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裏裁判のサロゲート -心理戦ゲーム小説-  作者: 二兎追うものは三兎どころか5兎くらい得るよ
第一章『エレメンタル・カード ~光と闇の交錯~』
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第5話


ユカ達とは違い中華料理屋にいる布川と蜂須。


「蜂須さん!このゲーム勝てるの!?」


と小籠包を食べながら声を荒げる布川。


蜂須は溜め息をつきながらビールを一口飲み口を開く…


「勝てる確率は低いと思いますよ…」


「はぁっっっ…!?」


席から立ち上がる布川を見て再度溜め息をつき蜂須は続ける


「勘違いしないでください布川さん。勝てる確率は低いですが負ける確率は基本的に0%です…」


「!?」


布川は焦りの表情だったが春巻きを口に入れて席に座り紹興酒で流し込む。


「布川さん…説明しますね」


蜂須は冷静な声で続ける。


「今回のゲームの"肝"は結局勝負を成立させるかどうかを決める私達サロゲートなんですよ」


「ん、あ、ああ、そうよね…」


布川はわかってる風を装う返答で蜂須に対応する。


もっとも蜂須は布川がまったく理解していない事を見抜いているが


「厳密に言えば"肝"はサロゲートの2人と言うより両チームそれぞれ2人の "連携力"なんですよ…」


「"連携"…?」


「冷静に考えてください。布川さんと夏井さん…あなたたちはそもそもカードゲームの勝敗を"一番早くわかる人達"なんです…」


「そうよ?だってあの小娘と私がカードを出したあとに勝負するかどうかあんたたちが決めるんだもん」


「要はカードを出した時点で勝敗が決定していてその"結果"を知っているのは布川さんと夏井さんなんです」


「そ、そうよ………」


「そのあとにあの小僧"花桐"が"あなた(布川)"に質疑応答をする。そして"私(蜂須)"があの小娘"夏井(ユカ)"に質疑応答する」


「…!」


「だったら簡単な話でしょう。布川さんと夏井ユカはそれぞれ"自分が勝っている時にサロゲートに何かしら音声で合図を送ればいい"ってだけの話なんです」


布川は食べる手を止め口を開く


「あ、ああ!そうよね!その通り!必勝法よね!ははは………」


蜂須はその様子を見て溜め息をつきながら続ける。


「だから"必勝法"ではないんですよ。ただの"負けない方法"でしかない」


「…!」


「いくら歴が浅いサロゲートだからと言って花桐がこれに気付かないと思わないんですよ」


蜂須は回想する。


これをわかっているから花桐は拒んだのだ。


"リハーサル"を。


「そして奴は私に言ったんだ。


"引き分けで流れるかもしれない"と言った私に対して


"その言葉を聞けただけでも自分達が勝てるかもしれない"と言うことを…」


「ハッタリでしょそんなもん?」


ムスッとした表情で麻婆豆腐を取る布川。


「花桐の発言の真意は別として、


勝てなくていいんですよ今回のゲームは…


だって"絶対に負けないロジック"があるのですから。


下手に動くよりはカードゲームで勝っている時の"合図"を送ってもらう作戦で進め


どうせ相手も"味方のサローゲートに合図を送る"と言う事はするんでしょうから


『勝てば御の字』ぐらいでやる消化試合です」


「じゃ、新規ゲームに賭けるって事ね」


と布川は違う中華料理を掻っ込むが蜂須は違う。


同意しない。


「油断はできません。念のため慎重には洞察しながらやりますよ…」


紹興酒を一気飲みして布川が叫ぶ。


「負けないんでしょ!?だったら強気でやればいいじゃないっ!?


強気でやって『勝てば御の字』


普通にやっても『負けないロジックがある』でしょっ!?


こんなのボーナスゲームでしょっ…!?」


酔っている布川を見て蜂須は溜め息をつく


(そう言う話じゃない…裏裁判は……)





でもロジック的には『負けない合図』さえあれば実質負けない




実は布川の言っている事は別に100%間違ってはいないのだ…




だが…




-----------------------------

「どうお考えかわかりませんが…この裏裁判は引き分けで流れるかもしれませんよ?」

「蜂須さん…あんたのその言葉が聞けただけでもだいぶ"俺達が勝てる可能性"が上がったよ……」

-----------------------------




あの言葉だけがどうも気になる…




蜂須は慎重な男だ




布川とは一線を画す詐欺師




善意で布川と付き合いを継続しているだけで詐欺師としてのレベルは違う…




「まぁでも…負けないのなら当日に"安全に考察する余地"はあるか……」




鋭い目で蜂須はビールを飲みそう言う。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「合図…?」


「そう…」



とフレンチ料理レストランではユカと花桐が"カードを出した直後にサロゲートに勝敗の合図を出すのが肝"と言う話をしている


「え?それって決着つきませんよね?」


ユカが不安そうな顔で聞く。


しかし花桐はワインを飲み上機嫌で答える。


「そ!つまり最低でもまずお互い"負けはない"ってこと!」


「負けがない!?」


「あ、でもね、勝つ可能性はあるから!」


「え?え???」


「だから"負けはない"けど"勝ちの可能性はある"と言う要はノーリスクな試合になる」


「…!」


「ただし勝つためには相当な仕掛けをしないといけないけど」


と花桐はワインを飲みながら続ける


「そしてね、その"勝つための手法"って実は"花桐さんがなんかすっげえ事する"って勝手に思ってるでしょユカ様~」


と酔いながらユカに笑いかける花桐。


あれだけ怒って花桐に詰め寄ってたのに今は花桐にひいている。


「花桐さん…飲みすぎじゃ」


…大丈夫だ


花桐は酔っていない…


花桐は真剣な表情で口を開く…


「ユカちゃん……キミは"自分を過小評価してる"よね…?」


「え?」


「このゲームにおいて"肝"は蜂須でも俺でもない」


「え!?…なんで!?え!?布川さん!?」


「違う…」


ワインを飲み干し口を開く。


「このゲームの最大のキーマンはキミだよユカちゃん…」


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