第32話 妖精使いの鰐川希代香対怪奇術の時田幽子
大幅に書き直しました。
超能力者達の交流戦の第3試合目。
3番手は妖精使いの鰐川希代香と怪奇術の時田幽子だった。
「ワニコちゃん、お久し振りね。元気だった?」
長い黒髪のスラリとした感じの美女が口を開いた。
どうやら二人は知り合いのようだった。
「幽子ちゃんこそ、元気だったかしら?」
ワニコが顔をひきつらせて笑った。
ワニコは幽子がどんな手を使ってくるのかわからなかったからだ。
「ワニコ、今日は試合だからね。手加減しないわよ」
時田幽子が両手を広げると手の平から無数の数字が飛び出してきてワニコの周りをグルグル回り出した。
「一体、何が始まるっていうんだ」
天野がポツリと呟いた。
ワニコは自分の周りにとんでもない数の数字が現れてきたことに驚いていた。
「何なのよ、これは」ワニコは一人で呟いた。
幽子が妖しい術を使うことは知っていたがそれが何かはわからかった。
するとワニコが突然歳をとりだした。
ワニコは自分の体がみるみるうちに老いていくのがわかった。
ワニコの綺麗な体にしわが増えてきた。
ワニコはあっと言う間におばさんになり老婆になった。
ワニコは激しい怒りを感じていた。
私の美貌を損なう者は絶対に許さない。
逆に今度は若返りだして幼児になり赤ん坊になりまた幼児になった。
ワニコは自分の体がどんどん縮んでいくのを感じた。
私の大切な時間と体をわけのわからない術で遊びやがってこの女め。
ワニコは自分の内面にふつふつと怒りの闘争本能が湧いてくるのがわかった。
平和主義者のワニコは戦うことにはあまり興味がなかったが今は違う。
徹底的に戦ってやろうと思ったのだ。
「時田幽子が時間を操っているのよ」
弥生が天野に説明した。
「ゲッ、魔法使いじゃねえの」
天野が驚いた。
五歳児くらいになったワニコが目をギラギラさせて金縛りの術を幽子にかけた。
両手を広げて勝ち誇った気分になっていた幽子が固まってしまった。
体が全く動かないのだ。
それと同時にグイグイと何か大きな力で体全体を締め上げるような感覚が幽子を襲ってきた。
幽子はワニコを舐めていたのだ。
ワニコは次に混乱の術を幽子にかけた。
幽子は脳を握り潰されるような激しい痛みを感じた。
何なのよ。これは。苦しいわ。幽子が心の中で悲鳴を上げていた。
「ワニコ、術を解きなさいよ。赤ん坊にするわよ」
美しい幽子の顔が鬼のようになっていた。
「術を解くのはあなたの方よ。幽子」
頭にきた幽子はワニコを再度赤ん坊にした。
「術を解きなさい。ワニコ」
赤ん坊になったワニコは幽子の近くまで飛んでくると吸気の術で彼女の気を吸い取った。
気を吸い取られた幽子はへなへなと座り込んだ。
彼女はワニコが気のスペシャリストだったことを忘れていたのだ。
ワニコはなかなかギブアップしない幽子にとどめをさすことにした。
「妖精さん達、とどめをさしてよ」
赤ん坊の姿で立っているワニコが叫んだ。
ワニコの周りに3人の妖精達が現れた。
金子と銀子と虹子の妖精三姉妹だった。
妖精三姉妹は派手な衣装を着ておりピカピカ光っていた。
「あらあら、やっぱり出てきちゃったのね」
幽子は座り込んだままワニコの攻撃に苦痛を感じながら出て来た妖精達に苦笑いした。
「幽子さん、今日は悪いけれど戦うことになるわ」
金子が言った。
妖精達は人間くらいの大きさになると、幽子の周りを囲んで手から銀色の光を放出した。
すると幽子の周りに光の檻ができて幽子を閉じ込めたのだ。
「なるほどね。私が術を解かなければ一生この中で過ごさなければならないってことね。わかったわ」
幽子は観念して術を解いた。
それと同時にワニコも術を解いた。
ワニコは無事に元の姿に戻った。
異能は時田幽子の能力に驚きを隠せなかった。
彼女は怪奇術を専門とした凄腕の超能力者だったのだ。
大山大学の超能力クラブはとんでもない能力を持った者達の集団なのかもしれなかった。
この試合は時田幽子の攻撃を受けたワニコが反撃して妖精達がとどめをさす形となった。




