なっ!?」


(ったく…)


蜂須は胸中であきれながら言葉を続ける。


(あのおばさんの短気で単純なところは治らないものなのか)


いま現時点での質疑応答中は蜂須とユカは私語厳禁となっている。


…結果的に無意味な30秒が経過した。


「じゃあ俺からの質疑応答は以上で♪」


「では続きまして蜂須様。


夏井ユカ様に1分間の質疑応答を開始してください」


…三大寺が1分間を測り始める。


「………」


蜂須はしゃべらない。


(まず、布川さんからの合図である"咳(せき)"はない…)


目をつぶる蜂須…。


―――沈黙が15秒経過する。


「え?え…?あの…?」


カードゲームルームでオドオドと焦り出すユカ。


(なるほどな蜂須…)


花桐は横目で蜂須を見る。


(わざと切り上げも会話もせずにユカちゃんを動揺させる。


そして沈黙の中で俺達チームがどんな合図を出すか見てみようってとこか?


仮に今回ユカちゃんがカードで勝っていなくて合図がなくてもどう出るか様子を見る…


勝っていたのならどう合図が来るか様子を見る…


合図を知った所で意味はないけど面白い事するな…)


花桐の読み通り蜂須は30秒経過しても無言でいる…


そんなとき、ユカが大きな声でしゃべり出した。


「ご…ゴンちゃんっ…!!!」


「…!」


目を開く蜂須。


「招き猫は語らないってアニメ作品の人気キャラクター ゴンちゃんっ!」


「…」


「私ゴンちゃん好きなんですっ…!!」


(これが合図…?あまりにもあからさますぎないか…?)


蜂須は横目で花桐に視線を向ける。


スピーカーを見ながらクスクス笑っている花桐…


(花桐…さては開き直ってふざけた合図にしたのか………?


なんせ合図さえあれば負けはしないからな…


相手チームに合図がバレた所でデメリットもない)


そう。自陣の合図さえあれば負けないからバレてもいいのだ。


「切り上げます」


50秒経過時点で蜂須は質疑応答の切り上げを宣言する。


「それでは勝負の有無を決めるフェーズへ移ります。


勝負に乗る場合は『コール』を、


勝負を降りる場合は『フォールド』を、


それぞれ順番に宣言して頂きます。


今回は先攻が花桐様だったので先に宣言を聞きます。


なおここで花桐様が『フォールド』だった場合勝負は成立しませんが


蜂須様はどっちを選択するつもりだったか質問させて頂きます。


ここでは嘘を言って頂いても構いません」


あくびをする花桐。


「それでは花桐様。宣言をおねが…」


「コール」


蜂須は目を細める。


(まぁそうだろうな…。布川さんの咳がない。


そして夏井ユカのあれがもし勝利合図だったならばそうだ)


「それでは蜂須様。宣言をお願いします」


「フォールドでお願いします…」


「勝負は成立しませんでした。よってチップの増減はございません」


両チームにはライフポイントとしてのチップが10枚与えられている。


勝負が成立してカードゲームで負けたら1枚失う。


勝っても増えない減らし合い形式だ…。


「次の試合に移ります。それでは最大1分間のカード選択を開始してください」


10秒ほどで両者のカード選択が終わった。


そして三大寺の合図で同時に出す。


「それでは質疑応答のフェーズに移ります。


今度は蜂須様が先攻となります。


では、1分間の質疑応答を開始してください」


「ゲホッ!ゴホッ!」


(…!)


勝利の合図 布川の咳(せき)の声だ。


「………」


そして先ほどと同じく沈黙をする蜂須…


すると…


「ゴンちゃんっ…!!」


「…!」


「ゴンちゃん可愛いんですっ…!!!」


先ほどと同じような事をユカが大声で言う。


蜂須は横目で花桐を見ると同じようにクスクス笑っている…。


(なんのつもりだ…?遊んでいるのか…?


合図がある以上なにをやっても無駄だろう…?)


「ゴホッ!ゲホッ!」


念のため、と言う感じで布川が再び咳き込む。


(そもそも相手の合図なんて知っても知らなくてもどっちでもいいのだから…。


夏井ユカのこのゴンちゃんと言う発言が合図かどうかなんてどうでもいい)


30秒で質疑応答を切り上げる。


そして次に花桐が布川に質疑応答をする。


結局中身のない会話と花桐の挑発によりすぐ怒る布川の様子で30秒で終了…


「それでは勝負の有無を決めるフェーズへ移ります。


今回は蜂須様に先にお聞きします。


それでは蜂須様、宣言をお願いします」


勝負に乗る場合は『コール』。


勝負を降りる場合は『フォールド』。


「コールでお願いします…」


布川の咳の声が聞こえたのだから当たり前だ。


「では花桐様、宣言をおね…」


「コール」


「……!?」


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