第6話 超能力同好会のメンバー達の能力
授業が終わったので天野は超能力同好会に顔を出してみた。
部室に入ると感じたことのない心地良い空気が漂っていた。
気功師の山川大気がメンバーに対して気を送っていたのであった。
天野も気功教室に通っていたことがあったので気功については何となくわかったつもりでいた。
気を受けていたのは、久野井弥生と大空航一であった。
「ああ、肩こりがなおったわ」
弥生が右手で左肩をポンポンと叩いてみせた。
「いやあ、山川君の気功は気持ちがいいよね。これで気持ちよく空を飛べる」
大空航一が目を輝かせた。
「天野君もどうだい。僕の気を受けてみないかい?」
「是非、お願いしますよ」
天野は昨日の山での特訓のせいで疲労がたまっていたのだ。
山川が右手をゆらゆらと揺らしながら気を練り始めた。
右手の平と左手の平の間に気の玉を作ると、天野の体に気を送り出した。
あっという間に天野の体に山川の気が走り出した。
「ああ、何だこの心地良さは。おおー」
天野は思わず声を上げた。
「どうだったかな?」
山川が感想を聞いてきた。
「いやあ、もう最高。疲れがふっとんだよ」
天野はそれしか言えなかった。
山川は父親の経営する気功院を手伝っているらしいが、きっと繁盛しているにちがいない。
「天野君。僕が空を飛ぶのを見てみない?」
大空がニコニコしながら言った。
「是非、見せてよ」
天野と大空は部室から外に出た。
山川と弥生も後から出てきた。
大空は背中のリュックから50センチ位の黒い棒を取り出すと、ブンとそれを振った。
すると棒の長さが1メートル近くになった。
大空は棒に跨るとはっと声を上げた。
棒は生きているかのようにすっと宙に浮くと、あっという間に空に舞い上がった。
それは空飛ぶ棒だったのだ。
魔女が空飛ぶ箒に乗って空を飛ぶのをテレビで見たことがあるが、現実に目の前で人が空飛ぶ棒に乗って空を飛ぶのなんて見たことがなかった。
大空はゆっくりと地面に着地した。
「いやあ、やっぱり飛ぶって最高っすね」
大空は子供のように笑った。
大学の学生達は、また空を飛んでいるよみたいな感じで見ていた。
「いやあ、僕もね。少しくらいなら空を飛べるよ」
山川が両手を地面に向けてゆらゆらと揺らし出すと、山川の体が気の力で浮き出したのだ。
山川の気功にはそんな不思議な力があったのだ。
少し宙を舞ってみせると、山川が嬉しそうに着地した。
「気でこんなこともできるんだよ」
天野にとっては発見だった。
「どうだい。みんな凄い力を持っているだろう」
振り向くと異能が微笑んで立っていた。
異能はそのまま部室に入っていった。
他のみんなも部室に入った。
「大空君が空を飛ぶのは日常化しているので大学のみんなは何とも思っていないよ。陸上選手が走っているのと同じ感覚だね」
気づくと霞斬想三郎も鈴木圭も間忍も来ていた。
「全員揃ったところで大した話じゃないんだが、もうすぐC級魔法使いになれそうなんだ。まだ研修が残っているけれどね。それが終わったらC級魔法使いなんだよな」
いつも冷静な異能がちょっと嬉しそうに言った。
簡単に異能達人のことを紹介しておこう。
異能は生まれた時から超能力者だった。
家族全員が超能力者だったのだ。
子供の時からおもちゃで遊ぶようにして念力で遊んでいたのだ。
いたずらっ子達も異能をいじめるようなことはしなかった。
彼の怖さを知っていたからだ。
彼の怖さを知らない悪がきが彼にいやがらせをした時、念力で空高く飛ばされて死にかけたことがあった。
それ以来誰も異能の傍に近寄ろうとはしなかった。
中学の時には一流の超能力者として認められていた。
叔父であるA級魔法使いの異能明大から魔法使いにならないかと声をかけられた。
異能にその誘いを断る理由はなかった。
少しでも自分の能力を高めたいと思うのは当然のことだからだ。
異能は魔法学校で勉強して魔法使いとしての基礎と知識を身につけたのだ。
異能は今魔法使いとしての道を歩み始めていたのだ。




